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樋口ゼミ主催の多摩フィル、金管五重奏のコンサートの演奏に満足。

 昨日(71日)、パルテノン多摩小ホールで、多摩大学樋口ゼミ主催のコンサートを開いた。私のゼミは、クラシック音楽を日本に、とりわけ多摩地区に広める活動を行っている。そのために、来年以降、「多摩音楽祭」を開催したいと思っているが、その前夜祭として、地域の誇るプロフェッショナルのオーケストラ、フィルハルモニア多摩の金管楽器のメンバーに演奏をお願いした。クラシック音楽を通して、多摩地域の文化を向上させ、お年寄りと若者、子どものコミュニケーションを活発化させ、子どもから大人までが楽しむことをめざしている。

 前半は、シャイトの「カルメン・ファンタジー」とサン=サーンスの「動物の謝肉祭」を中心にした曲。小中学生も何人か来てくれていたようだが、十分に喜んでくれている様子が、外から見ても伝わった。トランペットの柴田紘子さんが楽器や曲目、そして、「動物の謝肉祭」では、動物の様子などを解説しながら演奏。

 私はブラスバンドの出身ではないので、実は金管五重奏を聞く機会はほとんどなかった。独特の味わいに驚いた。前半、所々、音の硬さを感じたが、徐々に馴染んできて、見事なアンサンブルだった。「動物の謝肉祭」はとりわけおもしろかった。ただ、チェロで聴きなれた「白鳥」がホルンを中心とする金管楽器で演奏されるのは、ちょっと違和感があった。主旋律はいいのだが、ほかのメロディが金管で演奏されると、主旋律が際立たず、ほかの楽器に埋もれてしまう傾向を感じた。私の耳が弦楽器向きにできているということでもあるが。

 後半はフンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」を音楽監督の今村能(いまむら・ちから)さんの語りと金管五重奏によって展開するもの。企画段階で、この曲が候補として挙がったとき、どうなるのかと心配しながらも決定したのだったが、今村さんの語りも見事、演奏も前半にも増してアンサンブルの精度が増し、素晴らしいリアリティだった。多摩フィルのメンバーの力量に感服。金管で美しいピアニシモを吹くのは至難の業だと思うのだが、それがびしっと決まり、ほかの楽器に溶け合っていた。

 目の前にヘンゼルとグレーテルがいるように感じた人も多かったと思う。歌詞が付いていないのに、十分に音楽によって情景が理解できた。

 今村さんの語りの原稿(今村さんご自身が作った日本版)を前もって読んだとき、ちょっとおじさん臭い表現が多いのが気になり、学生に頼んでもう少し今の若者に受けそうな表現に改めさせてもらおうかとも思ったのだった(今村さん、ごめんなさい!)が、このままのほうがよかったと、確認した。今村さんの語り口によって昔のヨーロッパの童話の雰囲気がありありと現れていた。私たちがいじっていたら、この雰囲気は絶対に現れなかっただろう。

 アンコールでは今回のコンサートに関わったゼミ生もステージ上に上がった。

 とてもよいコンサートだったと私は思う。演奏家たちも満足げだった。これほどレベルの高い演奏会を、多摩地区で行い続けることに意義があると思う。それが、地域の文化、地域のコミュニケーションを高めると思う。

 ただ、残念ながら、私たちの力不足のために、せっかくの素晴らしい演奏なのに十分な客を呼ぶことができず、空席が目立った。これを満員のお客さんに聞いてほしかった。私たちのゼミのこれからの目標は、良い演奏を地域に提供するだけでなく、できるだけ多くの客に来てもらう努力をすることだと、改めて痛感した。

