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飯田みち代さんと打ち合わせ、そしてネマニャ来日

 昨日(11月5日)、都内で日本を代表するソプラノ歌手の飯田みち代さんと打ち合わせをした。

 飯田さんは今週9日からのアリベルト・ライマン作曲のオペラ「メデア」の日本初演(二期会・読売日本交響楽団・下野竜也指揮・日生劇場)でのタイトルロールを歌う。忙しい合間を縫って私たちのゼミの打ち合わせの時間を作ってくれた。

 このブログをご覧になっている方はご存じだろう。飯田さんとは、2006年に帝国ホテル、2008年にパレスホテルで私の企画で歌っていただいてからの仲(そのとき、歌っていただいたラフマニノフの「ヴォカリーズ」とシューベルトの「魔王」のドラマティックな歌唱は今も忘れない)。2010年のラ・フォル・ジュルネでは、飯田さんがショパンの歌曲を歌ったコンサートの後、前もって約束していた通り控室を訪れたら、それを見ていた悪意ある人に「樋口は女性の控室にずけずけと入って行った無礼な人間」と2ちゃんねるに書き込まれた。そして先日は、私がブログに電車内でのトラブルについて書いたところ、2ちゃんねるのウソを真に受けたウブな人たち(まあ、要するに頭の作りが簡素な人たち)が中傷のコメントを寄せて、ちょっとした炎上になった。その時、飯田さんご自身が私のブログに2010年の出来事をコメントしてくださり、また、その時の私の行動を目撃していた二人の方も証言を寄せてくれて、一件落着したのだった。

 それをきっかけに、久しぶりに飯田さんと連絡を取り、今回の打ち合わせになった。ある意味で、ウブな人たちの愚かな中傷のおかげで飯田さんと旧交を温めることができたわけだ。人生、何が幸いするかわからないものだ。

 私が担当する多摩大学樋口ゼミでは、上質なクラシック音楽を日本に、とりわけ多摩地区に送ることをめざしてコンサートを企画している。これまでも飯田さんにお願いしたいと何度も考えてきたが、日本を代表するソプラノ歌手に私たちの小規模なコンサートで歌っていただくのはあまりに失礼と思い、遠慮してきた。が、今回、思い切ってお願いすると、快く引き受けてくださった。そんなわけで、私たちのゼミの4年生の企画として飯田さんに歌っていただくことになりそうで、その打ち合わせをゼミ生と行ったのだった。(そのほか、私たちのゼミでは日本を代表するチェリスト山本裕康さんの無伴奏チェロ、現在大活躍中のソプラノ歌手、森美代子さん、若手の注目ギタリスト松尾俊介さんのコンサートも企画している)。

 とても楽しい時間だった。「メデア」の舞台稽古の様子も聞いた。舞台衣装を身に付けた飯田さんの写真も見せてもらった。ライマン自身が飯田さんの歌に満足したという話も聞いた。私も「メデア」を見せていただくつもりでいるが、実に楽しみ。

 なお、飯田さんと話しているうち、飯田さんが演出家の中村敬一さんとおこなったレクチャーの話が出た。その様子がネットに公開されている。これは実に面白い。演出の舞台裏がわかると同時に、「私の名はミミ」を清純なミミ、病弱なミミ、妖艶なミミの演出で歌い分けるところが、最高におもしろい。飯田さんの歌だけでなく、容姿、演技力、そして中村さんの話上手にも引き込まれてしまう。

http://www.hirameki.tv/ipn/mp4/iida.html

 私のゼミでは来年の1月に飯田さんのコンサートを実現したいと思っている。楽しみだ。そして、それ以前に、日生劇場での「メデア」が楽しみだ。

 

 ところで、私がファンクラブの会長を務めているセルビア出身の若手天才ヴァイオリニスト、ネマニャ・ラドゥロヴィチが昨日あたり来日したはず。先日の上海でのネマニャの公演を聴きに行ったファンクラブの中でもとりわけコアなメンバーであるHさんによれば、今回も最高度に期待できそう。

10日にはオペラシティで、11日には新潟で、バッハとメンデルスゾーンのコンチェルトを東京交響楽団とともに指揮+ヴァイオリン! 13日には浜離宮朝日ホールで無伴奏のリサイタル。これも楽しみでわくわくする。

11月には、目当てのコンサートがたくさんある。ただでも目が回るほど忙しいのに、どうなることか・・・。

 

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音楽」カテゴリの記事

コメント

「セビリア」は「セルビア」の間違いでしょう?

