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ヤンソンス+バイエルンのベートーヴェン4番3番に興奮

 11月26日、サントリーホールでマリス・ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団のベートーヴェン・チクルスの初日、交響曲4番と3番を聴いた。最高に素晴らしかった。まだ興奮している。

 前半は4番。私の大好きな曲。

 まったくもって小細工なし。正攻法の第4番。大袈裟なところはまったくない。大上段に構えるわけではない。うまさを見せつけるわけでもない。ハイドン風のベートーヴェンといってもよいかもしれない。実にまとまりよく、細部に至るまでしっかりと音が息づき、まったく隙がない。オケが実に美しい。とりわけ第二楽章のクラリネットが素晴らしかった。

 決まるべきところは決まり、実に自然に音楽が進んでいく。ヤンソンスは、初期や中期のベートーヴェンを実にうまく指揮する。若々しく生気に満ちたベートーヴェン。パーヴォ・ヤルヴィのようなベートーヴェンもいいが、このような正統派のベートーヴェンも実に素晴らしい。あれこれいじる必要はない、ふつうに生き生きとした音でベートーヴェンを演奏すると、それだけで最高のベートーヴェンになる。そう言いたげな演奏。もちろん、細部ではあれこれと工夫しているからこのように素晴らしいのだと思うが、作為をまったく感じさせないので、すべてが自然に聞こえる。

 後半は第3番「エロイカ」。

 これは4番よりももっと素晴らしかった。とりわけ第1楽章の凄さときたら。こんな第1楽章はこれまで聴いたことがなかった。

 まったくもって英雄的ではない。等身大のベートーヴェンとでもいうべきエロイカ。しゃかりきになるのではなく、音楽が自然に流れている。これはこれで素晴らしい。何もこの曲は英雄的である必要はない。しかし、それにしても、何というわくわく感。この第1楽章がこんなに楽しく、こんなにわくわくする音楽だったとは! 私は音の渦が楽しくて楽しくて仕方がなかった。

 実を言うと、私はこの曲の第1楽章にこれまでずっと違和感を持ち続けてきた。どうにもつぎはぎだらけに聞こえる。あちこちで破綻したものをベートーヴェンが力づくで無理やりつなぎ合わせているようにきこえていた。フルトヴェングラーの演奏など、とりわけそのように聞こえる。もちろん、だから悪いというわけではないのだが、違和感をぬぐえなかった。中には、自然に流れる演奏もあるが、それはまたそれであまり心を動かされない演奏であることが多かった。

 ところが今日のヤンソンスとバイエルンの演奏は、無理矢理につぎはぎした感じがまったくしない。実に自然に音楽が流れていく。ヤンソンスの頭のよさというべきだろう。うまく強弱をつけて、音楽の流れを途切れさせない。それでいて躍動し、わくわくする。音楽そのものの喜びにあふれている。凄い演奏だと思った。

 第2楽章も、少しも重くない。これまで多くの指揮者で聴いてきた「葬送行進曲」とはまったく異なる。ここでも音楽の楽しさが何よりも勝る。ちょっと拍子抜けしないでもなかったが、聴きすすめるうち、これはこれで十分に盛り上がり、十分に感動することに気付いた。

 第三楽章スケルツォも良かったが、第四楽章の躍動が第一楽章と同じように素晴らしいと思った。メリハリが実に自然。躍動の中で曲が終わった。

 アンコールはシューベルトの「楽興の時」弦楽合奏版。うまい! 

 本当に素晴らしいオーケストラ。バイエルン放送交響楽団って、こんなにうまいオーケストラだったのかと改めて思った。弦楽器も実に美しいし、管楽器も言うことなし。

 私にとって至福の時だった。ヤンソンスはまさしく現代最高の指揮者だと改めて思った。

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