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飯田みち代+笠松泰洋デュオコンサート。主催者でありながら、感動!

 1月9日、九段下の寺島文庫Café「みねるばの森」で多摩大学樋口ゼミの卒業生制作コンサートとして、飯田みち代+笠松泰洋デュオコンサートを開いた。軽食とドリンクのつく気軽なコンサート。私は主催者側の人間なのだが、テーブルの端っこで聴かせていただいた。

 30人ほどしか入らない小さなカフェで、目の前で飯田さんが歌う。笠松さんがシンセサイザーで伴奏。シューベルティアーナと呼ばれるシューベルトを囲むサロンはきっとこうだっただろうと思われるような親密な空間。飯田さんと笠松さんの気心の知れた二人が和やかな中に独特の世界を作って行く。

 飯田さんとお仕事をご一緒するのは3度目。以前、帝国ホテルとパレスホテルでサロンコンサートを飯田さんにお願いして歌ってもらった。そして、今回。相変わらず、飯田さんの独特の世界に酔った。

 飯田さんは和服姿で登場。それが実に似合っている。美人は何を着ても美人だということを改めて実感。 飯田さんはほかの歌手たちよりもずっと深い情感を込めて歌う。しかし、その情感は、いわゆる日本的な情感ではない。べったりした感じにならず、もっとダイナミックになる。しかも、詩の内容を把握したうえで歌うので、声が魂に響く。 シューベルトの「野ばら」も、飯田さんが歌うと、深く恋の心を歌いあげたドラマティックな曲になる。いわゆるドラマティックな声の質ではないのだが、表現が本質的な意味できわめてドラマティック。

 フォーレの「リディア」や「夢の後で」を飯田さんは、まるでワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のように、深い声でゆっくりと歌った。ほかの歌手たちがフランス歌曲をこのように情感を込めて歌うと、歌の世界が崩壊する。ゆがんでしまって聴くに堪えなくなる。ところが、飯田さんが歌うと、豊かでドラマティックで深い世界が広がって行く。もしかしたら、これらの曲は、本来、このように歌うように作られているのではないか。ほかの歌手たちは、このように表現することができないために、仕方なしにフランス風に、あまり情感を込めずに軽く歌っているのではないかとさえ思えてきた。

 ドナウディの「私の愛の日々」という歌を初めて聴いた。これもとても美しくドラマティックな曲。深く感動した。もっと声の美しい歌手はたくさんいる。だが、飯田さんほど、表現力豊かで、魂の奥深くに訴えかける力を持つ日本人歌手はほかにいないのではないか。

 笠松さんの作曲した「ラクリモーザ」はしっとりした名曲だった。19歳の時に作曲したという「足羽川」も初々しくて美しい。フォーレの初期の歌曲のような味わいがある。もう少し笠松さんの曲を聞いてみたいと思った。

 ゼミ生もよく働いてくれた。最初に4年生の企画が上がったときにはどうなることかと思ったが、学生たちが「冬から春へ」というテーマを決め、飯田さんと相談して曲目を決め、これだけの質のコンサートを実現できた。きっと、たくさんの不備があったのだろうが、私の目からは、ともあれ合格点。来てくださったお客様にも感謝したい。お客様は、皆さん感動して、とても満足してくれた様子だったので、ゼミ活動としては大成功だった。

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コメント

昨晩の飯田さんの演奏会、本当に心の底から満足いたしました。ドナウディの「私の愛の日々」、私も感動して思わずブラバーと叫んでしまいました。それから先生ご指摘のとおり、フランス歌曲が何とも味わいが深かったと感じております。
そして、演奏開始前に、この場所は音がこもるので、あちらの方がよろしいのではとのお話で、席を移させていただき、更に先生があの場で挨拶されなかったという無私のお人柄にも心打たれました。飯田さんとも久しぶりにお話できましたし、このような機会を与えてくださった先生に深く感謝いたします。

投稿: | 2013年1月10日 (木) 09時46分

 飯田みち代+笠松泰洋デュオコンサートは暖かく親しみ易いホームコンサートの雰囲気に気持ちが安らぎました。飯田みち代さんは高音が輝くばかりに美しく声量も豊富なうえに曲の心を掴んだ歌唱に感動しました。また、美しさに加えて温かみのある人柄で聴く人に和やかさを与えてくれました。笠松さんのシンセサイザーも飯田さんに寄り添うように弾いて下さり息がぴったりと合った演奏でした。
 シューベルトから日本歌謡や笠松さんの曲、そしてフォーレ、ドナウディ、マスカーニと多彩な曲目のプログラムでいずれも素晴らしく、アンコールの「夢のあとに」や「アヴェ・マリア」も感動的でした。
 樋口教授ゼミの若いスタッフもこのコンサートを成功させようと努力されてる姿が感じられましたが、若い学生さんにとりこれは貴重な経験になった事と思います。

投稿: 佐藤勝宏 | 2013年1月10日 (木) 10時05分

お二人の投稿者様
昨日は、私たちの主催するコンサートに足をお運びくださり、ありがとうございました。私自身がとても感動して聴き入りました。本当に素晴らしいコンサートでした。
私があの場に出て挨拶をしなかったのは、単に私はサポート役だったからであり、また「話し方」の本を行きがかり上書いたものの、実はかなり人前に出るのが苦手だからにすぎません。
ともあれ、あのような体験をし、あのような音楽を間近で接することのできたゼミ生は幸せだと思っています。
ほんとうにありがとうございました。

投稿: 樋口裕一 | 2013年1月10日 (木) 23時48分

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