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スクロヴァチェフスキのブルックナーは素晴らしかった

10月19日、東京オペラシティ、コンサートホールでスクロヴァチェフスキ指揮、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(この長い名称、なんとかならないものか!)のモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」と、ブルックナーの4番を聴いてきた。

 実は、スクロヴァチェフスキは苦手な指揮者だった。以前、ザールブリュッケン放送交響楽団と来日してブルックナー3曲連続演奏した時、つまらないと思った。妙に小手先の技を使って、音楽をいじり回す。しかも音楽が外面的で、ブルックナー特有の宗教性がない。「まるで、スターウォーズの音楽みたい」と友人にしゃべったのを覚えている。一部に、「精神性豊かで堅実」という評価があるようだが、この音楽がなぜそのように聞こえる人がいるのか、それどころか、そう聞こえる人が多いのか、私にはよくわからない。私には、効果を求めて音楽をいじりまわしているように聞こえる。

その後、読売日本交響楽団を振ったブルックナーも何度か聴いたが、印象は変わらなかった。そんなわけで、今回、恐る恐る出かけたのだった。

 モーツァルトに関しては、私はこの指揮者の嫌いなところが出た感じがした。わくわくしたところが少しもない。音楽が生きていないと感じる。第1楽章は安全運転という感じだったが、第2・3楽章は私には音楽が崩壊しているように感じられた。楽器同士の微妙なアンサンブルが生じない。第4楽章に入ってやっと音楽が生きてきたが、私からすれば、時すでに遅しと思った。まったく共感できずにモーツァルトが終わった。オーケストラについては、以前聴いたザールブリュッケン放送交響楽団よりもずっと精度が高まっていると思ったものの、この時点で会場に大喝采が起こったので、今回も、私はカヤの外なのではないかと恐れた。

 そして、ブルックナー。

 始まった途端に驚いた。まぎれもなくブルックナーの音が聞こえてきた。私が最後にブルックナーのナマを聴いたのは、新日フィル、ハーディング指揮の8番だった。あのときは、ブルックナーの音がいつまでたっても聞こえてこなかった。が、今回は、しっかりとブルックナーが聞こえてきた。しかも、モーツァルトと打って変わって、音の厚みが素晴らしい。鳥肌が立ってきた。

 第3楽章と第4楽章が特によかった。弦の音が実に美しい。菅楽器、とりわけホルンがいい。ちょっとしたミスはいくつかあったが、ライブでは当然だろう。そして、とりわけ音楽の躍動感が素晴らしい。澄み切った音のまましっかりと音が重なって、ブルックナー特有の恍惚がある。感動した。音の重なり、音の洪水に酔った。なるほど、これなら、スクロヴァチェフスキを最高に評価する人が多いのも当然だと思った。

 ただ、私のスクロヴァチェフスキ観は変わらない。やはりこの人は、即物的に音楽的効果を求めるタイプの音楽家で、宗教的、精神的な要素はあまりないと思う。ブルックナーではそれがうまくはまって感動を呼ぶが、音の効果を求める職人技の結果だと思う。

 ともあれ、もう少しこの指揮者を聴いてみたいと思った。明日のブルックナーは仕事のために聴けないので、NHK交響楽団を振る第九を聴きに行くことにした。

 ところで、今日、大失態を犯してしまった!

 コンサートの前にある出版社の方と打ち合わせの約束をしていたのだが、すっかり忘れてすっぽかしてしまった! 大分に出かける前まではしっかりと覚えていた。もちろん手帳にも書いておいた。ところが、昨日あたりから記憶から離れてしまったようだ。今日は午前中、大学に顔を出したものの、昨日までの疲れが出たようで異常に眠気を感じたので、このままコンサートに行くのはまずいと考えて、帰って昼寝した。その時点で、スクロヴァチェフスキのコンサートに行くことばかり考え、その前に約束していたことを忘れてしまったようだ。コンサートに向けて歩いているとき、携帯に電話が入って思いだしたが、もう間に合わなかった!!

