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東京・春・音楽祭の素晴らしい「タンホイザー」

 4月8日。午前中、都内で用を済ませて、午後、上野に向かった。オペラまで少し時間があったので、上野公園を歩いてみた。桜が満開だった。上野駅から上野公園にかけて花見客でラッシュ時の駅並みの混雑。公園も茣蓙を敷いて酒を楽しむ人、道を歩く人でごった返していた。

 上野という土地柄もあるのかもしれないが、花見客のなかに外国人がたくさん混じっていた。周囲で中国語、韓国語が聞こえてくる。白人もインド系の人も東南アジア系の人も大勢見かけた。観光で日本に来たついでに花見に来た人もいるだろうし。定住している人もいるだろう。いずれにせよ、時代の変化を感じた。

 15時から、東京文化会館で東京・春・音楽祭の「タンホイザー」を見た。素晴らしかった。久しぶりにワーグナーを堪能した。

 指揮はアダム・フィッシャー。官能性を求める演奏ではなく、むしろ切れがよく鋭利でびしっと決まった演奏。これはこれで素晴らしい。このようなアプローチも「タンホイザー」は悪くない。

 背後に映像を流してのコンサート形式。余計な演出がないだけ、音楽の集中できてなかなかいい。バイロイトもこのようにしてくれるほうがずっと感動できるのではないかと思うほど。馬鹿げた演出がいかに音楽を邪魔しているか、音楽だけでいかに雄弁かを改めて感じる。

 歌手も全員がとてもよかった。とりわけ、タンホイザーのステファン・グールドとヴォルフラムのマルクス・アイヒェが超一級。バイロイトでもこのクラスの歌はなかなか聴けない。グールドの素晴らしさはこれまで何度も聴いて知っていたが、アイヒェは初めて聴いたと思う。知的な歌い回しだが、嫌味ではない。美声で音程もしっかりし、情感もある。すごい歌手だ。

 領主ヘルマンのアイン・アンガーもとてもよかった。初めのうち、少し音程が不安定なのではないかと思ったが、その後、まったく危なげなかった。不安定に思ったのは、もしかしたら、私の勘違いかもしれない。

 エリーザベトのペトラ=マリア・シュニッツァーとヴェーヌスのナディア・クラスティーヴァはいずれもなかなかの歌い回しで容姿もいいのだが、グールドやアイヒェほどの感銘は受けなかった。だが、もちろん、バイロイトで歌ってもまったく通用するレベルであることは間違いない。

 三人の日本人歌手(牧童の藤田美奈子、ハインリッヒの高橋淳、ラインマールの山下浩司)は出番は外国人歌手よりもずっと少なかったが、まったく引けを取らないと思った。日本人歌手のレベルも確実に上がっている。

NHK交響楽団もさすが。実に美しい音。ほかの日本のオケではここまでの音は出せないだろうと思った。ホルンが何度か音を外したのは、残念。それと、私の席のせいだと思うが、トロンボーンがあまりに大きく響いて、ほかの楽器がよく聞こえなかった。

ともあれ、実に満足。このレベルのワーグナーを日本にいながらにして見られるようになったということの幸せを改めて感じる。

明日までに仕事を仕上げなければならない。ブログを書くのはこのくらいにしておく。

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