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ケント・ナガノのバイエルン国立歌劇場管弦楽団は素晴らしかった

 9月28日、ケント・ナガノ指揮、バイエルン国立歌劇場管弦楽団演奏会に行った。曲目は、前半、ワーグナーの「タンホイザー」より、序曲とヴェーヌスベルクの音楽(パリ版)と、シュトラウスの「四つの最後の歌」。ソプラノはアドリエンヌ・ピエチョンカ。国版、ブラームスの交響曲第4番。アンコールは「ローエングリン」の第三幕への前奏。

 一言で言って、素晴らしかった。

 「タンホイザー」は、実に知的。音の重なりが絶妙で、構成感がしっかりしている。ただし、ワーグナー的なうねりはなく、かなり直截的で、ややエロスには欠ける。つまり、私の最も好きなワーグナーではない。が、力感があり、音に重なりが実に美しいし、小気味よいし、魂の奥に突き刺さる面がある。それはそれで見事な演奏。

 「四つの最後の歌」もとてもよかった。オケはますます色彩的になり、シュトラウスにピッタリの音になった。ピエチョンカの歌も実にいい。きわめてリート的な歌い方で、力任せに歌うのではない。小声の効果を上手に使う。観客をぐっと引きこむ力を持っている。第三曲「眠るとき」のヴァイオリンソロ以降は、まさしく絶品。ヴァイオリン・ソロも美しかった。

私は、この歌手、大いに気に入った。今回のバイエルンの公演でアリアドネを歌うが、楽しみだ。

後半のブラームスは実に整理された、構成のがっちりしたブラームス。ワーグナーがエロスに欠けていたと同じように、ブラームスも憂愁が不足。つまり、あまりロマンティックではない。もやもやした煮え切れないブラームス特有の暗さがないので、私としてはちょっと物足りない。とりわけ、第一楽章の出だし、少しもすすり泣き風の音楽ではないし、第一楽章の最後もドラマ性に欠ける。が、第三楽章から論理的な盛り上がりを見せた。感情で盛り上げるのでなく、音の積み重ねによって、息もつかせないほどの迫力を示す。そして、そのまま第四楽章に入り、理詰めに音を繰り広げていく。これはこれで凄まじい迫力。これには感服するしかない。 実に見事な演奏だった。最後、かなり感動した。

が、好きな演奏だったかというと、そうでもない。素晴らしいと思いながらも、大感動には至らなかった。ブラームスはもっと暗くあってほしいと私は思う。そして、ナガノはもう少し羽目をはずして、爆発してもいいのではないかと思った。きっと、この人が、我を忘れて知性をはみ出した時、ものすごい音楽が出てくるに違いない。

今回、バイエルン国立歌劇場の団員100名ほどが日本の放射能漏れのために来日を拒否したという。100名の中にオーケストラ団員がどのくらい含まれるかは知らないが、もし、全員が本来のメンバーだったら、もっとすごい演奏をしてくれたのかもしれない。次の機会を待ちたい。

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