 私が意識している限りでは、私の人生で2度目の約束のすっぽかしだ。申し訳ない限り!! きのうはひと月間違えてフランス料理の店に行ってしまった。このようなことが2度重なると、申し訳ないと同時に、自分のボケ加減を情けなく思う。

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コメント

20日ブルックナーの9番を楽しみに東京オペラシティコンサートホールに行きましたが、シューマンの4番に感動して帰ってきました。私は4番が好きで、CDではフルトベングラー、カラヤンを聴いていましたが、シューマンはコンサートで聴くとさらに素晴らしいことにびっくりしました。(シューマンの交響曲のコンサートは初めてです。)コンサートマスターのお姉さんがパワフルで素晴らしく、チェロも素晴らしいし、弦・管のバランスも大変良かったです。スクロヴァチェフスキのエネルギーにもびっくり。声を出しながら指揮していました。

投稿: brainforum | 2011年10月21日 (金) 01時33分

同じ演奏会を聴きました。
私も自分のブログに感想をしたためましたので、よろしければご笑読下さい。
樋口さんの感想は、私とはちょっと違うところもあるようですが、弦とホルンの音色に関しては、同じような感想ですね。

僭越ながら、私のブログ記事からこの記事にリンクを張らせていただきました。もし不都合があったら、ご連絡下さい。

投稿: ムーミンパパ | 2011年10月22日 (土) 01時05分

ムーミンパパ様
コメントありがとうございます。
ブログ、大変おもしろく拝見しました。異なった感想をいただいたところもあったようですが、まぎれもなく同じ場所で同じ演奏を聴いたこと、それを別の個性が聴いたことがよくわかるように思いました。
そうですね。確かに技術的には、N響のほうが上かもしれませんね。が、ブルックナーを演奏すると、技術というレベルでないものを感じますね。おっしゃる通りだと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2011年10月22日 (土) 23時24分

brainforum様
コメント、ありがとうございます。
スクロヴァチェフスキは、古典派よりもロマン派のほうがあっているのかもしれませんね。音楽をすっきりとまとめるよりも、あちこちで山場を作っていくタイプだと思います。…ただ、私はシューマンの交響曲はあまり聴きません。嫌いということはないのですが、ブラームスほど深い感動を覚えないのです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年10月22日 (土) 23時33分

Mr.S の同内容の公演、10月21日大阪ザ・シンフォニーホールで聴いた。同氏のジュピター私は大感激して聞いた。確かに少々個性的なモツアルトかも知れないが、逞しく生き生きした生命感にあふれる演奏で、初めてジュピターの名にふさわしい演奏に出会った思いがした。モツアルトの音楽がサロン的な優雅な音楽と思うのは大間違い。もっと反骨精神旺盛な独立独歩の大天才の作品だ。Mr.Sはオケメンバーすべてがソリストのごとくガンガン鳴らさせモツアルトの音楽の持つエネルギーの魅力を引き出していた。あまり偏った批評をしてほしくない。ブルックナーは言うことなしの名演。スコアの縦線がすっきり通ったそれでいて生き生きと活動する音楽。いい音楽で聴衆に感動を与えられるなら宗教性もへったくれもいらないと私は思う。

投稿: 仲町秀雄 | 2011年10月29日 (土) 07時58分

仲町秀雄様
コメント、ありがとうございます。
誤解しないでいただきたいのですが、私は「批評」をしているわけではありません。音楽の愛好家である素人として、「感想」を述べているのです。だからこそ、あえて「苦手」「嫌い」などという「批評」で使うべきではない言葉を使っております。
私は、私の好むモーツァルト観、ブルックナー観に基づいて感想を述べているにすぎません。
なお、私も30代のころまで、自分の感性と異なる人の批評や感想を読んでは、「あまり偏った批評をしてほしくない」「なんと音楽を理解していない人だ」などと傲慢なことを思っておりましたが、現在では、それを反省しております。今では、さまざまな音楽観があり、それなりの耳を持った人の異なった感じ方を尊重したいと思っております。

投稿: 樋口裕一 | 2011年10月29日 (土) 10時18分

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