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ザルツブルク3日目

 今日(8月17日)は、ザルツブルク見物をした。明日からのオペラに向けて、体調を整え、時差ぼけを直すことを第一に考えている。

 午前中、ホテルを出てまっすぐにモーツァルトの生家に向かった。まずはここから出発しなくてはいけない。博物館を見た。ここを訪れるのは、これで3回目だと思うが、それはそれで刺激的。モーツァルトの二人の息子の肖像画があった。一人は音楽家だったという。そういえば、これまでモーツァルトの息子について考えたことがなかった。

 その後、旧市街をうろうろし、大聖堂に入り、明日以降の会場になる祝祭劇場を確認し、ケーブルカーで丘の上にそびえるホーエンザルツブルク城塞に登った。私は、観光地に行くと、最初か最後には必ず、その町の最も高いところに上ることにしているので、きっとここも3回目だと思うが、記憶がなかった。それにしても速いケーブルカーだった。下りなど、さながらジェットコースタ! 事実、叫び声を挙げる子どももいた。

 城塞からの眺めはまさに絶景。ザルツァッハ川が蛇行し、そこに青い尖塔の教会や宮殿のある旧市街が広がっている。城っぽい壁が夏の光を受けて輝いている。緑が多く、静かな佇まいであることがよくわかる。今日は、気温が30度近い(とはいえ、湿気がないので、ずがすがしい)のに、丘の上にあがった途端に2、3度温度が下がったように思ったが、気のせいだったか。ともあれ、風が心地よかった。

 その後、市場でパンや果物を買って、ホテルに戻って昼食。

 出発前、知人に「おいしい食事や新しい出会いを楽しんでください」といわれたが、基本的に単独行動。食事は、ホテルのバイキングのほかは、屋台でのホットドッグやスーパーで買ったパン、果物で済ませている。その種の楽しみはまったくない。

 私は学生時代から、ずっとこんな旅を続けてきた。だいたいいつも一人旅。ヨーロッパでは一人でレストランには入りづらいので、必然的に食事も質素になる。なるべく飛行機は使わず、列車に乗って、流れる風景を見ながらぼんやりしている。目的地まではなるべく歩き、道に迷ったら迷ったで、それを楽しむ。

学生時代と異なるのは、ホテルがいくらか高級になったのと、夜の散策に出歩かなくなったこと、そして疲れたらためらわずにタクシーに乗ることくらい。あ、そして、以前はただ新しい土地を見たいがための旅だったのが、今は音楽祭が目当てになっている。が、ホテルの中でスーパーで買ったものを食べているのは、以前と少しも変わりがない。

 夕食も昼間買ったパンと果物で済ませた。パンは、中に木の実などの入ったもの。これはなかなかうまかった。ブドウとチェリーとイチジク(要するに、ナイフで使わずにむける果物)を買って食べたが、どれもうまくなかった。むしろ、まずいと表現するほうが事実に近い。残念。

 しかし、幸せをかみ締めている。高校生のころから、バイロイトやザルツブルクに行きたいと夢見ていた。きっとかなわぬ夢だろうと思っていた。が、それを実現できている。バイロイトには3回行った。私はイタリアオペラをほとんど見ないので、25年ほど前、新婚旅行の際にザルツブルクに寄ってちょっとだけ音楽祭を見たあとは、ザルツブルクに来るのをためらっていた。今年は、ネトレプコが「イオランタ」を歌い、サロネン指揮の「マクロプロス事件」とティーレマン指揮の「影のない女」が上演されると聞いて、ザルツブルク行きを思い立ったのだった。

 あすから、いよいよオペラを聴く。本当に楽しみだ。

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コメント

樋口さん、おはようございます。

はい、今年も行ってきました。
一応個人スポンサーなので、都合がつく限り行っています。

樋口さんの旅行食生活、私とそっくり(笑)
独りだと、レストランで食べても楽しくないんですよね。それにドイツ・オーストリアはあまり美味くない(失礼!)。食は日本やフランスに敵いません。今までは、個人経営のホテルでのんびりしていたんですが、次回からはルーム・サービスのある大ホテルにしようかな、と考えています。食事が面倒なので。

