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やっぱり私はスクロヴァチェフスキが苦手 N響の第九

 12月26日、NHKホールでスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮、NHK交響楽団の第九演奏会を聴いてきた。やはり、私はスクロヴァチェフスキのよさがわからない。

 前にもこのブログで書いたとおり、私はスクロヴァチェフスキが苦手だ。が、この指揮者を高く評価する人が多い。前回、ブルックナーを聴いて、これまで聴いたこの人の演奏ではかなり良かったので、今回、ベートーヴェンの第九を聴いてみたいと思って、足を運んだのだった。

 が、やはり、スクロヴァチェフスキが苦手であることを確認して帰ってきた。

 私は、「精神性」という言葉は好きではなく、あまりこの言葉を使うことはないのだが、スクロヴァチェフスキに関しては、まさしく「精神性がない」と感じてしまう。音の機能面は確かに見事だが、この指揮者の音楽はそれだけしかないと感じる。私の感覚とまったく逆に、この指揮者に精神性を感じる人がいるようなのが、不思議で仕方がない。私は、スクロヴァチェフスキの音楽になぜか感動しない。

今日も、ほかの指揮者だと間違いなく感動する部分で、なぜか少しも私の心は反応しなかった。どこが笑うべきところなのかわからないまま過ぎていく下手な漫才を見ているような気持。一部の楽器を強調するような場合も、私はそれをしばしば不自然で、音楽が停滞すると感じる。そして、外面的な効果のみを追いかけているように思う。

第三楽章は、ほかの楽章よりもよいと思ったが、それでも不発。第四楽章も、何も感じないまま終わってしまった。

第四楽章の独唱が入る部分が近づいても、その姿が見えないので、きっと合唱団のどこかにいるのだろうと探していたら、歌い出す直前になって打楽器奏者とともに四人の歌手が左側から登場した。第三楽章や第四楽章の前に登場すると、必ず拍手が起こって、音楽が寸断されてしまうので、この方法が最も理にかなっていると思った。ほかの指揮者にも採用してほしいものだ。

それにしても、なぜ私はスクロヴァチェフスキに感動しないのか。いや、私がまったくつまらないと感じる音楽を、なぜ多くの人は良い演奏だと思うのか。謎だ。

寒い中、納得いかない思いで帰途に就いた。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

私も26日のスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮のN響の第九
を聴きました。正直言いまして、単調で盛り上がりに乏しく、長
く感じられた演奏でした。
独唱の人たちが楽器の後ろだったので声が聞こえづらく、合唱だ
けが目立った感があります。
登場の仕方から、位置はサイドの後ろしかないのかもしれません
が、独唱の良さが全く伝わって来ませんでした。
昨年のヘルムート・リリング指揮の演奏も独唱も素晴らしかった
ので、今年は少し席を奮発したのですが、とても残念だった気が
します。

投稿: mitsu | 2011年12月27日 (火) 17時34分

mitsu様
コメント、ありがとうございます。
私も、まったくそのように思いました(残念ながら、昨年のリリングは聴きませんでしたが)。でも、きっと、あの演奏を絶賛する方がたくさんおられるのだと思います。わたしはいつも不思議な気持ちに駆られてしまうのです。
合唱も、あまり良くありませんでしたね。がなりたてる感じでした。前日の大野さんと都響のときの合唱のほうが人数は半分以下(もしかして三分の一くらいかも?)であるにもかかわらず、ずっと迫力がありました。
独唱陣は、実は私の席からはまっすぐに聞こえてきましたので、あまり気になりませんでしたが、席を選ぶでしょうね。来年を期待したいものです。

投稿: | 2011年12月28日 (水) 07時55分

年末、地方へ旅行中。ティーレマンのベートーヴェン・チクルスをクラシカジャパンで16時間ぶっとおしで聴きました。なぜ16時間以上になるかというと、作品ごとにドイツ評論の泰斗、ヨアヒム・カイザーとの対談があったからです。ティーレマンの演奏の視座を知る良い機会でした。
樋口先生のN響の第九聴後感は実にうなずけます。さすがですね。

