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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012 初日(5月3日)

大雨の中のラ・フォル・ジュルネ。当日券が売れ残っているらしく、空席が目立つ。せっかく次々と素晴らしい演奏が続いているのに、残念。私は8つのコンサートを聴いた。

簡単に感想を書く。

 

・カペラ・サンクトペテルブルクの合唱。指揮はヴラディスラフ・チェルヌチェンコ。

プログラムを最初に見たとき、今年は、初めにロシアの作曲家の基盤をなすギリシャ正教の音楽を聴こうと思った。一昨年、ロシアに行った時、モスクワの赤の広場のカザン聖母教会でミサを見て、ロシアの作曲家の中にギリシャ正教の音楽があることをはっきりと感じたためだった。帰国後、ギリシャ正教のミサなどのCDを買い集めていたが、生で聞ける機会ができて、実にうれしい。

ボルトニャンスキーの合唱協奏曲第3番「主よ、御力により帝は楽しまん」、アルハンゲルスキーの「幸いなるかな」、チェスノコフの「我が祈りが叶わんことを」、チェスノコフの「神は我らと共に」など。「カリンカ」などの民謡も演奏された。とてもよかったが、朝11時前からのコンサートとあって、コンディションはあまり良くない様子だった。声があまり出ないで、ぴたっと決まらなかった。が、だんだんと調子が上がり、アンコール曲は素晴らしかった、深い声。男性のバスも素晴らしいが、女性のアルトもソプラノもいい。

 

・松山冴花(ヴァイオリン)、アルフォンス・スマン(ピアノ)、ペルト作曲の2つの小曲「鏡の中の鏡」「フラトレス」とプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番。

ダイナミックで屈託のない演奏。プロコフィエフにぴったり。素晴らしいと思った。若い女性でこんなスケールの大きな演奏をするなんて、日本人離れしている。歌わせるところはきっちりと歌わせ、メリハリが素晴らしい。去年のリヒャルト・シュトラウスのソナタも素晴らしかったが、今年も酔わせてくれた。本当に日本の将来を担う素晴らしいヴァイオリニストだと思う。これからが楽しみ。

 

・堤剛(チェロ)、クレール・デゼール(ピアノ)によるショスタコーヴィチとプロコフィエフのチェロ・ソナタ。

堤さんは私の大好きなチェリストだが、今回はちょっと渋すぎると思った。堤さんのチェロは上品すぎてショスタコーヴィチの怨念のようなものが出ない。プロコフィエフのチェロ・ソナタはチャーミングでユーモアあふれた作品だと思うのだが、堤さんの手にかかると、かなりまじめで内面的な音楽になってしまう。

 

・トリオ・ヴァンダラーの演奏でチャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」。

実は私はこのトリオとは相性が良くない。チャイコフスキーの哀愁をあまり感じなかった。そもそも哀愁を歌いたいと思っていないのかもしれない。が、かといって、別の魅力があるかというと、私は残念ながらあまり感じなかった。いつも私はこのトリオを一本調子だと感じてしまうが、今回もそうだった。

 

・アブデル・ラーマン・エル=バシャのピアノでラフマニノフの前奏曲 嬰ハ短調と作品3-210の前奏曲作品23

私はピアノ曲をあまり聴かないし、この曲を聴いたのも初めて。だから、わかったようなことは言えない。ただ、とても鮮明で繊細な音。しっかりした構成。はじめて聴く曲だったので何のことやらわからずに困った。

 

・モスクワ大司教座合唱団、アナトリー・グリンデンコの指揮により16世紀から19世紀のロシア正教典礼音楽。

 修道僧のような黒服の男たちによる合唱。「幸いなるかな」「ヘルヴィムの歌」「聖母讃歌」。最高に素晴らしかった。深いロシアのバスの歌声が本当に心を打つ。男声合唱の柔らかく強い声の重なりが見事。その後、ラフマニノフの「平和の恵み」が演奏されたが、あまりの素晴らしさに涙が出そうになった。ロシア民謡「黒いからす」や「雪はもうたくさんだ」、そしてアンコールの2曲も本当に素晴らしい。いかにもロシア的な男声の歌。ロシア以外の人はこんな合唱はできないのではないか。

 

・竹澤恭子のヴァイオリン、アレクサンドル・ルーディンの指揮、ムジカ・ヴィーヴァの演奏でプロコフィエフの「古典交響曲」とヴァイオリン協奏曲第2番。

「古典交響曲」は実は中学生の頃から私の大好きな曲。とてもよかった。ヴィブラートの少ない明快な音で音楽を推進していく。切れがよく、音の重なりが美しい。実に爽快。あまりロシアのオーケストラらしくない。協奏曲も竹澤さんのテクニックが見事。とくに最終楽章は音楽にしっかりと乗って素晴らしかった。

 

・ジョセフ・スヴェンセンの指揮、パリ室内管弦楽団でストラヴィンスキーの「ダンバートン・オークス協奏曲」。プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。

「ダンバートン・オークス協奏曲」はなんだかよくわからない曲だった。少なくとも、私の好きな曲ではない。途方に暮れているうちに終わった。その後。オリヴィエ・シャルリエのヴァイオリンが加わって、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。竹澤さんの演奏を聴いたばかりだったので、聴き比べをすることになった。結論からいえば、私はシャルリエの方が好きだった。内面的な美音を用いて細かいニュアンスをつけながら高度なテクニックを聴かせてくれる。B7の狭いホールだったので、細かいところまで聴きとれた。もし、竹澤さんと同じホールCだったら、竹澤さんのほうがよく聞こえたかもしれない。だが、シャルリエの第二楽章はあまりの美しさにうっとりした。第三楽章もテクニックをひけらかしているかのような弾き方をしているのに、親密な雰囲気の美音であるために外面的という感じがしない。実に魅力的。シャルリエが無伴奏の短いアンコール曲を弾いた。これも素晴らしかった。シャルリエは現代を代表するヴァイオリニストの一人だと思った。

 

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