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新国立劇場「ローエングリン」の素晴らしい上演、そして拙著「バカ部下を使いこなす技術」の売れ行き好調

 610日、新国立劇場「ローエングリン」を見てきた。素晴らしい。新国立劇場のこれまでの上演の中でも最高レベルの一つだと思う。

 やはりローエングリンを歌ったクラウス・フロリアン・フォークトが圧倒的に素晴らしい。よく通る美声で丁寧な歌い回し。ヘルデンテノールにしては甘くて優しい歌だが、ローエングリンの役はこれで違和感はない。心やさしく、人柄のよい騎士といったところ。私は数年前、バイロイトで「マイスタージンガー」のヴァルターを聴いて、とてもよい歌手だと認識したが、それ以上に魅力的になっていた。第三幕の最後の部分は身体が震えた。

 ほかはハインリヒ王のギュンター・グロイスベックがよかった。どっしりとした演技だが、重すぎなくて実にいい。エルザを歌ったリカルダ・メルベートとフリードリヒを歌ったゲルト・グロホフスキーもなかなか良かった。オルトルートを歌ったスサネ・レースマークは後半、かなり息切れした感じだが、もちろん通常レベルよりはかなり上だと思う。

 が、それ以上に良かったのが、指揮のペーター・シュナイダー。さすがバイロイト音楽祭の常連指揮者だけのことはある。バイロイトで聴くと、バレンボイムやティーレマンなどの巨匠たちに比べて個性のなさを感じるが、新国立劇場で聴くと、これまでの指揮者とは格が違う。どっしりと構えて、丁寧に音楽を作っていく。停滞することなく、しっかりとうねり、官能性も英雄性も見事に配分されている。東京フィルからまさしくワーグナーの音が聞こえてくる。

 演出はマティアス・フォン・シュテークマン。オーソドックスな解釈だが、色遣いが美しく、まったく飽きない。萩原潤、大槻孝志、羽山晃生、小山由樹、長谷川顕らの日本人歌手たちも健闘していたが、外国人歌手がこれほど高レベルだと、やはり日本人歌手は分が悪くなる。

全体的に、このままバイロイト音楽祭で上演してもよいレベルだと思う。ネズミの大群が出てきたり、ローエングリンが二人出てきたり、実はローエングリンは弱虫だった・・・などという奇をてらった演出がない分、こちらのほうがずっと感動できる。

それにしても、新国立劇場のレベルの高さに改めて驚いた。大満足。

 

 

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 ところで、先日、拙著「バカな部下を使いこなす技術」(中経文庫)が発売になった。これは、「バカを使いこなす聞き方・話し方」(幻冬舎)を文庫にしたものだ。一昨日、日経新聞に広告が出たので、ご存じの方も多いだろう。売れ行きが良いということで、うれしく思っている。

「はじめに」にも書いたとおり、数年前、「リーダーの話し方」について講演したことがある。講演の後、出席者の一人に、「リーダーがどんなに知的な話し方をしても、バカな部下に伝わらなければ意味がない。私たちはバカな部下に囲まれて苦労している。バカな部下にどう対応すればよいかを話してほしかった」と言われた。それが本書を書くきっかけになった。

 文庫化にあたって、旧著をざっと読み返してみた。6年ほど前に書いたものなので、かなり忘れていた。が、自分で言うのもナンだが、なかなかおもしろいと思った。そして、良くも悪くも、私らしいと思った。250万部のベストセラーになった「頭がいい人、悪い人の話し方」と同路線の本だ。

人によっては、この本もおもしろがって読んでくれるだろう。含み笑いをしながら読んで、実用に使えるところもかなりある・・・そんな本を目指している。とはいえ、これまで私の著書を批判してきた人は、今回も行間を読み取ってくれずに、この本も批判するだろうなとも思った。いや、それ以上に、この本を読まないまま、題名から勝手に想像して、まったく的外れな非難中傷をする人もいるだろうな、とも思った。きっと多くの人が、私の意図を考えようともしないで、「部下をバカ扱いするなんてひどい」という拒否反応を起こしてしまうのだろう。ま、こちらとしては、題名でそのようなちょっとした挑発もしているわけだけど・・

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コメント

 昨日、「バカを使いこなす聞き方・話し方」を購入し、オリンピック放送のサッカー男子準決勝を尻目に(負けてしまいましたが)あっという間に読み終えてしまいました。同僚、上司、部下の顔が次々と浮かんできて久々に読書で声を出して笑ってしまいました。読むだけでカタルシスを得られる実用書って、そうそうないと思います。
 タイトルと目次だけ見られた方、現場でチームを組んで働いた経験のない方、偽善者の皆様からは、当然批判が集中するであろう衝撃的な読み物でした。
 第2章を読み終えた時点で「これは、あいつにも読ませてやろう」と同僚に紹介したい衝動に駆られましたが、「バカを見極める」のなかの”密着するバカ”を読んで、むしろ自分の「バカ」を見極める啓発の書なのではと、恐ろしくなりました。

投稿: 後藤 | 2012年8月 8日 (水) 16時04分

後藤様
コメント、ありがとうございます。
拙著を、私が読んでほしいと思っている通りに読んでくださっていることに、心から感謝いたします。挑発的な意味を込めて、敢えてこのようなタイトル、このような視点で書いているのですが、おっしゃるとおり、批判が集中してしまいます。拙著のタイトルを検索すると、私を手厳しく批判している文章が出てきます。後藤様のおっしゃるような、タイトルだけで勝手に思い込む人、大勢と働いたことのない人、偽善から逃れられない人が世の中には多いということだと私も思っています。とても残念です。そんな中、後藤様のようなコメントをいただくと、勇気がわいてきます。本当にありがとうございました。
(私は明日のためにもう寝ますが、なでしこの試合が近づいています・・・)

投稿: 樋口裕一 | 2012年8月10日 (金) 00時44分

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