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バイロイト音楽祭「トリスタンとイゾルデ」に感動

 827日、バイロイト音楽祭「トリスタンとイゾルデ」を見た。全体的には、とても感動した。

 演奏に関しては、まずペーター・.シュナイダーの指揮が素晴らしい。実に精妙な音。盛り上がるところは盛り上がり、とろけるような味わい。まさしくトリスタンの世界。これまでの「さまよえるオランダ人」や「ローエングリン」と違って、この劇場建設後に、ワーグナーが音の特性を知った上で作曲したものであるだけに、それにふさわしい音がする。第二幕、ちょっと不発だったと思ったが、それは指揮やオケのせいではないだろう。

 歌手では、マルケ王のクワンチュル・ユンが素晴らしい。凄い歌手になったものだ。第二幕も第三幕も、厚いオーケストラを突き抜けて太くて美しい声が響く。クルヴェナールのユッカ・ラジライネン(昨日のブログで、ラジライネンがマルケ王を歌うと書いたが間違いだった!)、ブランゲーネのミシェル・ブリート、メロートのラルフ・ルーカスともに見事。声に酔うことができる。

主役二人は、脇役に比べてちょっと劣ると思った。それでもイゾルデのイレーネ・.テオリンは第二幕は抑え気味だったが、最後の「愛の死」は素晴らしかった。全身が震えた。ヴィブラートの強い歌がちょっと気になるが、しっかり歌っていた。問題なのは、トリスタンのロバート・ディーン・スミス。この人もヴィブラートが強く、しかも声がオケの中に埋もれて、届かない。昨日のフォークトと比べると、あまりに非力で、声に輝きがない。そのため、第二幕は感動できなかった。

 クリストフ・マルターラーの演出に関しては、2008年に見たものとかなり違っているように思った。私の記憶では、2008年の演出では、トリスタンとイゾルデは視線を交わすこともなく、抱擁することもなく、そっぽを向いたままで、まったく愛し合わなかった。それゆえ音楽との違和感があまりに強かった。今回も、「愛」は表に出てこないが、まあ愛を音楽で感じるのをそれほど強く邪魔しないようにはできている。

 とはいえ、せっかくクワンチュル・ユンが素晴らしい歌を歌っているときに、天井の蛍光灯が点滅したり(第三幕の瀕死のトリスタンの場面でも同じようなことが繰り返されるので、たぶん、これは「死の予感」を意味すると思う)、第三幕でクルヴェナールが小股でちょこちょこ歩いたり(これは、きっと「死の世界」の暗示だろう)といった、音楽を邪魔する小芝居が入って実にわずらわしい。このような姑息な罠にはまって「意味」を考えないように、できるだけ目をつむって音楽に集中した。

 第二幕まで少し不満に思っていたが、第三幕が終わってみると、感動し、魂を震わせ、涙を流していた。全体的には素晴らしい公演だった。

 

 今日は雨模様で、急に気温が下がった。昼間も20度前後だっただろう。10時半ころの終演だったが、そのころは15度なかったのではないか。昨日まで、席に着いた途端に黒服を脱いで汗をかきながら見ていたのに、今日は、むしろ寒さを感じる。

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