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「ローエングリン=ミッキーマウス」説  ノイエルフェルス演出「ローエングリン」について珍解釈をしてみた

 このブログにも書いたとおり、825日、バイロイト音楽祭の「ローエングリン」を見た。フォークトのローエングリンについては素晴らしかったが、ハンス・ノイエルフェルスの演出については怒りを覚えるばかりだった。

 いったい、ネズミたちは何を意味するのか。服や仕草は何を意味するのか。この演出を批判するならするで、それらを理解したうえで批判したいと思っているうち、どう考えても意味不明で、いっそう怒りが増してしまった。

 バウムガルテン演出の「タンホイザー」も細かいところはわけのわからない演出だったが、大まかには自分なりに理解できたと思っている(昨日のブログ内容をご覧いただきたい)。それと同じ程度には理解したいと思いつつ、できずにいた。

 が、上演から2日以上がたち、あれこれ考えるうち、一つの仮説を思いついた。自分でもかなり突飛だとは思うが、以下のように考えると、ちょっとだけ辻褄は合う。

 結論から言うと、「ローエングリンはミッキーマウスだった!」というものだ。

 演出の中に、ハリウッド映画、そしてとりわけディズニー映画へのほのめかし、あるいはオマージュと呼べるものがいくつもある。

黄色のスーツ姿やきらびやかな服を着ての群舞はミュージカル映画を思わせる。コミカルな手足の動き、たびたび挿入されるアニメ映像の使用はまさしくディズニー映画を思わせる。そして、第二幕では、死んだ馬の横に馬車が置かれている。これはディズニー映画の「シンデレラ」を暗示している。いうまでもなく、シンデレラは、魔法の力でカボチャを馬車に、ネズミを馬に変えて、宮殿に向かう。エルザがシンデレラに重ねあわされている。

 つまりこういうことだ。

 ブラバント公国はネズミ(ラット)の世界。実験動物にされて遺伝子操作をされている。そこで除け者にされたエルザ(彼女ももちろんラットだが、第一幕で矢が刺さっているところをみると、「パルジファル」などの連想から、少し白鳥の性質を帯びている)が夢にローエングリンを見て、救いを求める。ローエングリンもネズミだが、実はマウスであって、ラットよりも高貴な存在だ。ラットであることに劣等感を持っているラットたちはローエングリ=マウスに救いを求める。

 ラットとマウスの間には遺伝子上の厚い壁がある(それが冒頭の「開かないドア」で象徴される)。これまでは、人間の手で遺伝子操作が行われ、実験動物にされてきたが、ラットたちは自ら、それを乗り越え、新しい種族を作ろうとする(動物実験しようとする人間をネズミたちが襲う場面がそれを表している)。だが、保守的なネズミの一派(テルラムント)に阻まれてしまう。そして、希望の星に見えたローエングリン(マウス)は元に戻り、希望でも何でもなかったことになる。

 最後、白鳥の卵の中から胎児らしい現れる。これはきっと、エルザ(ネズミではあるが、白鳥の性質を帯びている)とローエングリン(何と言っても白鳥の騎士!)の間に生まれてくるはずの胎児を暗示している。遺伝子を乗り越えようとした結果、不気味な存在が誕生する・・・という警告にほかならない。

 つまりは、これはニーチェの、そしてワーグナーにも傾向のみられる「超人思想」の否定なのではないか。遺伝子を操作するなどして、超人を目指してもろくなことはない。むしろ悲惨な結果になる、そんなメッセージ。

 とまあ、考えてみたが、われながら自信があるわけでもない。きちんとした裏付けのない単なる思い付きでしかない。それに、もし私の説が正しいとしても、この演出を是とするつもりはまったくない。音楽を邪魔するだけのひどい演出だったことは間違いない。

 こうしてあれこれ「意味」を考えてしまうこと自体、ノイエルフェルスの思うツボなのだろう。まんまと罠にかかってやったわけだが、私はどちらかというと、「意味の病」にかかった人間で、どうしても様々なものに意味を求めてしまう。ある程度、自分なりに意味を定着させないと先に進めない。

そんなわけで、まんまと罠にはまったとはわかりながら、あえて突飛な解釈をしてみた。少しは説得力があるだろうか・・・。誰も納得しないだろうなあ・・・。私自身、納得していないながら、まあ遊び半分でブログに乗せてみることにした。こんな遊びをするしか、この演出を楽しむすべはないと思うと悲しい。

 

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