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チェジュ島初日

 昨日、5月30日、朝の4時前に起床。リムジンバスで成田に行き、大韓航空機でチェジュ島にわたった。済州平和フォーラムの日本訪問団40数名の中の一員として参加。

 温度は東京とそれほど大きな差はないと思う。が、空港付近や空港からホテルに向かうバスの窓からは棕櫚やソテツが見える。ホテルの周囲も南国風、

 店の看板がハングルであり、車が右側を通っていることをのぞけば、日本の光景とあまり変わらない。15年ほど前に韓国を訪れたとき、「遅れてる」と感じるところがあったのを覚えているが、それはまったく感じない。

 ホテル到着後、すぐ昼食を済ませてチェックインする予定だったが、多くの団員の部屋が用意できていなかったり、予約していた部屋と室内装備が違っていたりして、あちこちで混乱。このようなところが日本と異なる。

 17時から、いくつかのセッションをのぞいてみるなど、フォーラムに参加した。

済州平和フォーラムといってもご存じない方が多いと思う。私も多摩大学の趙先生に強く勧められるまで知らなかった。が、数年前から開かれ、世界各国から政財界や学術界の人物が集まって議論がなされ、平和と繁栄ための方法について議論されているという。今年は40カ国から3000人ほどが参加していると聞いた。

日本人の参加は少ないようで、私たちの40数名の訪問団が、日本人のほとんどらしい。日本訪問団は、このたび多摩大学の趙先生が努力をし、広い人脈に声をかけて、結成された。

日本人訪問団の団長はAFLAC創業者で最高顧問の大竹美喜氏。そして、団のメンバーには、多くの政財界の大物たちを育て、今なお政財界の支柱になっている行徳哲夫先生、下村文部科学大臣の後援会長である鈴木静雄氏がおられる。そのほか、慶應大学、横浜国立大学の教授陣、市会議員、いくつかの会社の幹部も参加。そのほかには、多摩大学の諸橋副学長、公平課長、そして22人の多摩大生が参加している。

 夕方、済州フォーラム組織委員長主催の晩さん会が開かれた。数百人入る会場に、あちこちの国の人々が囲んで、食事をとる。韓国の人々のあいさつの後、日本から鳩山由紀夫元総理が演壇に立って、英語で演説。日韓の友好の大事さを訴える内容だったが、I love Korea, I love Jeju island. と繰り返すところが、いかにも鳩山さんらしいと思った。鳩山さんが私たちのテーブルの近くにも来てくれたので、私も一緒に写真を撮ってもらった。多摩大生の多くも鳩山さんを囲んで写真をとっていた。

 その後、別室に移って、日本人訪問団だけが集まって、大竹団長、行徳先生を中心に多摩大学のメンバーで懇談。初めて会う何人かの方と言葉を交わした。

 私は、元来、人見知りで引っ込み思案なので、時々、このような会に引っ張り出されて、人脈広げることはありがたい。他分野の方と知り合いになれて、目が開かれる思いがする。

 私でもそうなのだから、このような会に多摩大学の学生が参加するのはとてもよいことだ。世界の著名人を目の当たりにし、その話を聞き、韓国の優秀な若者がパネラーに対して英語で堂々と自分の意見を言うことを目撃する。このような機会が与えられた学生は幸せだと思う。多摩大生は、じつにしっかりとこのような会を自分のものにしているように見える。セッションをさぼって、あちこちで遊ぶ学生もいるのではないかと心配していたが、きちんと出席して、発言に耳を傾けている。今年は無理にしても、近いうち、このような場で英語で鋭い質問をする多摩大学が出現してほしいものだ。

 セッションについて感想を書きたいが、PCの調子がよくない。とりあえず、今日はこのくらいにする。

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あの岡田博美さんが、多摩大樋口ゼミの企画するコンサートに登場決定!

 9月29日、なんと世界的ピアニストの岡田博美さんにご登場いただき、樋口ゼミ主催でリサイタルを開くことが決まった!!

