樋口ゼミ主催唐木田菖蒲館コンサート大成功
5月26日、多摩市の唐木田コミュニティセンター菖蒲館で多摩大学樋口ゼミ主催のコンサートを開いた。70席ほどのこじんまりした会場だったが、ほぼ満席になり、とてもよいコンサートになった。
私のゼミでは多摩地区の文化の活性化、そして子ども、若者、高齢者のコミュニケーションの活発化のためにクラシック音楽のコンサートを開いている。今回は、学生の企画によって、映画で使われたクラシック音楽を中心に曲目を選んだ。
今回、演奏をお願いしたのは、久保山菜摘さん(ピアノ)、犬嶋仁美さん(ヴァイオリン)、松本亜優さん(チェロ)の若い女性三人。桐朋学園大学で学ぶ大学生だが、三人ともいくつものコンクールに上位入賞している実力者たち。
演奏は実に見事だった。海外まで出掛けてまでコンサートを聞いている私からすると、もちろん世界最高レベルの演奏との違いは感じたが、これほどの演奏を若い人々が、しかも狭い会場で目の前で演奏してくれるのは、実にすばらしい。私は心から音楽を楽しみ、何度も深く感動した。いずれも若さにあふれる演奏。これは高齢の世界的演奏家にもまねができない。
とりわけ、三人によるショパンとメンデルスゾーンのトリオ、久保山さんと松本さんによるドヴォルザークのチェロ協奏曲(ピアノ伴奏版)、久保山さんと犬島さんによるツィゴイネルワイゼンに感動した。将来楽しみな三人だと思った。
このままで日本有数のピアノ三重奏団として活動できるレベルだと思ったのは、ひいき目ではなかろう。実をいうと、私自身としては、今回のような有名曲の細切れではなく、本格的なトリオをこの三人で聴いてみたいと思った。
学生の運営についても、ふだんの学生を知っている私からすると、信じられないほどしっかりとやってくれた。少しもたついたところはあったが、会場の条件などからして、やむを得なかったと思う。学生たちをほめてやりたい。
コミュニティセンターの職員の方々にも様々な配慮をいただき、感謝することばかり。このような活動をしてきてよかった、もっとこのような活動を続けていきたいと改めて思った。
忙しくて、ブログの更新がなかなかできない。学務、小論文系の仕事、執筆の仕事、私用が重なって動きが取れずにいる。我が家のステレオから、しばらく音が出ていない。音楽は移動中にipodやカーステレオで聴いている程度。今日と明日、少しだけ時間が取れることを期待している。
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コメント
今回はじめて聴かせていただきました。トリオよかったですね。最初のショパンを聴いたとき、千円でこれは安すぎると思ったくらいでした。特に座っていた場所の関係でしょうが、できればヴァイオリンとチェロだけによるデュオも聴きたかったですが、とにかく想像以上の演奏でした。二十歳そこそこのトリオということですが、若い人はひとつスイッチが入ると勢いと熱さが素晴らしいなあと、あらためて感じたものでした。このトリオ、ぜひ別の機会にじっくり聴いてみたいものです。そのときはショパンやメンデルスゾーンの全曲、それにアレンスキーなどもぜひ聴いてみたいです。
アンコールも含め12曲、途中15分の休憩を含めほぼ二時間という長丁場にもかかわらず、ひじょうに係りの方がそつなくいろいろと進行させていくのにもたいへん感心しました。ただスリッパの音がけっこうするのにはけっこう驚きました。けっこう係りのみなさんが歩くのに苦労していたので、そのへんがちょっと苦労されているようでした。
今回初めてゼミ主催コンサートを聴かせていただいたのですが、とにかく毎回これをやっているのかと思うと、ほんとうにたいへんという気がしました。一回だけならともかく継続しているのですから頭が下がります。これからもぜひ音楽の地域での活性化に、より繋がるようがんばってください。本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。
