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バイロイト音楽祭最終日「パルジファル」に満足

8月28日、バイロイト音楽祭「パルジファル」を見た。2008年にダニエレ・ガッティ指揮で見たのと同じプロダクションで、ステファン・ヘルハイムの演出。当時、私はこの演出にかなり強い違和感を覚えた。が、今回は、「読み替え」演出に慣れたせいか、とても満足した。

指揮はフィリップ・ジョルダン。私は「サロメ」や「タンホイザー」のDVDで聴いて、その実力のほどを知っていたが、期待以上の指揮ぶり。ごく若いはずなのに、たいしたもの。ネルソンスと同じくらいの年齢かもしれないが、今回のバイロイトに関していう限り、私は「ローエングリン」のネルソンスよりも、「パルジファル」のジョルダンのほうにずっと感銘を受けた。

隙なくまとまり、統一感があり、しっかりとワーグナーの音がする。バイロイトにあった最高に美しい音の重なりが聞こえてくる。ただ、とはいえ、まだまだガッティのレベルには達していないように思う。これからバイロイトで大活躍する指揮者であることは間違いない。

歌手では、グルネマンツを歌ったクワンチュル・ユンが圧倒的。今や大歌手だカーテンコールでも主役二人を差し置いて最大の拍手喝采だったが、それも当然。安定した太くて美しい声。グルネマンツにぴったり。

それにしても韓国人歌手の活躍が目覚ましい。合唱の中に東洋系の顔がいくつかあるので、きっとほとんどが日本人で、何人か韓国、中国の人がいるのだろうと思っていたら、とんでもない。メンバーの記載された冊子を見るとほとんどが韓国系の名前。ざっとかぞえても10人くらいの名前が出ている。日本人もぼやぼやしていられない。

パルジファルのブルクハルト・フリッツ、アンフォルタスのデトレフ・ロット、クンドリのスーザン・マクリーン、クリングゾルのトーマス・イェサツコは、いずれもとてもいいが、圧倒的というほどではない。

 

演出は、典型的な「読み替え」。

昨日か一昨日あたり、NHK-BSでこの「パルジファル」が放映されたということなので、ご覧になられた方がたくさんおられるだろう。そして、きっとその方々は正確な日本語字幕が付き、もしかすると解説も付いたかもしれないので、私よりも情報量は多いかもしれない。

 音楽は紛れもなく「パルジファル」であり、それに基づくストーリーが展開されるが、それと重なって、ヴァーンフリート館で育った子供がドイツの歴史をたどっていく様子が展開される。

 細かいところはよくわからないが、「読み替え」演出として奇跡的に良くできていると思う。舞台上の仕草と音楽がぴったり合っている。雰囲気もぴったり。今回の「タンホイザー」や「ローエングリン」に比べるとずっと音楽の邪魔にならない。

 ただ、これが許されるのなら、「パルジファル」の音楽をバックにして「源氏物語」のストーリーを展開することだってできるのではないかと思ってしまう。

 これにて今年のバイロイト音楽祭は終了。私のザルツブルク音楽祭・バイロイト音楽祭の旅も無事終了。感動的な演奏にいくつも出会った。

明日、フランクフルトを経由して、日本に向かう。同じ姿勢を続けたせいで腰が痛くなりかけている。そろそろ寝ることにする。

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コメント

樋口先生

ザルツブルクとバイロイト、注目演目をご覧になられてなによりですね。
「パルジファル」Bsで深夜観ました。
昨年はダニエレ・ガッティ指揮で聴きましたがなかなか良かったです。ガッティで聴きたかった。
演出は「ローエングリン」ほどひどくはないが個人的にはどうも微妙です。
この2、3年の演出にはカタリーナの趣味が反映されているのか、「マイスタージンガー」でも「ローエングリン」、「パルジファル」でも老人と少年をやたら登場させる、煩わしい場合もあるので気になります。
樋口先生のミッキーマウス解釈、面白く拝読いたしました。

投稿: 白ネコ | 2012年8月29日 (水) 18時33分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 職務経歴書 | 2012年8月30日 (木) 11時29分

白ネコ様
コメント、ありがとうございます。
バイロイトの演出、どう考えても、演出が突出しすぎていますよね。
改善されないものでしょうか。
おっしゃる通り、子どもと老人、よく出てきますね。演出を重視しようとすると、セリフがなくても一目でわかるのが子どもと老人、そしてナチ、娼婦ということも関係あるかもしれません。
ミッキーマウス説、おもしろいと思って下される人がいると、うれしく思います。

投稿: 樋口裕一 | 2012年8月31日 (金) 10時34分

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