今、スカラ座バレンボイムのワルキューレを観たところ。バイロイトでも実績あるバレンボイム、がんばっていたが、最後のところなどティーレマンにはかなわないと思いました。歌手たちは熱演でした。

投稿: 白ネコ | 2011年12月29日 (木) 06時05分

スクロヴァチェフスキは、第9を冷めた視点で演奏してくれるので私はいいと思ってます。
そうですね・・・ベートーヴェンの人物像をみじんも感じさせないところがいいのです。

スクロヴァ作曲の第9。

私は慶応卒で、それなりに愛校心もありますが、福沢諭吉さんがどうかといわれても今の時代の人間なので返事に困る。。。
会ったことがないので、、、

スクロヴァ氏もどうしてそういう演奏をするのか、本音は語ってくれないでしょうねえ。

投稿: あんだんて | 2011年12月29日 (木) 11時33分

白ネコ様
コメント、ありがとうございます。
このところ、原稿を書くのに忙しく、クラシカ・ジャパンをチェックするのを怠っていました。残念! NHK・BSは録画しましたが、まだ見る時間が取れずにいます。コンサートにしばしば行っていますので、CDやDVDやテレビに手が回りません。
手元に未聴のCDがたまるばかり。第九だけでも10枚以上、最近購入してまだ聴いていないものがあります。
正月には少しだけでもゆっくりしたいと思い、ここ数日、とりわけ仕事にいそしんでいました。そのため、年が明けたら、少しは時間が取れそうです。

投稿: 樋口裕一 | 2011年12月30日 (金) 10時40分

あんだんて様
コメント、ありがとうございます。
冷めた視点でも、私はドホナーニなどは大好きで、深く感動するのですが、スクロヴァチェフスキに関しては、覚めた視点のよさも感じないのです!
特に嫌いということはないのですが、どこがよいのかわからずにいます。

投稿: 樋口裕一 | 2011年12月30日 (金) 10時44分

はじめまして。

地方在住なのでコンサートやライヴとは10数年縁のない生活をしております。

海外のクラシック番組をチェックしていましたら、明日スクロヴァチェフスキがミネソタでブルックナーの8番をやるそうです。

「93歳で立ったまま指揮をする稀有なご老体の演奏を聴いて長寿にあやかりたい」


この人の演奏会に足を運ぶ人たちは恐らくそれを云えば身も蓋もないので、やれポストモダンの旗手だのと無理矢理にレッテルを貼って持ち上げているだけだと思います。(若しくは自分を納得させている)

朝比奈やフルネがいなくなったのでその替わりですね。


何しろ一つの蓺ごとを八十年近くやってきた人間が自分と同じ現代にいること、そのことに対する驚異と畏敬。

それのみだと思います。


因みに、彼のブル8ですが、チェリビダッケが頭に染み込んだ私には第四楽章の終結部はじめ馴染めるものではありません(笑)。

但し、10年前くらいの(もちろんラジオです)7番はなぜかドライブにピッタリなので時々運転しながら聴いています。

ヒーリングに近い音楽です(笑)。


Mr.Sのファンが読まないことを祈ります。


お邪魔しました。

投稿: でんすけ | 2016年10月15日 (土) 00時16分

でんすけ 様
コメント、ありがとうございます。そうなんです。とりわけ、スクロヴァチェフスキのブルックナーに関しては、私は薄っぺらな気がして仕方がないのです。なぜ、あれを絶賛する方があれほど多いのかも理解できずにいます。ブルックナーの演奏で私が敬愛するのはヴァント、そしてハイティンク、バレンボイムです。チェリビダッケは、その昔、ミュンヘンとの実演も何度か聴きましたし、当時は大感激したのですが、さきごろ、CDを聞き返してみましたところ、少々ブルックナーの世界がゆがみすぎているような気がしました。そのうち時間ができたら、CDをじっくりと聴き比べてみたいと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2016年10月22日 (土) 10時49分

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