投稿: かきのたね | 2012年5月27日 (日) 13時14分
編集間違えて「~ですが」の連発になってしまいました。読みづらくてすみません。
投稿: かきのたね | 2012年5月27日 (日) 13時25分
樋口先生
名演奏者 各位
コンサートの成功 あめでとうございました。
多摩地区の文化の活性化、そして子ども、若者、高齢者のコミュニケーションの活発化のためのクラシック音楽コンサート------- というコンセプトがよく活かせたようですね。
都心でのコンサートでは、とてもこうした暖かい雰囲気は出せませんし、またプログラムに小品を取り合わせることは無理だったことでしょう。
お客様に身近で喜んで貰えることが一番で、そのお客も、買い物帰りに一寸エプロン姿で立ち寄ったという雰囲気が齎らされれば最高なのではないでしょうか。
メンバーは、同じ学校の気心知れた学友というのは、演奏の息を合わせるのにはもってこいです(トリオというのは実に難しいものだと思います)。
ポピュラーなよく知られた小品を聞かせる、というのは(恐らく)気を遣うことでしょうが、そこは3人の技倆で乗り切ることは難しくはないでしょう。
しかし、お客の目の前で、呼吸が聞こえるほどの距離で弾くというのは、恐らく奏者にとってはなかなか大変なことのようです。
奏者の息使いや譜面をめくる音が聞こえるのは親近感があっていいと思われますが、やはり弓使いで自然に起る小さな音だとか、困難箇所での雰囲気だとか、奏者にとっての(大ホールでは分らない)試練というものは、どんな名人にとってもありうるものだと思われます。
こういうのは、教科書には書いてありませんが、当然に乗り越えられるべき問題です。
小ホールでの演奏は、奏者にとっても聴衆にとっても、好ましい経験が得られる舞台だと言えます。
とにかく大成功裡にめでたく終了したことをお喜び申しあげます。
詰まらぬ、感想にもならぬことをしるして失礼しましたが、今後、名トリオとして成長して頂きたいものと、期待しております。 権兵衛
投稿: 権兵衛 | 2012年5月28日 (月) 12時24分
先日は本当に感動しました。こころ新たにできる演奏会でした。ブログでも書かせていただきました。今後の皆様のご発展をお祈り申し上げます。ありがとうございました。
http://chiero.jp/otamajacksy/?p=100
http://chiero.jp/otamajacksy/?p=88
投稿: ちえろう | 2012年5月29日 (火) 18時49分
かきのたね様
コメント、ありがとうございます。演奏者、そしてゼミ生、そして私自身にとっても大変な励みになります。本当にありがとうございます。
集客が難しく、モティベーションを維持するのが大変なのですが、このようなお言葉をいただけると、次回の企画が進みます。
このような活動を続けて、ぜひとももっと多くの人にクラシック音楽の楽しみを気軽に味わっていただきたいと思っています。そして、今回の三人がもっと活躍できる場が得られるように、私たちのゼミもできるだけのことをしたいと思っています。
投稿: 樋口裕一 | 2012年5月30日 (水) 09時06分
権兵衛様
コメント、そしてご配慮のこと、本当にありがとうございました。コンサートは、演奏家だけでなっているのではなく、支えるスタッフ、ホール関係者、温かく見守ってくれる観客、そして見守ってくれる人々など、様々な人から成っていることを、このような活動をすることによって痛感します。
今後もこのような活動を続けていきたいと思っています。これからもなにとぞよろしくお願いいたします。
投稿: 樋口裕一 | 2012年5月30日 (水) 09時10分
ちえろう様
コメントありがとうございます。
ブログを拝見いたしました。先日のコンサートをおほめいただいて、とてもうれしく思います。ゼミ生にもこのことを伝えましたので、きっとゼミ生たちもブログを拝見させていただくと思います。
