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プレトニョフ+ロシア・ナショナルのチャイ4など、圧倒的! そしてサン=サーンスのこと

 6月26日、武蔵野市民文化会館でミハイル・プレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管弦楽団のコンサートを聴いた。最初の曲を除いて、素晴らしかった。

 最初の曲は「アルルの女」第2組曲。これが本当にビゼーの曲かと驚くような、重ったるくて鈍い音楽。最後の「ファランドール」だけはロシアのオーケストラらしい強い音で終わって爽快だったが、それ以前はあまりの重さに辟易した。フランスらしさは皆無。知らずに聴いていたら、間違いなくロシア音楽だと思っただろう。まあ、私はビゼー好きではないので、このような演奏をされても少しもかまわないが、ビゼー好きが聞いたら怒り出すだろうと思った。

メヌエットのフルートのソロは、このブログにも書いた亡き友が中学生のころからよく吹いていた曲。つい思い出してしんみりしてしまった。

2曲目は松田華音が加わって、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番。松田華音という名前は初めて知ったが、15歳の天才少女として名前が知られ始めているらしい。

相変わらず、オーケストラはロシア風剛腕。サン=サーンスの曲はこのような演奏でも十分におもしろく響く。厚くドラマティックな要素が強調される。ピアノは、しかし、華麗でありながら、実に繊細。もう少しドラマティックだともっとオーケストラにマッチしていると思ったが、15歳の日本人少女には、ロシアの剛腕とがっぷり四つに組むのは難しいだろう。だが、オケよりもずっと雰囲気があって、実にいい。私自身は、この協奏曲に関しては、オケよりもピアノ独奏のほうにずっと共感を覚えた。ピアノのアンコールがあったが、知らない曲だった。が、見事な演奏だと思った。この人、只者ではない。

休憩後、チャイコフスキーの交響曲第4番。始まった途端、チャイコフスキーの音に圧倒された。

実は、これは私の苦手とする曲。これとピアノ協奏曲第1番はどうも好きになれずにいた。が、ロシアのオーケストラで本物を聴くと、これは凄い説得力。これが本物のチャイコフスキーだったのか!と思った。音の重なりが、実に情緒にあふれ、熱い思いがあふれだしている。ややヒステリックなところも感動的。

オケもいいが、プレトニョフの指揮が何よりもいい。1小節にも満たない短いメロディやたった1台の楽器の音で、がらりと曲想が変わり、チャイコフスキー独特の世界が展開される。音の重ね方に隙がない。ビゼーの曲ではことごとく的を外しているように思えたが、チャイコフスキーではすべてが実にピッタリ。大いに感動した。この曲にこれほど感動したのは初めてだった。

アンコールは「くるみ割り人形」の「トレパック」。後半ぐんぐん盛り上げて、ちょっとやりすぎでは?と思った。

 

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  ところで、実はこのところ、サン=サーンスに夢中になっている。。先日、たまたまウルフ・ヘルシャーがヴァイオリンを弾き、ピエール・デルヴォーがニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮したCDを入手して聴いてみたら、素晴らしかった。20年以上前の一時期、交響曲第3番やヴァイオリン協奏曲第3番、いくつかのヴァイオリン曲が大好きで、交響曲全集、ピアノ協奏曲全集なども夢中になって聴いていたが、今回、これをきっかけに、サン=サーンス熱が再燃。今度改めて、「クリスマス・オラトリオ」や「レクイエム」を聴いてみたが、これも素晴らしい。今、室内楽を数枚、注文して到着を待っている。

 サン=サーンスは思いのほか評価が低いが、私はベルリオーズ、フランク、ラヴェル、ドビュッシーにも勝る大作曲家だと思っている。ブラームスと同じように駄作が少なく、どの曲も構成がしっかりしている。しかも、華麗で技巧的で、なおかつ不思議なユーモアがある。

23日土曜日はこのブログにも書いたとおり富士見丘高校で講演、24日日曜日はオープンキャンパスで多摩大学に詰めていた。25日月曜日は、静岡の大学の仕事の一環として城南静岡高校に行った。いずれも実に充実していたが、疲れた。

コンサートの帰り、音楽には大満足だったが、かなり疲れている自分を発見した。

 

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コメント

こんにちは。明日がプレトニョフ最終公演でしょうか・・日立という茨城の北のさびれた町まで行きます。白鳥の湖 抜粋 と交響曲第4番   楽しみです。

投稿: アッキ | 2012年6月28日 (木) 23時02分

アッキ様
コメント、ありがとうございます。
日立での公演、いかがでしたでしょうか。ビゼーよりも、「白鳥の湖」のほうがきっとぴったりでしょうね。

投稿: 樋口裕一 | 2012年7月 3日 (火) 00時07分

800人程収容の日立シビックセンターはステージを客席が囲むサントリホールを縦長にしたようなホールで、オケと客席が一体的な感覚で聴けました。白鳥の湖 はプレトニョフ編纂のせいかほとんど馴染み無いものでしたが、奏者たちは楽しそうに演奏してました。プレトニョフの指揮は左手で感情表現、右手は淡々と拍子をとり、体はほとんど動かさない独特なもの。前半だけでもう後半の4番の凄さが伝わってくる不思議な休憩時間で、ロビーに展示されているCDも飛ぶように売れてました。そして4番 完全にオケが指揮者を慕っているのがよくわかりました。なかなか今 このような関係での演奏を体験できる機会はないかもしれません。アンコールは トレパーク でした。

投稿: アッキ | 2012年7月 3日 (火) 21時49分

アッキ様
コメント、ありがとうございます。それにしても、日立まで行かれるとは、畏れ入ります。
チャイコフスキーの4番は素晴らしかったんでしょうね。おっしゃる通り、オケのメンバーとプレトニョフがとてもうまくいっている様子は、武蔵野でもうかがえました。「白鳥の湖」、おもしろそうですね。

投稿: 樋口裕一 | 2012年7月 8日 (日) 00時46分

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