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ヨランダ・アウヤネは大歌手だった

 11月10日、武蔵野市民文化会館小ホールでスペインのソプラノ歌手ヨランダ・アウヤネによるリサイタルを聴いた。ピアノは、フリオ・アレクシス・ムニョス。素晴らしかった。期待をはるかに超えた素晴らしさ!! いや、それどころか、世界最高レベルといって間違いない素晴らしさ!!

 前半はスペイン歌曲。モンポウ、アルフテル、トゥリーナ、グラナドスなどの作曲家による作品。グラナドス以外は名前を聞いたこともなかった。が、いずれもおもしろい。後半は、「アンナ・ボレーナ」、「イル・トロヴァトーレ」「ドン・ジョヴァンニ」「つばめ」「椿姫」などのアリア。

 大変な美貌の持ち主で、かなり若い。だから、声の面ではこれからの人かと思っていたら、そんなことはない。すでに完成されている。強靭な美声で音程がしっかりしている。ヴィブラートが少なく清潔感が漂う。歌い回しも堂々たるもの。初めて聴くスペイン歌曲なのに、何度も深く感動した。歌の気分に合わせて、聴く側もうきうきしたり、深く沈潜したり。感情を実に自然に操ってくれる。

それにしても、スペイン語の影響なのか、伝統的なスペインの歌の影響なのか、フラメンコなどで聴き慣れた独特の節回しがあちこちで出てきて、おもしろい。そして、スペイン的な開放的でありながらも強い意志が感じられる。

 後半のイタリアオペラもまったくもって素晴らしい。「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナの歌もしっかりした音で、実に迫力がある。「椿姫」の「ああそはかの人か」と「花から花へ」はとりわけ絶品。強い声は会場中に響き渡る。声の美しさ、容姿の美しさ、歌い回しの見事さ、すべてにおいて、もしかしたらネトレプコに匹敵するかもしれないと思った。

 アンコールは3曲、いずれもスペインの曲のようだった。興奮するほどすごい。

 ピアノも歌に負けずに素晴らしかった。スペイン的というのか、とても明朗な音。くぐもったところがない。が、それでいて、実に繊細。研ぎ澄まされた美しい音なのだが、味わいがある。歌にもぴったりと合っている。

 この歌手、これから世界をリードする大歌手になる人だと思う。武蔵野市民文化会館で取り上げられる歌手たちのレベルの高さに改めて驚いた。これだから、このホールでのコンサートに通うのをやめられない。

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コメント

同感です。私も素晴らしいコンンサートに興奮しました。ヨランダの品があり堂々とした態度とそれを支えるテクニックは凄いと思いました。
そしてピアノの音と声との調和に感動した久しぶりのコンサートでした。
涙が自然に流れました。会場は熱気と興奮に満ちていました。
このような企画をして下さっている武蔵野文化財団に感謝します。
また二人のリサイタルがあったら是非聞きたいと思いました。

投稿: NY | 2011年11月13日 (日) 22時56分

NY様
コメント、ありがとうございます。
あんなすばらしい演奏でしたのに、あまり話題になっていないようで残念です。ネットで調べても、あまりヒットしませんね。武蔵野以外では、ほとんどコンサートは開かれたなかったのでしょうか。もっといろいろな歌を、あの二人のデュオで聴きたいものです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年11月14日 (月) 18時56分

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