「クラシックじゃ客が集まらないから、ゼミの方針を変えようよ」などという声もゼミ生の中からしばしば上がるのですが、指導教官である私の絶対的方針でクラシックに限定しています。今回のような素晴らしい演奏を自分でも聴いて感動し、満足していただいた方からの声が寄せられると、ゼミ生のモティベーションも上がると思います。その意味でも感謝に堪えません。
これからも唐木田菖蒲館でコンサートを開きたいと思っています。そして、私たちのゼミでも今回の三人の演奏家を応援していきたいと思っています。
よろしかったら、ぜひまたおいでください。
投稿: 樋口裕一 | 2012年5月30日 (水) 09時19分
樋口 先生
今回のコンサートは成功であったばかりか、力強い応援団も現れて、今後に期待が持てます。
私事になりますが、私は少々楽器(Vn,&Vc)をいじる関係で、室内楽愛好家の全国組織である「日本アマチュアア演奏家協会」(*)に入っております。
名前はたいそうなものですが、各地域で音楽好きが集って、例会と称する室内楽会を月に一度程度催すわけです。
(*)ネットで検索出来ます。
今回の樋口ゼミ主催の素晴しい室内楽に比べるのは、あまりに畏れ多いというよりは、意味のないことですが、まあ、下手なりに音楽を楽しもうという姿勢だけは、いろいろな意味で日本クラシック音楽界の下支えになっているという心意気は存在します。
その意味では、樋口ゼミやこのコメント欄での応援団のコンセプトにも一致しているのではないかと思うわけです。
この団体はいろいろな事業をやっていますが、たしかアマチュアの演奏活動で顕著な実績を持つものを、しかるべき組織(顕彰目的)に推薦することも行っていると承知しております。樋口ゼミを中心として、ここから立派な推薦団体が育つことを期待したいものです。
私は単なるアマチュア愛好家ですが、以前からクラシックを支えるアマチュア層について関心を持ってきました。
その関心のあり方は、例えば、アマチュアが自力で演奏力を獲得するには---- といったやや規格はずれのもので、当然に困難なことですが、この「自力」というところにポイントがあります。
例えば、多少とも楽器が弾ければ、誰でもオーケストラに入りたいと思うものですが、やはりそこには一定の壁があり、技術修得に時間がかかります。
下手であることは罪とは言えませんが、やはりオケでは周囲のベテランたちの視線が気になります。教師に「要領のいい近道」を教わることも憚られるでしょう。教科書にないことです。
小学校から正規に学習出来る場合は別として、多くのオジサン、オバサン学習者が悩むところです。
ここは「自力」で突破する以外にないと思われるのですが、どんなものでしょうか。
私は自分なりの方法を実践してきたつもりですが、やはり難があり、それに、最近のアマチュア勢の伸びを前にしては、自分の無力さを感じさせっられます。
しかし、問題はなお存在するのです。
素質のあるアマチュアの力を放置しておくのはクラシック界の損失です。
ここはやはり皆様の御意見、サポートを期待したいものだと思われる次第です。
権兵衛
http://d.hatena.ne.jp/e-tsuji/ (「権兵衛の領分」)
投稿: 権兵衛 | 2012年5月30日 (水) 14時10分
権兵衛様
コメントありがとうございます。
日本アマチュア演奏家協会のHPを見せていただきました。ずいぶん盛んに活動なさっているんですね! 日本の層の厚さを認識しました。
私も、チェロの練習をしていましたので(あまりの忙しさにめげてしまいました!)、とても気持ちはよくわかります。
プロだアマだ、うまい、下手だといがみ合うのでなく、志を同じくする人たちが交流し、様々な演奏を聴きあって、みんなで音楽を楽しむような環境があるといいですね。私たちがゼミ活動を通じてしたいと思っているのも、そのようなことです。
まずは手始めに、多摩地区の音楽仲間が集まれるような環境ができるように少しでも努力したいものです。
投稿: 樋口裕一 | 2012年5月31日 (木) 23時51分
樋口 先生