投稿: 御存知 | 2012年11月 6日 (火) 09時52分

「ご存知」様
早速修正しました。
いやはや、あり得ない間違いをしてしまいました。が、実は、時々怪しくなります。歳のせいですかねえ・・・

投稿: 樋口裕一 | 2012年11月 6日 (火) 10時11分

冷の日が続いていますが、お元気ですか。今、天津の最低の気温はもう10度以下になりました。東京はどうですか。
帰国は一ヶ月を超え、毎日毎日忙しく過ごしています。半年の交換留学生になったため、今学期は残った18単位をとらなければなりません。また、院生の試験の準備です。内容は難しいと言えないが、読まなければいけない本はいっぱいあります。最後は卒論の書くことです。そろそろ始まります。たとえこんなに忙しいでも、私は必ず諦めずに最後まで頑張ります。
先生の方はいかがですか。また前のように忙しいですか。どんなに忙しくても、お体に気をつけてください。(先生のメールアドレスが忘れてしまいましたから、ここで挨拶します。(/ω\*)ごめんなさい)

投稿: 寧春に | 2012年11月 6日 (火) 10時33分

樋口先生、お久しぶりです。時々コメントを書かせて頂いている権兵衛です。
 相変らずの御活躍 何よりと存じます。
 今回、かねて樋口ゼミでは多摩地区の音楽文化活性化のために努力しておられる、という趣旨の文面を拝見し、以前に優れた女性ピアノトリオコンサートを主宰されたことを思い出しました。
 今般、私は東京都日野市を拠点とするアマチュアオーケストラ「多摩ファミリーオーケストラ」第6回公演に些かの関わりを持ちましたので、そのことにつてい少し書かせて頂こうと思います。まず公演内容ですが、
 指揮/杉原岳彦。日時/2012年11月11日(日)午後1時半 開演。会場/日野市民会館ホール。曲目/交響曲第8番(ドヴォルザーク)、フインランデイア、ペールギュント組曲(抜粋)、スラヴ舞曲第10番(ドヴォルザーク)、ルーマニア民俗舞曲(バルトーク)、剣の舞。
 かなりの難曲揃いですが、ほか、あまり例のないことでしょうが日本の歌曲もあります。
 一見して、東欧、北欧やロシアにコンセプトが統一されていることが分りますが、他のオーケストラのように、とかくお客様の好みから離れがちな大曲主義に偏しないように、とにかく親しみやすい名曲を------という意向が伺われます。
 演奏会に先立ってこの夏、「オーケストラチャレンジ」という企画があり、演奏経験不問でドヴォルザークの交響曲第8番(私の大好きな曲です。次回は「新世界」とのこと)を一緒に演奏しましょう、という呼びかけがありましたので私も参加させて貰いました。
 最近のアマチュアオーケストラはレベル(敷居)が高く、入団を希望してもパートトップが弾けるなら考えてやってもよい、というオーケストラもあるくらいです。オーケストラ側としては当然の要望なのでしょうが、素人には取り付く島もありません。
 このたび、演奏会にはチャレンジ参加の幾人かが晴れてステージに乗ります。
 このオーケストラはごく普通の団体のように見えますが、「ファミリー」という名称にたがわず、どこにもない「暖かさ」があります。演奏会では、団員たちは「笑顔」でお客様に接するようにとの「お達し」が出ているくらいです。オーケストラには楽器による演奏技術という壁があるので、どうしても冷たいような雰囲気になりがちなものなのです。この点、合唱団の雰囲気とも違ってくるような気がいたします。
 それに、オーケストラ創設以来、音楽による青少年の育成を目的としているため、団員に中・高生を加えているのが特徴です(ちゃんと難しい第一ヴァイオリン等を弾いています)。このため、大人たちの「効率第一」「費用対効果」「技巧優先」等から離れて、時間を掛けて自然に音楽を身に付けさせるような配慮があるように見受けられます。そこで、指揮者、役員たちは音楽指導のほか保護者/教育者としての役割をも担うことになるのです。運営委員長は団員ではなく、保護者代表だという話ですが、これですと期せずして実質的な団の後援会長という役回りになります。
 時間がかかるようでも、この子供たちが成人した暁には、音楽で多摩地区を豊かにしてくれることが期待出来るではありませんか。
 このオーケストラには勿論多くの課題だありますが、多くの美質が見出せる点においては、まことにユニークな存在であるように感じられた次第です。
 私は、あらゆるものがデジタル化する現在、わざわざ人手をかけることによってのみ演奏可能になる室内楽やオーケストラ活動、それに自転車が、貴重なアナログ文化の象徴として、永く世に生き残っていくだろうという予測と希望を持っております。
 人間だけが持つ「暖かみ」もまた継承しなくてはなりません。

