アルブレヒト+読響のブラームス、絶品
6月14日、ゲルト・アルブレヒト指揮、読売日本交響楽団によるブラームスの交響曲を聴いてきた。前半に3番、後半に1番。本当に素晴らしい。ブラームスの音に深く感動した。こんな素晴らしいブラームスは久しぶり。
小細工は一切ない。意味なく盛り上げるわけでもない。だから、地味と言えば地味。ただ、細かいところまで神経が行き届いている。それだけなのに、第3番は第3楽章から徐々に大きな盛り上がりを見せ、第4楽章はダイナミック。完璧にコントロールされて、しっかりと構築された音楽が流れていく。
後半の第1番はいっそう素晴らしかった。第2楽章は、緊張感がまったく途切れず、微妙な音が見事に重なっていく。木管楽器の美しさに酔った。そして、第4楽章。後半の盛り上がりも、実に自然。まったく作為がない。
アルブレヒトの指揮はまさしく巨匠の味わい。読響も素晴らしい。美しい音、見事なアンサンブル。まったく不満を感じなかった。先日、ヘンゲルブロック指揮、NDRのブラームスの1番を聴いて、見事な演奏だと思ったが、それよりももっと完成度が高かった。
感動して聞き終わった。
ところで、読響のコンサートで配布される冊子「月刊オーケストラ」に私のインタビューが載っている。
先日、ブログにスクロヴァチェフスキ+読響の演奏の際、隣の席の人に身動きをしないようにと注意を受けた話を書いた。それを読んだ読響関係者から連絡をいただき、インタビューを受けたのだった。
マナーが良くないという注意を受けた私がマナーについて語るのも気がひけたが、要するに私がいいたかったのは、「周囲に迷惑をかけている人も、まさか自分が周囲に迷惑をかけていると思っていないものだ。私自身もそうだった。だから、誰もがもしかしたら周囲に迷惑をかけているかもしれない。少し自分を振り返ってみてはどうか。同時に、迷惑をかけている人がいても、あまり神経質にならずに、温かく注意してはどうか。ともに音楽を楽しみに来た仲間なのだから、ぎすぎすしないで、ともに楽しむことを考えようよ・・・」ということだ。
マナーについてのインタビューが載っているので、つい意識して、あまりマナーに反することのないように気を付けた。3番も1番も、終楽章では、やはり体が動きそうになった。
猛烈に忙しいので、実を言うとコンサートに行っている場合ではないのだが、ともあれ今日は素晴らしいブラームスが聴けて実に良かった。
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コメント
わたしも読響の演奏会に行きました。ブラームスの1番は超名演!と思いました。アルブレヒト、全然衰えてないですね。世界的なレベルで一流の演奏だと思いました。プログラムを開いてびっくり。このブログに書かれていたあのエピソードですね。ご指摘の点に同感です。
投稿: Eno | 2012年6月15日 (金) 11時06分
Eno様
コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通り、あの日のブラームスの1番、本当に素晴らしい演奏でした。世界的な超一流だと思いました。プログラムのインタビューの件、恥ずかしいかぎりですが、多くの人に考えてほしい問題だと思っています。
ブログを拝見しました。新国立の「ローエングリン」のシュナイダーの指揮をあまり評価してらっしゃらないのですね。私は、フォークトと同じほどにすばらしいと思ったのでしたが。それにしても、フォークトの声の美しさは驚異です。
投稿: 樋口裕一 | 2012年6月16日 (土) 07時08分