>>志を同じくする人たちが交流し、様々な演奏を聴きあって、みんなで音楽を楽しむような環境があるといいですね。
>>私たちがゼミ活動を通じてしたいと思っているのも、そのようなことです。
>>手始めに、多摩地区の音楽仲間が集まれるような環境ができるように少しでも努力したいものです。
---- 是非、そのような運びとなりますよう期待しております。
それにつけても、折角 志を同じくするゼミの方がおられるのですから、その方たちの御意見/感想(小論文?)も、このコメント欄で伺えたら楽しいと思われます。
それから、わざわざ多摩まで名演奏を届けに来て下さる演奏家の方々が、どのような気持や抱負を持って、多摩のお客を向き合って下さったのか、そういうことも伺いたいものですね。
先生はチェロを嗜まれるとのこと。私は常々批評家の方々から啓発されることを楽しみにしているのですが、ピアノは弾かれても弦楽器に通じておられる方は残念ながらお見かけ出来ないような印象を持っております。
当然それは文面に反映されるわけですが、非常に残念なことです。
チェリストで筆の立つ方は堤剛氏や藤原真理氏ですが、アマチュアの心情に即した文章にはなかなかお目にかかることが出来ません。
以前、高名な批評家が弓毛と松ヤニのことを書かれていましたが、松ヤニは「弓毛の滑りを良くするために塗るのだ」という文面を拝見して驚きました。日頃の名論卓説が一挙に露と消えてしまったようなものです。
先生には、ご多忙のこととは思われますが、是非弦の知識経験を活かして、批評の新生面を開いて頂きたいものです。
私事ですが、私のチェロはインチキです。私は大学オケや市民オケでヴァイオリン(これも自己流)を弾いていたのですが、オケのなかでチェロをイタズラして、周囲のチェリストの技を盗んで何とか格好だけはつけられました。ですから難しくなるとすぐお手上げですが、室内楽やオケの名曲の雰囲気だけは十分に味わうことが出来ました。
いま、あるオケに参加出来るようにドヴォルザークの第8番をさらっているのですが、この曲は冒頭から終結部までチェロの美しい旋律に満ちていて、弾けないまでもとても幸せです。
チェロを含む名曲はそれこそ無数にありますが、全曲を通じてチェロ----旋律でも、伴奏でも、和声の豊かさでも、奏者を楽しませてくれる曲は数少なく、(私の乏しい経験では)この8番のほかには「新世界」「運命」「未完成」 「胡桃割り人形」「アイーダ」「カルメン」などを数えるのみです。
そして、奏者が楽しく燃える曲でなければ、曲の感銘を聴衆と分かち合うことは出来ないだろうと信じています。
これらは所謂通俗名曲と言われるもので、クラシック通からは「まだお前はそんな初心者クラスのものを聞いているのか。遅れているぞ」などと笑われることがありますが、しかし、何と言われようと、私は生涯これら通俗名曲に拘っていようと思っています。
勿論、ベートーヴェン、ブラームス、等に名曲は多いですが、演奏していてやたら難しくて何をやっているのか分らない部分も多く、後味の悪い思いをすることがあります。
マーラーやブルックナーは未経験ですが、上記の数曲で十分です。それで別に恥ずかしくもありません。
長々と詰まらぬことをお話してしまいましたが、思いは弦楽器を通じての評論のほうを、それから多摩の活性化もよろしく、ということにほかなりません。 権兵衛
投稿: 権兵衛 | 2012年6月 1日 (金) 04時59分
権兵衛様
コメントありがとうございます。
ご活躍の様子、驚いてしまいます。音楽に対する強い愛を感じます。
私のチェロはまったく弾けないというに等しいレベルです。子どもの頃、ヴァイオリンを習っていましたが、それも周囲にあきれられるほど下手でした。
が、子どもの頃のヴァイオリンの練習のおかげで、その後、弦楽器が大好きになりました。もちろん、これからその方向で、コンサートを企画するなり、音楽関係の本を書くなどしていきたいと思っています。
投稿: 樋口裕一 | 2012年6月 3日 (日) 21時33分