日本食では、「長野」という店がGETREIDEGASSE沿いにあります。

まあ、食事はオマケですよね。音楽が美味過ぎる、そんなところです、ザルツブルクは。

ザルツブルク旧市街は狭いので、長期滞在すると見所がなくなります。そこでオススメなのが、アウグスティーナ・ブロイ(ビール屋さん)とカラヤンのお墓。確か、前者は7番、後者は25番のバスで行けます。巨匠の眠るアニフ教会地区へは中央駅から30分ほど。田舎です。

クリストフ・ロイ演出の「影のない女」は、今では珍しくなくなった「読み替え」です。それも、かなり過激な。ベームがDECCAに録音した際のエピソードを下敷きにしているようです。詳しくはプログラムのインタビューで。プレミエ時は盛大なブーがありましたが、鬼才であることは確かです。

楽しんできてください。

投稿: ねこまる | 2011年8月18日 (木) 10時02分

そのネトレプコ出演公演の公開リハーサルの収益が、日本のミューザ川崎の修復のために寄付されることで、こちらでは話題となっています。13日だそうですから、ご到着前でしょうか。世界は、狭くなりました。この試みの発起人のひとりには、東響の音楽監督であるユベール・スダーン氏がいたそうです。しかし、空前の円高/ユーロ安で世界からの支援が目減りしてしまうのは皮肉なこと・・・。

投稿: アリス | 2011年8月18日 (木) 12時22分

ザルツブルクを中心としたご旅行を楽しんでおられる様子が今回も伝わり、僕も楽しく読ませていただいています。『イオランタ』にネトレプコが出演するなら、6月の無念が晴らせるでしょうか。しかもお国ものですし。尚、僕は元々緑丘高に入学以来チェロを学んだ事もあり、ロストロポーヴィッチはチェリストとして好きでしたが、指揮者としても素晴らしいですね。彼の指揮によるチャイコフスキーのオペラは、『スペードの女王』が名演で、『オネーギン』が意外につまらないですね。『イオランタ』は曲自体全く聴いた事がありませんので、いずれ聞き慣れる程になってからロストロ盤に辿り着く様にします。
尚ツヴァイクの『フーシェ』は岩波文庫の訳本で読みました。正直なところ僕には高度ですが、それでもこの奇妙な人物の生涯が面白く感じられました。
そういえば、ウィーンに行った時は、東京を基準に考えていたので、意外にこぢんまりした雰囲気に、ここが首都?と、いい意味で驚きました。ただウィーンは、食事やお菓子は美味しいですね。日本食が恋しくなりはしますが。

投稿: 崎田幸一 | 2011年8月18日 (木) 12時59分

ねこまる様

何度もザルツブルクにこられているのですか!
うらやましい限りです。
私も時間とお金が許せば、毎年でも来たいですね。
「影のない女」、ともあれ楽しみにしています。

投稿: 樋口裕一 | 2011年8月19日 (金) 16時10分

アリス様
ご無沙汰しています。そういえば、コンヴィチュニー批判、そのままになっていますが。
ネトレプコの話し、初耳でした。そのくらいのことはしてくれてもよいような気がしますね。
私は明日、ネトレプコのイオランタを見ます。まさか、ザルツブルクでキャンセルはないでしょう。

投稿: 樋口裕一 | 2011年8月19日 (金) 16時12分

崎田幸一様
ロストロポーヴィチの「イオランタ」、とてもいい演奏です。イオランタはもちろんヴィシネフスカヤですし。
昨日の「マクロプロス」はちょっと残念だったのですが、響は「コシ・ファン・トゥッテ」、そして明日、念願の「イオランタ」です。楽しみです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年8月19日 (金) 16時15分

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