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新国立劇場公演「こうもり」はとても楽しかった

 12月7日、新国立劇場でオペレッタ「こうもり」を見た。満足。「こうもり」は実に楽しい。

 指揮は ダン・エッティンガー。ウィーンっぽい軽みはなかったが、それはそれで切れの良いしっかりしたヨハン・シュトラウスだった。ちょっと歌とオケが合わないところがあったが、まあそれは許容範囲だろう。東京フィルも楽しい音楽を演奏してくれた。文句なし。世界のレベルに決して劣らないと思った。

演出はハインツ・ツェドニク。かつて大好きな歌手だったが、今や演出家として、楽しくて手なれた演出を見せてくれる。楽しさの多くは気の効いた演出のおかげだ。

 歌手はみんな水準以上。アイゼンシュタインのアドリアン・エレート、ロザリンデのアンナ・ベルクマン、フランクのルッペルト・ベルクマン、ファルケ博士のペーター・エーデルマンは芸達者で演技力もあり、声もいい。

 私が特に気に入ったのは、オルロフスキー公爵役のエドナ・プロホニク。この役はアグネス・バルツァが歌うということで楽しみにしていたが、残念ながら実現しなかった。が、バルツァに劣らないほどの存在感。この不気味にして不思議な役を実におもしろく歌ってくれた。得体の知れなさが実にいい。

 日本人歌手もまったく引けを取らない。アデーレの橋本明希、アルフレードの大槻孝志ともに実に見事。とりわけ、橋本さんは実にチャーミングでよかった。

 30年以上前、二期会の上演する「こうもり」を見て、日本人がこのオペレッタを上演すると、ヨーロッパのもののように洗練されたものにならないのを感じたことがある。外国人がたくさん加わっているとはいえ、このレベルの上演が日本でできるようになったことに、改めて月日の流れを感じる。

 アールヌーヴォー風でおしゃれな舞台、豪華な衣装、楽しいバレエ、日本人離れした脚の長いバレリーノやバレリーナ。一世代前からは考えられない。実に洗練され、実に楽しい。硬いことを言わないで楽しむ雰囲気がにじみ出ている。

 私は、45年ほど前にカラヤン指揮、フィルハーモニア管弦楽団のレコードで聴いて以来、このオペレッタが大好きだ。しかも、当時、フルトヴェングラーやカラヤンの第九や「フィデリオ」や「ばらの騎士」で大好きだったオットー・エーデルマンの息子さんのペーター・エーデルマンの歌を聞けたのも嬉しい。以前、このエーデルマンがアイゼンシュタインを演じるのを聞いた覚えがあるが、今日はファルケ博士の役。

 ともあれ、とても楽しい気分で自宅に帰った。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いております。つい最近、私もブログを開設し、CDの試聴記や新国立劇場の公演の感想などを書いております。「こうもり」は実に楽しい舞台でしたが、個人的にはロザリンデ役が少し物足らず、舞台に酔うところまでは至りませんでした。人妻の色香がこぼれ落ちるような歌を期待してたのですが・・・。先日の「ルサルカ」のレビューも併せ、お暇な折に拙ブログを覗いて下されば幸甚です。

投稿: 猫またぎなリスナー | 2011年12月17日 (土) 16時21分

猫またぎなリスナー様
コメント、ありがとうございます。
ブログ拝見しました。とても納得のいく内容でした。
「こうもり」についても「ルサルカ」についても、私もほとんど同じ意見です。それぞれの曲への思い入れに多少の違いがあるために、ところどころで異なった感想を抱いているように思います。
ロザリンデについては、私は中学生ころからカラヤン+フィルハーモニア盤のシュヴァルツコップの歌を聴いてきましたので、心の奥ではそれ以外のすべての歌手に酔えなくなっています。そんな私からすると、今回のロザリンデはほかの歌手に比べて特に酔えないということはありませんでした。ともあれ、とても楽しいオペラッタに仕上がっておりましたので、私はそれで満足です。
「ルサルカ」には、私はもっと深い感動を求めていました。数日後に見たDVDのほうに衝撃を覚えました。
自分でブログを書いた後、あるいは書く前に、ほかの方のブログをのぞくことがあります。きっと今後、何度もブログを拝見すると思います。
ただし、私はほかの方のブログにコメントすることは差し控えております。私は本を書いておりまして、それをブログの中で批判している方、ほめてくださる方などかなりおられます。ときどき、私の本を攻撃しているブログを見かけて、反論したくなります。的外れな批判をたしなめたくなります。ほめてくれているブログを見て、お礼を言いたくなります。が、一度、それをしてしまうと、節操がなくなる気がして、ぐっと我慢しております。そのため、他人のブログには口出ししないことを鉄則にしております。

投稿: | 2011年12月19日 (月) 10時08分

思いがけず長文のご返信、ありがとうございます。シュヴァルツコップのロザリンデは残念ながら未聴ですが、「ばらの騎士」の彼女の元帥夫人には全く同じ感想をもっており、良く分かるような気がしました。後段の、他人のブログには口出ししない云々の件は、先生のお立場からすれば当然のことと思います。それよりも、これから先生のような高い見識の方に、時折私のブログをご覧頂けるとなれば、ブログ初心者の私には大きな励みとなります。これからもよろしくお願い申し上げます。

投稿: 猫またぎなリスナー | 2011年12月19日 (月) 20時56分

猫またぎなリスナー様
コメントありがとうございます。
もし、興味がおありでしたら、カラヤン+フィルハーモニアの「こうもり」をお聞きになってみることをお勧めします。シュヴァルツコップのロザリンデは、好悪がはっきりと分かれると思いますが、ほかの歌手たちとまったく異なるアプローチであることは間違いないと思います。カラヤンもほかの歌手たちも素晴らしいと思います。
私は、あのレコードを最初に聞いてしまった幸せと不幸を、今も味わっています。

投稿: | 2011年12月20日 (火) 23時11分

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