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コメント

コンサートは成功されたとの事、おめでとうございます。崎田としましても是非行きたい気持ちがありましたが、都合が悪く叶いませんで残念に思いました。それよりも空席が目立ったとの事が何より残念ですが、金管アンサンブルのコンサート広い客層をなかなか呼びにくいですから、これは樋口先生やゼミの皆さんが悪い訳ではないと思います。例えばこれはデュオですが、昨年文京シビックホールで行われたバボラク(惜しくも今年は来日をキャンセルされたとか)と清水和音のデュオ・リサイタルに行きました。しかしこの豪華なコンビで3000円均一と格安だったに係わらず、2階席は最初から閉鎖という事にしておいて漸くほぼ満員でした。チケットの売れ行きがもっと良かったら、2階も空けるぐらいにはなっていたでしょう。管に限らず、ソロや室内楽は余程人気のあるソリストや団体でなければ満員にするのは困難ですね。しかし今年来た子供が、来年は「良かったから行こうよ」と友達を連れて来るかも知れませんし、夜間のコンサートでもありますから、先生や御父兄がグループを引率して聴きに来る様にすれば、今度は客席がもっと埋まるかも知れませんね。
ところで後半は『ヘンゼル』のブラス・クインテット版に今村先生の語りつきという注目すべきプログラムで、もしかしたら当日来られたお客の中からオペラに興味を持ち始めた人がいたらいいですね。音楽の素晴らしさ・楽しさを指揮者として伝える事の出来る今村先生ならば、お話も良かったと思います。この曲のオリジナルは僕が最も好きなドイツ・オペラの一つですが、残念ながら日本の大人のオペラファンには「子供向き」というレッテルが張られていてあまり好まれていない様です。とはいえ旋律が美しい上にオーケストラや作曲上の技法は大変素晴らしいし、何よりリヒャルト・シュトラウスが認めていなければ、初演の指揮は引き受けなかったでしょう。
また良いコンサートを企画して下さる事、心待ちにしております。

投稿: 崎田幸一 | 2011年7月 3日 (日) 18時55分

崎田幸一様
コメントありがとうございます。
そうですか、バボラクと清水和音でさえそんな状態ですか。でしたら、私たちの企画したコンサートに客が少ないのもやむを得ないですね。
「ヘンゼルとグレーテル」は、特に好きなオペラというわけではありませんが、昔々、リタ・シュトライヒの歌うレコードを持っていました。ショルティ指揮の映像(LDで持っていました)も楽しめました。ブラス版は今回初めて聴いたのですが、とても面白いものでした。
当日のアンケートによりますと、この曲を楽しんでくれた人が大変多買ったようで、うれしく思っています。
10月21日に、多摩フィルの木管メンバーによるコンサートを企画しています。よろしかったら、おいでください。

投稿: 樋口裕一 | 2011年7月 4日 (月) 08時14分

パルテノン多摩の演奏会楽しませていただきました。一部のトップの方のお話もわかりやすく、きっと子供さんたちも楽しめたことでしょう。飽きている風の人がいませんでしたよね。ただ、音楽を楽しむ上では、気持ちが途切れるというのか、、、。今回の目的にはとてもよかったと思います。
後半のヘンゼルとグレーテルは素晴らしかったです。今村さんのお話と演奏の息がぴったりと合って、聞き入ってしまいました。どこの台本かと思いましたが、今村さんがご自身で用意されたとのこと、感服です。衣装も過度でなく雰囲気がでていました。きっと周到な準備をされたのですね。
出演者の皆様の、聞き手を楽しませようという真摯な気持ちが伝わってくる素晴らしい演奏会でした。

投稿: KN | 2011年7月 5日 (火) 11時31分

KN様
私たちが企画運営したコンサートにおいでくださり、しかも過分なお褒めの言葉をいただき、ありがとうございました。成功はひとえに演奏家の素晴らしさによるものでした。
おっしゃるとおり、見事な演奏だったと思います。多摩フィルのレベルの高さを多くの方がわかってくださったのではないでしょうか。
あの日、今村さんが語ったのは、正確には今村さんが日本語訳したものです。元はドイツ語だと思います。本当に見事な語りでした。
できましたら、ぜひまたの機会もお越しください。次回は10月21日に多摩フィルの木管楽器を中心にしたコンサートを予定しています。

投稿: 樋口裕一 | 2011年7月 6日 (水) 06時35分

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