 本日、多摩大学の諸橋副学長とともに、岡田さん、そして岡田さんとの仲介をしてくださったS氏と食事をご一緒しながら、オープンキャンパスでの打ち合わせをした。

 岡田さんといえば、恐るべきテクニック、繊細でしなやかで知的な音楽のつくりで知られる傑出したピアニストだ。アルベニスの「イベリア」のCDは素晴らしい。先日、都内で行われた演奏も圧倒的だったという。演奏する音楽の通り、物静かで引っ込み思案の方なので、恐るべき実力のわりに知名度は低いが、音楽好きなら誰でも知る存在。本日、初めては長時間、お話しさせていただいて、まったく思っていた通りの、繊細で物静かな方。が、もっと気難しく神経質な方ではないかと恐れていたが、とても気さくにしてくださった。

 その岡田さんが、私たちのゼミのコンサートに参加してくださるかもしれないという話が、しばらく前から起こっていた。まさかとは思っていたが、本日、お話しして、これが実現しそうなことが確認できた。

 9月29日に多摩大学経営情報学部でオープンキャンパスが開かれるが、その催しの一つとして、コンサートを企画して地域の方にクラシック音楽を広める活動をしている樋口ゼミの活動を見てもらうことになった。そして、そこに岡田さんに登場していただくことが決まった。

 曲目などの詳しいことは近日中に決定する。今のところ、オープンキャンパスの一つとして行うため、今回は特別に入場料無料になりそう。

これまで私たちは、作曲家の三枝成彰さん、ソプラノの飯田みち代さん、チェロの山本裕康さん、ピアノの菊池洋子さん、ヴァイオリンの佐藤俊介さんなどの実力のある有名な演奏家に来ていただいて、お話していただいたり、演奏していただいたりしてきた。その中に、ついに岡田さんも加わった。

食事しながら、これから岡田さんに何度か登場していただくことを夢物語として語ったところ、拒まれることなく、前向きに考えてくださることを約束してくれた。私たちのゼミの夢が広がった。

 

 実は、あすの朝、済州島に出発する。毎年、この時期、多くの政財界、学界関係者、学生たちが集まって、済州等で平和のためのフォーラム(「済州平和フォーラム」)が開かれる。今年は私の勤める多摩大学がセッションの一つを企画。そこには下村文部科学大臣も参加予定とのこと。私もそれに出席することになった。

 朝、5時過ぎのリムジンバスに乗る。そんなわけで、そろそろ寝ようを思う・・・

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ウィーン・シュルツ室内合奏団のモーツァルトはとてもよかった

 5月27日、武蔵野市民文化会館小ホールで、ウィーン・シュルツ室内合奏団のコンサートを聴いた。この室内オーケストラの生みの親である名フルーティスト、ヴォルフガング・シュルツ氏が演奏する予定だったが、今年の3月に亡くなったため、フルートは、ワルター・アウアーに変更。

冒頭、オケの団員がそのような事情を伝えるために、通訳とともに壇上で挨拶をしてから、演奏が始まった。前半はモーツァルトのフルート協奏曲第1番と第2番。後半は、フルートと管弦楽のためのアンダンテ、最後に吉野直子のハープが加わって、フルートとハープのための協奏曲。

 私の席のせいかもしれないし、かなり古楽的な演奏をするこのオケの音に私の耳が慣れなかったせいかもしれないが、出だしは異様にまとまりが悪かった。低弦が強すぎ、ホルン(ナチュラル・ホルンだと思う)が音を外し、バタバタした感じだった。が、だんだんと良くなって、協奏曲の第2番はかなり合ってきた。ただし、指揮は合わせているだけの感じで、切れが良くない。

 フルートのアウアーは情に溺れず、きわめて知的に構築していくタイプのようだ。のめりこみすぎないで、均斉を保って、澄んだ実に美しい音を奏でる。最後の、フルートとハープのための協奏曲は二人のソリストもしっかり合って、とてもよかった。

 アンコールはグルックの精霊の踊り。ハープの吉野さんが、亡きシュルツ氏を思いながらこの曲をアンコールとして演奏することをアナウンスした。きっと亡きシュルツ氏の得意の曲だったのだろう。オケのメンバーの何人かが演奏しながら涙を流していた。フルートのアウアー(年齢はかなり差があるが、シュルツ氏と親しかったようだ)の目にも涙がにじんでいたように思う。これもしみじみとして素晴らしい演奏。

 

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映画「カルテット 人生のオペラハウス」と「リンカーン」のこと

