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我が家のイチジクの木、そして多摩フィル

 我が家の庭にあるイチジクの木。大分県日田市の山里にある母の実家から接ぎ木したものだ。接ぎ木して4年、やっとおいしい実をつけ始めた矢先、昨年の台風で倒れてしまった。生き残った幹があるように見えたので、なんとか今年も実をつけるのではないかと期待していたが、やはり無理だったことがわかった。

 植木屋さんに頼んで剪定してもらおうとしたところ、幹が腐っており、ほとんど立ち枯れの状態にあると告げられた。

 庭の別のところに接ぎ木したもう一本も根付かなかった。どうやら、母の実家のイチジクを東京の我が家に接ぎ木すること自体が無理のようだ。

 大好物のイチジクだが、庭になっているのを食べるという贅沢を味わうのは諦めることにしよう。残念だけど!

 今日は、朝から大学で会議が3つ。そして、その間に雑誌の取材を受けた。その後、稲城市立iプラザホールで開かれたフィルハルモニア多摩の第10回定期演奏会に行った。

 フィルハルモニア多摩は、私たちのゼミでしばしば演奏をお願いしている多摩地区のプロのオーケストラ。以前、その力量の高さに驚き、また音楽監督の今村能さんの見事な指揮ぶりにほれ込んで、機会のあるごとに聴くことにしている。とりわけ、今回は、多摩大学の学園祭で演奏してもらったファゴットの湯本さんがソロで協奏曲を演奏するというので、ぜひ聴きたいと思った。

 曲目は前半にヴェーバーの「魔弾の射手」序曲とファゴット協奏曲。後半にベートーヴェンの交響曲第7番。

「魔弾の射手」序曲の前半は、オケの縦の線が合わずに、かなりぎこちなかったが、徐々に安定してきた。後半はしっかりとヴェーバーの世界を作り出した。ファゴット協奏曲は見事だった。とりわけ、ファゴット・ソロの湯本真知子さんは素晴らしい。感情に流されず、実に知的。だが、十分にロマンティック。一つ一つの音が美しい。指揮の今村さんの力もあるのだろうが、音楽の組み立ても理にかなっていて、私は音楽に引き込まれた。

 ベートーヴェンの第7番も見事な演奏だった。今村さんの指揮にしっかりしたメリハリがあり、盛り上げるところは盛り上げて、実にいい。とりわけ、第三楽章スケルツォからフィナーレにかけて、リズムが躍動し、無理なく自然に大きな爆発に導いていく。

 金管楽器がずっと苦しそうだったのが、残念だったが、このレベルの演奏を、稲城駅前のホールで聴けるのは実に幸せだ。もっともっと多摩フィルが地域に根づいてくれることを祈る。

 ところで、このブログに書いたとおり、先日、スクロヴァチェフスキ指揮、読売日本交響楽団のコンサートで隣に座った人に私が演奏を聴きながら頭を動かしていることで注意された。それ以来、音楽を聴くのが怖くなっていた。もしかしたら、私は音楽を聴きながらいつも首を振っているのではないか、周囲の人に迷惑をかけていたのではないか。そんなわけで、今日は自由席だったので、人様の迷惑にならないように一番後ろの席に座った。そして、時々我に返りながら、自分が頭を動かしているかどうか気をつけていた。

 が、どうやら私は、ベートーヴェンの第7番というリズムの権化のような曲を聴いてさえ、頭を動かしているわけではなさそうだ。スクロヴァチェフスキの演奏を聴いて、頭を動かしたのは、ほんとうにたまたまつい音楽に夢中になってしまったかららしい。

 ちょっと安心した。同時に、また我を忘れたら、頭を動かすのではないかと心配になった。

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コメント

去年の大晦日から今年元日未明にかけてサントリーホールで行われた、ウィーン・フォルクスオパー響によるカウントダウン・コンサートに行きました。プログラムはシュトラウス一家(主にヨハンⅡ世)などのワルツやポルカ、オペレッタからのアリアや二重唱です。素晴らしい歌手二人と、フォルクスオパー専属のバレリーナや男性ダンサーによる踊りも加わり盛り上がりました。またオーケストラの音はウィーン・フィル以上のローカル性が感じられた素晴らしい演奏で、大満足でした。
そのコンサートでの事、ぼくのすぐ近くの席に若いカップルが座り、隣り合わせになった女性の方はワルツのリズムに合わせて体を少し揺らしており、チラリと見ると幸福そうな表情になっています。恐らくはロック等のライヴで自然に行っている事でしょう。ぼくはその時「これが本当の楽しみ方だ!」と目から鱗が落ちた思いがし、堅苦しい聴き方に慣れていた自分を少し反省しました(もちろんこの手のコンサートだから良かったんですが)。そして女性のジェスチャーにより、益々楽しくなるという華を添えてくれたと心の中で感謝しました。
さて、ベートーベンの7番は樋口先生のおっしゃる通り、ワーグナーが「舞踏の聖化」だったか「バッカスの饗宴」と呼んだ曲ですね。バッカス酒の神様ですね。そして酒に踊りはつきものです。ワーグナーが言ったのはどちらかはともかく、いずれもこの曲全体を支配するのは舞曲的なキャラクターである事を表現しており、どちらも正しいと思います。ですから先生がこのコンサートで拍子を取る事は少しも間違いではありませんし、もしそうしておられていたなら、今村さんの指揮するフィル多摩がそれだけ素晴らしかったという事です。コンサートやオペラ等のライヴでは、他に迷惑な例はありますから気になさる事はないですよ。

投稿: 崎田幸一 | 2012年3月20日 (火) 20時39分

崎田幸一様
コメント、ありがとうございます。そして、私の「揺れ」を弁護してくださり、とてもありがたく思います。
確かに、あれ以来、頭を動かさないようにすることを意識してしまって音楽に没入できずにいます。が、やはり、私のせいで音楽に入り込めずに困った人がいるというのは事実ですので、反省しないわけにはいかないと思っています。
コンサートに来ている人のみんなが、私のブログに好意的なことを書いてくださった「ムーミンパパ」さん、「アリス」さん、崎田さんのような方ばかりではないと思いますし。
あのコンサートの日、音楽に深く感動しながらも、ひどいショックを受けていたのですが、みなさんのおかげで元気を取り戻すことができました。ありがとうございました。

投稿: 樋口裕一 | 2012年3月21日 (水) 21時33分

ザルツブルク音楽祭など、素晴らしい演奏には、女性でもハイヒールの足を踏み鳴らせて拍手したり、イギリスのプロムス・コンサートでは、大人がぬいぐりみを頭へ乗せて、みんなで音楽に調子を合わせて揺れ動いて、共に演奏を楽しむのが常でした。これは別にふざけて聴いているのではないのです。実に自然なスタイルで、良質な演奏を皆で享受しているのです。

日本ではともすると、クラシックのコンサートはかしこまって聴くべし、という風潮があるようですが、自然体で楽しむのがいいのではないでしょうか。
樋口先生も、これからもどしどしコンサートへいらして楽しんでください。

投稿: 白ネコ | 2012年3月24日 (土) 00時13分

白ネコ様
コメント、ありがとうございます。
あまり大きな身動きはしないように気をつけながら、大いにコンサートを楽しもうと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2012年3月25日 (日) 08時31分

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