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新国立の「蝶々夫人」の演奏と演出はとてもよかった

612日、新国立劇場の「蝶々夫人」公演を見た。演奏、演出はともにとても良かった。

 蝶々夫人を歌うオルガ・グリャコヴァは、登場した第一声からして場内に響き渡る美しい声。ただし、初めのうちはちょっと歌が雑だった。が、第二幕以降はドラマティックなって、かなりよかった。外見も美しいし、日本人女性の所作を身につけ、日本人女性を演じても違和感がない。ピンカートンを歌うゾラン・トドロヴィッチも張りのある声でしっかり歌っていた。歌が少し大雑把な印象だが、不満を感じるほどではない。

 例によって日本人の脇役が充実している。シャープレスの甲斐栄次郎、スズキの大林智子、ゴローの高橋淳はいずれも、実にいい味を出している。高橋さんは、嫌味な役どころがぴったり。本当に性格歌手として素晴らしい。

 栗山民也の演出もよかった。まず、見た目に美しい。能を意識しているのかもしれない。舞台は簡素で、坂道が象徴的に使われている。背景に大きなテレビ画面があり、星条旗がしばしば映し出される。帝国主義国家であった(である)アメリカ合衆国の横暴を語ろうとしているのか。

 しかし、今回、何よりも感心したのは、イヴ・アベルの指揮と東京フィル。第一幕のボンゾ(島村武男)の登場シーンでオケが炸裂するが、その音の美しさにびっくり。音が濁らず、精妙に溶け合っていた。その音で、「おや、凄い音を出してるぞ」と気付いて、その後、注意して聴いたが、実に精妙な音が出ていた。何度かのフォルティシモも見事な音だった。これって、きっと指揮がよいからだと思う。

 とはいえ、やはり私はプッチーニはダメだとつくづく思った。歌に酔えない。オーケストラがメロディを奏でるのにもうんざり。ストーリーも、あからさまなお涙ちょうだいを感じてしまう。いや、そもそも、やはり異様な日本の描かれ方やストーリーの不自然さに目をつむることができない。そのため、蝶々さんに感情移入できない。そうなると、かなり退屈を感じざるを得なかった。

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