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新国立「セビリアの理髪師」、そして、樋口ゼミ主催コンサートのこと

12月4日、新国立劇場「セビリアの理髪師」公演を見た。正直言って、期待していたほど楽しめなかった。

 歌手は図抜けた存在はいないが、特に不満だったわけではない。フィガロのダリボール・イェニスとロジーナのロクサーナ・コンスタンティネスクはしっかりした美声。バルトロのブルーノ・プラティコは独特の声で、なかなかの芸達者。ドン・バジーリオの妻屋秀和、ベルタの与田朝子もまったく引けを取らない。とりわけ、妻屋さんの声には圧倒された。ただ、アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったルシアノ・ボテリョはちょっと期待外れ。ロッシーニのテノールが難しいのはよくわかるが、もう少し、張りがほしい。

 東京フィルハーモニーももちろんしっかりと演奏し、合唱も良かった。だから、たぶん、私が退屈した原因は、指揮と演出にありそうだ。

 カルロ・モンタナーロの指揮にかなり一本調子なところを感じた。曲想が変わっても同じ雰囲気が続く。だから、わくわくしない。オケはしっかりそろい、きちんと整理されているのだが、音が生きてこない。せっかくフィガロが「街の何でも屋」を歌い、ロジーナが「今の歌声は」を歌い、ドン・バジーリオが「陰口はそよ風のように」を歌っているのに、私はあまり楽しめなかった。第一幕幕切れの大混乱の部分も音が大きくなるだけ。

 それにヨーゼフ・E ケップリンガーの演出にも、私はおもしろさを感じなかった。第二幕には笑っている人がたくさんいたので、私とセンスが合わないだけだったのかもしれないが、私は笑う気になれなかった。第一幕冒頭、楽師たちが集まっているはずなのに、音楽はラジカセのようなもので再生されるという設定のようだ。ギャグのつもりかもしれないが、私はまったくセンスを感じなかった。しかも、娼館があったり、子どもたちや妊婦や壁塗り職人や学生などが登場したりするが、そうしたことにどんな意味があるのかよくわからない。様々な階級がごたまぜになった猥雑感のようなものを出したいのかもしれないが、どうもそれが伝わらない。

それに、ロッシーニのオペラなのに、まるでバイロイトの演出のように、歌手がアリアを歌っているときに、あちこちで寸劇をやっている。そのため、笑いの焦点が定まらない。小さなギャグの一つ一つが私のツボから外れる。なんだか、いろんな人物を出して、ごちゃごちゃさせ、いくつものギャグを織り交ぜ、お金と手間をかけてわざわざつまらなくしてしまったように感じた。

 ただ、第二幕の嵐の部分の演出はおもしろかった。絵としてとても美しい。配色がみごと。大変失礼ながら、ここだけ決まっているように感じた。

 夏にザルツブルク、バイロイトに行き、先日、ヤンソンス+バイエルンのベートーヴェン・チクルスを聴いたばかり。少々なことでは満足できなくなっている自分を発見。少し前なら、このレベルの「セヴィリアの理髪師」を見たら、間違いなく満足しただろう。

 というわけで、少々欲求不満を抱きながら、帰途についた。期待が大きすぎたのか・・・。

 

 ところで、多摩大学樋口ゼミ主催のコンサートの案内させていただく。私のゼミでは、学生が主体となって、クラシック音楽を多くの人に聴いていただくため、コンサートを企画運営している。数日前、このブログでコンサートの愛内を書いた。新たに詳細が決まったものもあるので、付け加える。

 

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●飯田みち代+笠松泰洋のデュオ 1月9日(水)

 ライマンのオペラ「メデア」日本初演のタイトルロールを歌って大きな感動を巻き起こした日本を代表するソプラノ歌手・飯田みち代さんと蜷川幸雄氏の舞台音楽を手掛ける話題の作曲家・笠松さんのデュオを、軽食ドリンク付きで。場所は、テレビでおなじみの寺島実郎・多摩大学学長の運営する「文庫Café みねるばの森」。

 

・演奏曲目

シューベルト 「楽に寄す」「野バラ」

笠松泰洋「ラクリモーザ」「足羽川」

山田耕筰「さくらさくら」「からたちの花」

フォーレ「リディア」

ドナウディ「私の愛の日々」

マスカーニ「友人フリッツ」より「わずかな花を」(ただし、変更の可能性あり)。

・日時 1月9日 19時開演 

・会場  文庫café みねるばの森 (九段下駅 徒歩3分)

・料金  4000円(軽食ドリンク付き)

