フィルハルモニア多摩の演奏、みごと
7月23日、稲城市立iプラザホールで、フィルハルモニア多摩第9回定期演奏会を聴いた。すべてベートーヴェンのプログラム。指揮は音楽監督の今村能さん。
フィルハルモニア多摩は、昨年初めて聴いて以来、その実力に驚き、時間の合う限り聴くことにしている。私は多摩地区に暮らし、多摩地区で仕事をしているので、「多摩フィル」は私たちの誇る実力派のオケとして大事にしていきたいと思っている。私たちのゼミでも、この多摩フィルと協力していくつもりだ。
初めに、多摩フィルハルモニア合唱団が加わって、ベートーヴェンのカンタータ「海の静けさと幸福な航海」。この曲、実演は初めて聴いた。なかなか面白い曲。よく知っている曲ではないので、正確なことは言えないが、初めのころ、ちょっと合唱とオケの音が合わない感じだったが、あれでよかったのだろうか。途中から迫力が増してきた。ただ、これからもっと盛り上がっていくのかと思っていたら、意外と早く終わってしまって、ちょっと残念。
次に、このオーケストラのコンサートミストレスである高原久実さんのソロでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。とても好感のもてる誠実な演奏。テクニックもしっかりしている。が、高原さんは遠慮しすぎて、まるでオーケストラの一員であるかのように弾いている。もっとめりはりをつけ、大きな身振りで、音楽をリードしてほしい。なにしろ、この曲の主役は高原さんなんだから!せっかくのテクニックと美しい容姿を持っているのだから、もっとそれをひけらかしてほしい。音楽が謙虚になりすぎていた。
後半、交響曲第5番。これはまさしく名演だった。今村さんの指揮が実にいい。かなり速めのテンポでぐいぐいと推進していく。これまで今村さんがフルオーケストラを指揮したのを聴いたのは、ラヴェルやプーランクなどのフランス音楽や、プッチーニの「ラ・ボエーム」などだった。それらの音楽のある種の軽みや精妙さ、そしてわくわく感に私は感嘆したのだった。ドイツ正統派の音楽は今回が初めてだった。が、実はドイツものこそ、今村さんが得意とする領域なのだろう。やや重めの、古楽的な音がする。フランス音楽の時のように透明で精妙な音ではなく、もっと深みがある。構成ががっしりしていて、揺るぎがない。それなのに、リズムがよく、わくわく感がある。最後、どんどんと盛り上がっていく。
あまりにケレン味がありすぎるのも困るが、あまりに気まじめなのも面白くない。ところが、今村さんの指揮は、絶妙な具合にケレン味がある。少なくとも、ぴったりと私の趣味に合う。必然性のある芝居っ気があるために、音楽が必然的にドラマティックになる。しかも、その芝居っ気に気品がある。ユーモアのあるお人柄のせいか。
オーケストラについては、ところどころで小さなミスは感じたが、コンサートマスターの小森谷巧さんがリードして、実に見事。在京の名のあるオーケストラにひけをとらない。
実は、数日前から、わきの下に湿疹ができて、痒くて仕方がない。病院で診てもらったが、今のところ原因不明。数年前にも同じような痒みに襲われ、それが半年ほど続いたことがある。湿疹があちこちに広がり、それが股間に至ったときには叫び声をあげたいくらいの痒さだった覚えがある。今年の夏、ザルツブルク音楽祭に行く予定なので、それまでには直しておきたい。あの時のような股間の痒みに悩まされながら、音楽祭に行くような目にはあいたくない。
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