 ダスティン・ホフマンは、私が映画を盛んに見ていたころの大俳優だ。だから、その初監督作ということでも「カルテット」という映画には大いに関心を抱いていた。しかも、オペラ歌手たちが主人公で、クラシック音楽がふんだんに出てくるという。やっと時間を見つけて、見に行った。

 とてもおもしろい映画だった。ビーチャム・ハウスという音楽家専門の老人ホーム。実在はしないのだろうが、ビーチャムは、ロイヤルフィルを作った大富豪なのだから、このような老人ホームを作っていたとしても不思議はない。ミラノにあるというヴェルディの作った老人ホーム「音楽家たちの憩いの家」をモデルにしたものだろう。

ホームに入っている元音楽家たちが、この施設を存続させるためのガラコンサートを行おうと計画しているとき、二度と歌うまいと決意したわがままな往年の大ソプラノ歌手が入ってくる。そのソプラノ歌手の元夫との葛藤を乗り越え、昔馴染みの4人で「リゴレット」の四重唱「美しい恋の乙女よ」の演奏をおこなうまでを描く。

 最後に出演者の名前が出るのを見て、ヒロインのライヴァルであるアンナ役を演じたのがグィネス・ジョーンズだと知った。ジョーンズについては、ブリュンヒルデを歌うのを実演でも聞いたし、もちろんCDもDVDもかなりの枚数を持っている。好きな歌手の一人だった。が、実はまったく気付かなかった。名前を見てもまだ信じられず、帰ってネットで確認して、やっと納得できた。見事な歌を聴かせていたが、あれは本当にジョーンズの今の声なのだろうか。

 ソプラノ歌手役のマギー・スミス、その元夫のトム・コートネイをはじめ、役者たちは実にいい。老いが迫り、みんながかつてのような自分でないことにいら立ちながら、それを受け入れ、未来に向けて今できる努力をしていく。それを、時にコミカルに、時にしんみりと描く。語り口が実にうまい。

最後、4人が歌う場面は映し出されず、4人の若いころの録音が流れて終わる。この処理は実に気が利いている。凡庸な監督なら、そこで老いて歌う4人を盛り上げて涙を誘おうとするのだろうが、それをうまく避けている。

 

実はこの映画は、老人たちを美しく撮りすぎている。実際の老人たちは、たとえ過去に音楽の世界で活躍したにしても、これほど容姿の整った人ばかりで、これほどセンスの良い服を着ていないだろうし、施設もこれほど設備が整っており、これほど豪華な場所ではあるまい。最後のガラコンサートはともかく、通常の場面で老いた音楽家たちの奏でる音楽は、実際にはこれほど高レベルのはずもないだろう。言ってみれば、この映画は老人たちの夢物語。現実からはかけ離れているだろう。映画というのはすべてそのようなものだとはいえ、ほかの映画以上に、この映画にはその傾向が強い。

 

最後に4人の歌を聴かせずに、昔のレコードを鳴らすのは、そのような「欺瞞」に対する後ろめたさを監督自らがほのめかしたように私は思う。「現実には、この人たちは昔のような素晴らしい歌は歌えない。私は、それをごまかして、ここでこの4人が素晴らしい演奏をしたというようなクライマックスを作ったりはしませんよ。だからといって、悲惨な歌を聴かせることもしません。彼らは彼らにできる最高のパフォーマンスをしてることをわかってくださいね」。ダスティン・ホフマン監督は、最後の場面でこのように言いたいのだと私は思う。

 

 ヴェルディのほか、プッチーニやバッハ、ハイドンなどの音楽がしばしば流れる。音楽好きとしては、これはかなり心地よい。プッチーニは好きな作曲家ではないが、ポップスよりはプッチーニのほうがいい。

 

 ところで、しばらく前、スピルバーグ監督の「リンカーン」も見た。京都で早めに仕事が終わったものの観光をするには時間が不足だったが、映画を見るには都合がよかった。とてもおもしろかった。奴隷解放令を可決させるために、汚い手も含めてあらゆる手段を用いて画策するリンカーンを描く。このような題材をハラハラドキドキさせる映画に仕立ててしまうのが、スピルバーグのすごいところ。ふつうに考えると、ちゃちなドラマにしかないような話を感動作にしてしまう。ただ、残念なのは、私の顔の認識能力に欠陥があるのか、共和党、民主党入り乱れての駆け引きにまきこまれる登場人物たちの顔を何人か認識できず、ちょっと困った。英語では、声で識別できないのがつらい。が、そのような面があっても、ともあれ、スピルバーグの映画は、最後には納得する。まさに名人技。

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6月21日 ファニー・メンデルスゾーンとクララ・シューマンの曲を演奏!