・チケット予約連絡先 add9_imagine1560@i.softbank.jp 

 080-4604-1560(浅島)あるいは樋口裕一ブログ 

・当日券あり        

 

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●森美代子+松尾俊介デュオリサイタル (2月3日 多摩市永山公民館 ベルブホール)

 さきごろ都内で上演されたチャイコフスキーのオペラ「イオランタ」でタイトルロールを歌って大きな話題になった大活躍中のソプラノ歌手・森美代子と、ギターの新星として大評判の松尾俊介のデュオコンサート。「音符の森の木の下で  楽譜の中のワンダーランド」と題して、「じぶり」の歌やファンタジーにあふれたクラシックの親しみやすい曲をお贈りする。

・曲目

「もののけ姫」「いつも何度でも」などのじぶりの歌

武満徹 「小さな空」

オッフェンバック 「ホフマン物語」よりオランピアのアリア「森の小鳥は憧れを歌う」

ドリーブ 「カディスの歌」

「禁じられた遊び」(ギターソロ)

 

・日時 2月3日19時開演

・会場 多摩市永山公民館 ベルブホール(小田急・京王の永山駅より100メートル)

・入場料 一般1000円、学生800円、中学生以下500円。

・チケット申し込み連絡先 wanokokolo@softbank.ne.jp あるいは樋口裕一ブログ

・当日券あり

 

●山本裕康(チェロ) バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏

 何と日本を代表するチェリストの山本裕康がいよいよ知の殿堂「文庫café みねるばの森」にて、バッハの無伴奏チェロ組曲を演奏する。客は40人前後。気軽に飲み物を飲みながら、奥深いバッハの世界に入ることができる。

 第一回 29日(土)で 第1と第5番、第二回は 420日(土)で第2番と第6番、第三回は 622日(土)で 第3と第4番を予定している。料金は一回につき4000円。全3回通し券で10000円。すべて軽食ドリンク付き。

(なお、前回、このブログで告知した際には、2回目を46日としていたが、都合により420日に変更)

 申し込み先 tamazemi@gmail.com あるいは樋口裕一ブログ

 

 

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音楽」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私も「セビリアの理髪師」を鑑賞してきましたので、興味深く読ませていただきました。
今まで見た「セビリアの理髪師」とは違ったおもしろい演出だと思いました。フィガロ役のダイポール・フェニスの声量豊かな躍動感のある歌が特にすばらしいと思いました。

私もブログに感想を書いてみましたので、ご意見、ご感想などコメントしてくださると感謝致します。

投稿: dezire | 2012年12月11日 (火) 06時11分

dezire様
コメント、ありがとうございます。
ブログ、読ませていただきました。私は、あの演出に政治的なメッセージをまったく読みとりませんでしたので、とても新鮮に思いました。演出についてのコメント、とても説得力を覚えました。
私は、それでもあそこに独裁へのメッセージがあったとは思えないのですが、確かに、バルトロの家をけっしてお屋敷とはいえない、娼館のある場末の町に設定したことは画期的ですね。書き忘れていましたが、それについては私もとてもおもしろいと感じました。ただ、あれこれのパントマイムをする必要はないのではないか感じたのでした。
いずれにしましても、新しい視点で演出を考え直すことができました。
演奏につきましては、一言で言いますと、私はアルマヴィーヴァを歌った歌手をのぞいてとてもよく、指揮者に不満といったところでした。

投稿: 樋口裕一 | 2012年12月12日 (水) 08時32分

山本裕康さんの演奏会のチケットを申込たく「hutugaitivan@yahoo.co.jp」へメールしましたが、反応がありません。もう一つの申込先の「あるいは樋口裕一ブログ」はこのコメント欄でよいのでしょうか?
通し券を1枚希望なのですが、どのような手続きをすればよいでしょうか?

投稿: 月猫 | 2012年12月13日 (木) 01時45分

月猫様
大変申し訳ありません。予約券、承りました。
個人的に、メールでご返事を差し上げます。

投稿: 樋口裕一 | 2012年12月13日 (木) 07時32分

私も山本先生の演奏会のチケットを2枚、「hutugaitivan@yahoo.co.jp」へ申込みさせていただいたのですが、お返事をいただけません。ひとます。2月のコンサートをお願いしたいのですが、どうしたらいいでしょうか。

投稿: 七海 | 2013年1月 7日 (月) 23時54分

七海 様
コメントありがとうございます。
個別に対応させていただきました。
また、何かありましたら、遠慮なく、コメントをください。

投稿: 樋口裕一 | 2013年1月 9日 (水) 09時16分

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