投稿: 権兵衛 | 2012年11月 6日 (火) 16時09分

寧春に様
コメント、ありがとう。
元気にやっているようですね。
すぐに個人宛にメールしますね。

投稿: 樋口裕一 | 2012年11月 7日 (水) 08時05分

権兵衛様
コメント、ありがとうございます。
アマチュアオーケストラでの活動、素晴らしい成果を生むことと思います。私たちのゼミで行っていることと重なりそうです。もしかすると、私たちのゼミに協力できることもあるかもしれません。少しゼミ生に話してみようと思います。
ただ、11月11日につきましては、私の大学ではオープンキャンパスが開かれ、私が責任者ですので、持ち場を離れることができません。残念ですが、出席できそうもありません。
成功をお祈りします。

投稿: 樋口裕一 | 2012年11月 7日 (水) 08時12分

樋口先生
 噂のネマニヤのCDを買ってみました。メンデルスゾーンのコンチェルトです。
 この抒情的な名曲の演奏に「凄い」という表現が適切かどうか分りませんが、とにかく圧倒的な名演です。
 私はヴィオリンをいたずらしており、メンデルスゾーンの楽譜も持っているのですが、左指の運動機能から考えて、どうしても人間が弾けるとは思えないような難所でも、彼はスラスラとクリアしています。彼の才能に驚く、というのは驚くほうが間違っていますね。「シャコンヌ」も聞いてみたいと思います。
 先般、「多摩ファミリーオーケストラ」のことについて触れてみました。公演は無事終了し、このオーケストラについての感想を、私のブログに載せてみました。先般の内容と重複する面もありますが、よろしければご覧下さい。

http://d.hatena.ne.jp/e-tsuji/ (「権兵衛の領分」)

投稿: 権兵衛 | 2012年11月19日 (月) 12時34分

 権兵衛です。
 音楽評論家の「伊熊よし子のブログ」にネマニャのことか取り上げられています。氏はネマニャの来日ごとにインタビューをされている御様子です。
 御参考までに。

投稿: 権兵衛 | 2012年11月20日 (火) 16時02分

権兵衛様
コメント、ありがとうございます。
CDもとてもよいのですが、ネマニャは基本的にライブの人だと思います。決まりきった名曲を演奏するというよりは、目の前にいる客と対話しながら音楽を作っていく傾向の強い演奏家です。ですから、CDで聴かれた以上の感動を、ナマで感じることができると思います。ぜひ、次の来日の機会にお聴きになってください。
伊熊よし子さんのブログ、のぞいてみました。お教え下さってありがとうございます。評論家の方が書いてくれるのはうれしいですね。もっと多くの評論家が会場に足を運んでくれるとうれしいのですが。
多摩地区のクラシック音楽のために、アマの方と連絡を取り合う必要を感じております。また、連絡を差し上げることがあるかもしれません。よろしくお願いします。
(大学が推薦入試の時期ですので、入試委員長としては猛烈に忙しく、返事が遅れました。ご容赦ください)

投稿: 樋口裕一 | 2012年11月22日 (木) 08時41分

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