2013年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日も充実
2013年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日。今日も充実。今日は、家庭の事情で夜遅くまで参加せず、夕方で切り上げた。
今年のラ・フォル・ジュルネは全部で22の有料コンサートを見たことになる。昨年まで、ナントやびわ湖、鳥栖を含めて364のコンサートを見ていたので、合計386のコンサートを見たことになる。
簡単に今日見たコンサートの感想を記す。
・レジス・パスキエのヴァイオリン、アンヌ・ケフェレックのピアノでフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番と、サン・サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番。
素晴らしい演奏。フォーレも良かったが、サン・サーンスはもっとすごかった。技巧をこらしたサン・サーンスの音楽のおもしろさを存分に聞かせてくれた。形式を明確にしたうえで、後半盛り上げていく。ベテラン健在。
・20世紀のパリ、音楽の冒険Aプロ。アンサンブル・コンテンポラン。前半にラヴェルの「序奏とアレグロ」、後半にスザンナ・マルッキの指揮でブーレーズの「シュルアンシーズ」。
ラヴェルはいかにも現代音楽風のクリアな音。完璧な音程で、しっかりと演奏。すばらしい。ブーレーズの曲は、ハープとピアノとマリンバが3台ずつという編成。音の点描によって流れを作っていく。10分程度ならとてもおもしろいと思っていたが、30分くらいの長さだったと思う。これだけ続くと、飽きてくる。音楽についてきわめて保守的な私としては、後半、かなりつらかった。
・「魂のストリング」と題されたカニサレス・フラメンコ六重奏団によるギターを中心とした楽器の演奏。踊りつき。
とてもおもしろかった。フラメンコについては少しも詳しくないが、30歳を少し超えたころ、初めてスペインに行って、フラメンコの虜になった。その後、しばらくCDをフラメンコの歌を聴いたり、踊りをビデオで見たりしていた。フラメンコは実に奥が深い。胸が高鳴ってくる。踊りも実にいい。ただし、まったくの素人なので、何も語れない。
・「サティと仲間たち」と題されたアンヌ・ケフェレックのピアノによるエスプリの利いたピアノ小曲集。サティの「グノシエンヌ」「ピカデリー」「ジムノペディ」、プーランクの田園曲、ラヴェルのシャブリエ風になど。
サティの仲間たちというので、もっと砕けた、もっと遊びの多い演奏かと思っていたら、かなりまじめ。まじめな中にちょっとだけユーモアがある、といったところ。遊びというよりも、ケフェレックが日本語の文を読んだが、まさに「俳句」のような雰囲気。実は、私はピアノ曲はほとんど聞かないのだが、サティのピアノ曲だけは少々聴く。チャーミングな演奏でとてもよかったが、サティ好きの私としては、ちょっと上品すぎたかな。
・東京音楽大学シンフォニックウィンドアンサンブル、黒岩英臣指揮。ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」と「葬送と勝利の大交響曲」。
もともと軍楽隊のために作られたベルリオーズ「葬送と勝利の大交響曲」をオリジナルで演奏。いやはや、いかにもベルリオーズ。大編成の管楽器が咆哮し、打楽器が大音響で鳴る。えげつないまでにやりたい放題。それなりにはおもしろいが、そこまですることはないだろうに・・とずっと思い続けた。ともあれ、この演奏を聴く経験をしただけでも、ありがたい。
・パスカル・ロフェの指揮、フランス国立ロワール管弦楽団に児玉桃のピアノが加わって、ラヴェルの左手のための協奏曲、その後、「ダフニスとクロエ」第2組曲。
とてもよかった。オーケストラが実に色彩的。いかにもフランスのオケ。児玉のピアノも、例によって実に知的でありながら、色彩感やダイナミックな迫力をしっかり出して、いうことなし。「ダフニスとクロエ」第2組曲の最後は色彩的な中に、大音響の切れのよさを示して、実に感動的。
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コメント
最終日の今日は6つのコンサートを聞きましたがやはりコルボ・ローザンヌ室内合唱アンサンブルのフォーレクに感動しました。巨大空間の
ホールAが澄み切った音楽で満たされました。ソプラノのソロも立派。
ラムルーO.の最終公演も楽しく(カスタネットの女王もよかった)
幸せな時間でした。今回の二つの仏のオーケストラは予想以上で
何よりもフランスのエスプリに満ち溢れやはり日本のオケでは絶対聞けない音でした。
投稿: 明田重樹 | 2013年5月 6日 (月) 00時45分
ベルリオーズの「葬送と勝利の大交響曲」。私も聴きましたが、久しぶりに「体感」する音楽を聴かせていただきました。というよりベルリオーズという人そのものが、音楽を体感させることに天才的な人だったのかもしれないと、あらためとこの作曲家の凄さを感じさせられてしまいました。前日までホールの空きがかなり盛大だったのでガラガラだったらいやだなあと思ってたのですが、やはり当日大量に売れたようで一安心。今度は合唱付きの版でぜひ聴いてみたいです。
投稿: かきのたね | 2013年5月 6日 (月) 01時03分
明田重樹 様
コメント、ありがとうございます。
家庭の事情で、最終日は夕方までしか、会場にいられませんでした。最後の二つのコンサートはAホールで締めようと予定していたのですが。フォーレのレクイエムは、CホールとAホールで2回聴こうと思っていました。4日のCホールでの演奏も素晴らしいものでした。
投稿: | 2013年5月 7日 (火) 16時51分
かきのたね様
コメント、ありがとうございます。
ベルリオーズの劇的センスについては素晴らしいと思いました。ただ、弦楽器好き、声楽好きの私としては、管楽器と打楽器中心というのは、やや物足りない面がありました。ベルリオーズの宗教曲を演奏してほしかったと思います。
投稿: | 2013年5月 7日 (火) 16時54分