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ゲルギエフの「エレクトラ」CDに圧倒された

 根をつめて仕事をする気持ちになれない。仕事を先延ばしにして、かなりの時間、音楽を聴いた。昔々のこと、受験勉強をしなければならないというプレッシャーを感じつつ、いやでいやでたまらずに、勉強を先延ばしにして本を読んだり音楽を聞いたりしていたが、40年以上たっても同じことをしている!

 

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・シュトラウス「エレクトラ」 ワレリー・ゲルギエフ指揮、ロンドン交響楽団・合唱団のCD。

発売されたばかりのCDを購入。

凄まじい! まぎれもなく超名演。歌手もそろっている。エレクトラを歌うジャンヌ=ミシェル・シャルボネが、まず素晴らしい。何やら名前に覚えがあると思って調べたら、2008年にパリ国立オペラが来日して「青ひげ公の城」を上演した時のユディットを歌った歌手だったようだ。とてもよい歌手だった記憶があるが、エレクトラはそれ以上に圧倒的。エレクトラにふさわしい強い声だが、絶叫ではなく、とても美しい。アンゲラ・デノケのクリソテミスも可憐でありながら、しっかりしている。クリテムネストラはフェリシティ・パーマー。この歌手もどすがきいてなかなかいい。この三人の女性のかけあいは言葉をなくすほどに迫力がある。オレストを歌うマティアス・ゲルネも強い声で頼もしい。

 しかし何よりも、ゲルギエフの凄さ! この複雑きわまりない音楽を凄まじい迫力で振りきる。様々な楽器の音が絡み合いながら、どす黒い情念や復讐、怒りの表現をものの見事にたたきだしていく。そして、カタストロフへと突き進む。一部の隙もなく音の洪水が押し寄せ、情念が音楽を推し進めていく。あっけにとられるようなオーケストラの威力。ロンドン交響楽団も素晴らしい。録音も最高。

 私は、これまでゲルギエフのドイツものには時として違和感を覚えてきたが、これは、そんな違和感はまったく抱かなかった。ただただ引き込まれて聴き終えた。ただ、これまで聴き覚えのないパッセージが何箇所かあったように思う。別のヴァージョンなのか?

「エレクトラ」は高校時代から私の大好きなオペラであって、CD、DVD合わせて30種ほど持っているが、思うに、これほど迫力のある演奏はこれまで聴いたことがなかった。

 

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・サン・サーンス 「サムソンとデリラ」 メトロポリタン歌劇場 1998年の公演のDVD。指揮はレヴァイン。演出はイライジャ・モシンスキー。

このブログにも書いたとおり、このところ、サン・サーンスを次々と聴いている。その一環として、このオペラのDVDを購入した。かつて、サンフランシスコ歌劇場のルーデルの指揮で、ドミンゴ、ヴァーレットの歌うLDを見ていたが、久しぶりに、このオペラを見たくなった。

近年の流れからすると、近いうちにこのオペラもフランス語の発音を尊重して「サンソンとダリラ」と呼ばれることになるのかもしれないが、いちおう「サムソンとデリラ」と呼んでおく。

 期待通りの素晴らしさ。やはりサムソンを歌うプラシド・ドミンゴが圧倒的。きっと伝説として長きにわたって語られると思われるような歌唱と演技。私にわかる限りでは、フランス語も実にしっかり発音している。デリラ役のオルガ・ボロディナもいい。官能的で妖艶な魅力が伝わる。この人もフランス語が実に美しい。ヘブライ人を歌うルネ・パーぺも相変わらず味がある。ただ、ダゴンの大司祭を歌うセルゲイ・レイフェルクス がフランス語とはいえないような発音で歌いまくるのはいただけない。

 レヴァインも素晴らしい。サン・サーンスは、厚いオーケストレーションであっても、ドイツ風に重苦しくならない。不思議な色気のようなものがある。それをレヴァインはうまく出してくれていると思った。演出も、いかにもメトロポリタン歌劇場らしく伝統的でわかりやすく、しかもスペクタクルにあふれている。満足。

 

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コメント

こんにちは。

「エレクトラ」は2セット持っていますが、ゲルギエフのCDを聞いてみたくなりました。

「サムソンとデリラ」はコリン・デイヴィス/コヴェントガーデン盤をDVDで持っています。
このオペラの3幕にある「バッカナール」を、僕が所属する吹奏楽団で現在練習しています。9月にある演奏会のためです。

デイヴィス盤のバッカナールは、酒池肉林を原始的な色彩を色濃く出した演出という感じで、「春の祭典」風でもありました。この場面の前後とあまりにも対照的なので強く印象に残りました。

これを吹奏楽の演奏に生かすことができればと思っています。

投稿: よんちゃん | 2012年7月22日 (日) 09時13分

よんちゃん様
コメント、ありがとうございます。ブログをのぞかせていただきました。
私はマーラー嫌いですので、音楽の趣味は少し異なりそうですが、とても楽しいブログですね。
デーヴィスの「サムソンとデリラ」、酒池肉林と言われると、ちょっと見てみたいですね。吹奏楽にするとどうなるのか、想像できずにいます。
ゲルギエフの「エレクトラ」、ぜひお聴きになってください。

投稿: 樋口裕一 | 2012年7月23日 (月) 08時22分

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