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松本復興相辞任について思うこと

 今、京都にいる。京都は思ったほど暑くはない。逆に言えば、東京がかなり暑いために、暑さにすでに免疫になっているということなのか。

 午前中、新幹線で京都に移動中、朝日新聞社から取材依頼があった。京都に到着してから、こちらから連絡し、電話で松本復興相の辞任(私は8時過ぎに自宅を出たので、このニュースは知らなかった)に至るまでの暴言の数々についてのコメントを求められた。15分ほどにわたって、話をした。

 京都で買った朝日新聞75日付夕刊には、倉田真由美さんとともに私のコメントが掲載されているが、首都圏ではどうだろう。取材を申し込んできたのは大阪支社の方だったので、首都圏には出ていないのかもしれない。それに、関西版の私のコメントも紙面の都合上、短くまとめられている。もちろん、短くされたことはやむをえないが、私としてはもう少し言いたいことがあった。

 このブログにもう少し詳しく私が電話で語ったことをまとめておく。

 私が松本復興相の発言を聞いて思ったのは、おそらく多くの人と同じように、「傲慢だ!」「何様のつもりだ!」ということだった。

 まるで、先進国の人間が途上国に行って援助してやろうという態度ではないか。敗戦後の日本を復興させようというGHQはこのような態度だったのだろう。つまり、自分が大災害の当事者であるという意識がない。他人事だと思っている。自分はそこに所属していない孤高の存在だという意識を持っている。自助努力の意識のない惨めな被災者を軽蔑し、自分がそれよりも上位にそびえていると思っている。だから、県知事が当然、応接室で前もって入って出迎えるべきだと考えている。

 松本復興相が言った「民主も自民も公明も嫌いだ」という言葉もしばしば紹介されているが、それも、そのような意識を示している。「私は、ほかの人たちとは違う。民主や自民や公明に所属し、その中でうごめいているような人間ではない。そのような当事者ではない。もっと上にいる人間だ」、そんな意識がこの言葉にも表れている。

 きっとこの人はお坊ちゃんとして育ったのだろう。だから、このような選良意識を持つ。が、鳩山前総理などのような最高レベルのお坊ちゃんではない。どこかしら劣等感がある。だから、自分の優位を他者に見せ付けないと気が済まない。ほんとうのお坊ちゃんであれば、わざわざ他者に対して自分の強さを見せ付けたりしないのだが、この人はそれをしないではいられない。

 そして、九州的べらんめえ調で親分肌を見せようとする。センスのよくない冗談を言ったり、すごんで見せたりする。ほかの人と一味違うエリートを演じようとする。それがカッコいいと思っている。

「B型の九州男児」だということを暴言の言い訳にしているが、それもまた極めて不愉快。かく言う私も「B型の九州男児」だが、まさか、このような状況であのような暴言を吐いたりしない。いや、そもそもそのような被災者無視の意識を持ったりもしない。

 せっかくの復興相がこのような残念な人間であったこと、そしてそれが露わになって辞任し、リセットされてしまったこと、本当に残念だ。いったいいつまで、国民を置き去りにした愚かな政治が続くのだろう。

 私はそのようなことを電話で話したのだった。

 今日一日、京都に泊まって、明日、東京に戻る。

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コメント

傲慢もそうですけど、今必要な人は行動力と指導力、そしてみんなに「この人の下なら徹底的にがんばれる」という人だと思います。もし宮城県知事が遅れてきたことに対して人前で叱責などせず、「忙しいところたいへんでしょう。でもこれからは私もあなたとともにがんばりますから、お互いガンガン知恵を出し合い意見を交換しあいましょう。」みたいな労いと自分の基本姿勢などを言えば、知事のそれも国民のそれも全然違ったと思います。

ある意味みんなの気持ちをひとつに出来るチャンスを自ずから踏みにじるという、ほんとうに愚かな行為だったと思います。今何が必要なのか、被災者はどういう気持ちで毎日を過ごしているのか、ほんとうにそういうことを何もわかってない、とんでもない人だったと思います。

もっとも何かあるたびにそれらを次の選挙で政権奪取の糧にしようとしか考えない、それらを是正させ被災者の救済に対して具体的な提案をガンガン出して政府を動かそうという、そういう行動にまったく消極的な野党にも、今の政権以上に怒りを感じます。

彼らにとって震災はもう過去のものなのでしょうか。ほんとうに信じられない人たちです。

投稿: かきのたね | 2011年7月 5日 (火) 23時32分

かきのたね様
コメントありがとうございます。
私が取材を受けて、最も言いたかったのは、松本前復興相には、当事者意識がない、すなわち、震災を自分のこととして認識していないということでした。「助けてあげる」「してあげる」という意識です。今は、県も国も、そしてもちろん国民も一緒になって被災地を、つまりは日本を復興させるべきなのに、そんなことを考えもせず、自分が県知事に「客」としてもてなされなかったことに怒っているわけです。政治家として情けない姿だと思います。
今は、大臣の首を挿げ替えている場合ではないと思うのですが、こんな人が復興大臣ではまともな復興ができるはずがありません。他の人に変わったことは好ましいことだと思います。
このような意識が、この人だけのことであって、ほかの政治家たちはもっと真剣に、自分のこととして日本のことを考えていればいいのですが・・・

投稿: 樋口裕一 | 2011年7月 6日 (水) 23時35分

今回の地震や原発に関する出来事は日替わり、というより時間単位で新しい事実が報道されますので、暴言の事件から一週間も過ぎるともう昔話みたいになりつつありますが、少しは熱の冷めた辺りで一言入れようかと思っておりました。
しかしどうみても、やはりあの発言は不適切極まりないものですね。永田町や霞ヶ関には、文字通り霞の様な何かがかかっていて、人の心を失わせる様なDNAが明治以来蔓延していると思います。次いでに言うと僕も九州(宮崎県日南市飫肥=おび)出身のB型です。更に次いでに言いますと、飫肥藩からは明治の外相小村寿太郎が出ています。
樋口先生の文からふと思った事ですが、かつてはイラク戦争時のアメリカ大統領だったブッシュJr.が「我々は日本の民主化に成功したのと同じ事をやる」という様な発言をした事があります。それが正しいかどうかはともかく、19世紀にフィリピン(民主化に成功したとすればこちらの様な気が)やハワイを植民地化した様な露骨な事は出来ませから、自国の言う事をきく半傀儡国家を作りたいだけではないか?と思います。
話を戻しますと、こんな連中が引き起こしたと同様の原発事故では、福島(再来年の大河ドラマは福島応援の内容になるそうですが、それなら会津戦争を正面から捉えた内容にして、かつて中央政府がどんな仕打ちをしたかを描くべきなのに、そうはなりそうにありません。あくまでヒロインの生涯のヒトコマで終わりでしょう。)の人達に比べればどうという事はないという意見もあるかと思いますが、クラシック音楽界もメトロポリタンオペラを始めとして残念な事が多発しました。特に樋口先生はLFJでも重要な働きをされていましたから、その大変な御苦労は察するにあまりあります。かなり遅くなりましたが、内容が大幅に縮小されて、先生が「絶対聴くべきです」と推されていたドイツ・レクイエム2版が、コルボのキャンセルで潰れたのは、僕自身楽しみだっただけに残念至極でした。しかし関係者の皆様のおかげで、本格的に入り浸ったのが初めてになった今年は楽しませていただきました。

投稿: 崎田幸一 | 2011年7月11日 (月) 08時50分

崎田幸一様
コメント、ありがとうございます。
崎田さんも「B型の九州男児」ですか! 松本発言は、九州男児やB型の人間をも不愉快にさせるものでしたね。が、かくなるうえは、平野新大臣にしっかりやってもらうことを願うしかありません。
ところで、LFJのコルボのキャンセルですが、震災や原発が原因ではないようです。かなり重篤な病気のためにキャンセルになったと聞きました。現在、どのような状況かは知りませんが。回復していればいいのですが。私自身、ナントで聴いて心の底から感動し、今年の東京のLFJの最大の聴きものと位置付けていただけに残念でした。ぜひまた、次の機会に聴きたいものです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年7月12日 (火) 09時36分

コルボさんの指揮は昨年のLFJでモーツァルトのレクイエムを聴きました。あのだだっ広いフォーラムのホールA(それでも使えなくなると困る事はわかりましたが)いっぱいに、小編成のオケやコーラスで豊かな音楽が鳴り響きましたね。マエストロのご回復をお祈りします。
コルボ指揮のドイツ・レクイエムは来日に併せて、タワーレコードで再発されていました。店に行って、まだ入手可能なら買いたいと思います。2ピアノ伴奏版は聴ける見込みがありませんが、本命のオケ版が聴けるなら有り難いですね。

投稿: 崎田幸一 | 2011年7月13日 (水) 04時46分

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