 6月21日と22日、多摩市立関戸公民館(聖蹟桜ヶ丘駅前のオーパ内)でTAMA女と男がともにいきるフェスティヴァル2013が開かれる。そこでは、映画「いわさきちひろ 27歳の旅立ち」や「女性のための就職講座」など、女性支援のイベントが行われる。

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 そのイベントの一つとして、多摩大学樋口ゼミでは、6月21日の午前中に、ファニー・メンデルスゾーンとクララ・シューマンを中心としてコンサートを開くことになった。

 ファニー・メンデルスゾーンはもちろん、かのフェリクス・メンデルスゾーンの姉。弟よりも才能があったとされ、弟の曲として発表されたものの中にファニーの曲が混じっているのではないかといわれている。そのあたりの事情は「もう一人のメンデルスゾーン ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルの生涯」(山下剛著 未知谷)に詳しい。

クララ・シューマンは言わずと知れたシューマン夫人にして、ブラームスがあこがれた大ピアニスト。これまで、何度かシューマンやブラームスとの恋の物語は映画化されてきた。

多摩市女性センターの方々やゼミ生と相談して、女性作曲家を中心としたコンサートをこのフェスティバルで開こうと計画し始めてから、二人のCDを何枚か聴いてみた。

もちろん、フェリクスやロベルトやブラームスに比べると、技巧面ではかなり劣るといえそう。が、初々しい感性、美しいメロディはあっと驚くほど。二人の歌曲やピアノトリオは実にすばらしい。

 このたび、久保山菜摘さんのピアノ、犬嶋仁美さんのヴァイオリン、松本亜優さんのチェロ、そして松島理紗さんのソプラノで二人の曲を中心に演奏してもらうことになった。久保山さん、犬嶋さん、松本さんには、これまでも二度、多摩大学樋口ゼミで演奏をお願いした。素晴らしい演奏を聞かせてくれた。今回はそれにソプラノの松島さんが加わる形になる。いずれも桐朋学園大学の才能ある学生さん。そして、今回のコンサートを運営する多摩大学樋口ゼミの学生も全員、2・3年生の女子。

 曲目はファニーとクララのそれぞれのピアノトリオからいくつかの楽章、クララのヴァイオリンとピアノのためのロマンス第2番、二人の歌曲を数曲。そのほか、メンデルスゾーンの「歌の翼に」、シューマンの「トロイメライ」やブラームスの「子守歌」など、二人の女性にかかわりのあった作曲家の有名曲も演奏してもらうつもりだ。

 金曜日の午前中という、ちょっと微妙な時間だが、ぜひ多くの人においでいただきたい。きっと多くの方が、二人の女性作曲家、そして四人の女性演奏家の素晴らしい力量と歓声に圧倒されると私は思う。

 

開催日時  6月21日(金) 10:30開場 開園11:00~12:00

開催場所 関戸公民館ヴィータホール (聖蹟桜ヶ丘駅前 オーパのある建物)

参加費  無料 

申し込みは以下まで

〒206-0011 多摩市関戸4-72  

TAMA女と男がともにいきるフェスティヴァル2013実行委員会

電話042-355-2110   FAX 042-339-0491

 

 少しだけ、私の近況を書く。

 昨日、あれこれの原稿を仕上げ、今日、京都まで出かけて、やっと地獄のような忙しさから解放された。少しだけ余裕ができた。もちろん、まだまだ仕事は続くが、とりあえず、自分のペースで進めることができる。明日からは、CDを聴いたりDVDを見たり、ときには映画を見に行ったりできそう。

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北海道のこと、テレビのこと

 忙しい日が続いている。大学の仕事があれこれと忙しい。その上、ひと月ほど前から、毎週、九州、関西、北海道に行って白藍塾の仕事をしている。原稿もたまって、毎日、時間を見つけては書き進めている。そのため、このブログもなかなか更新できない。

一昨日は、新札幌駅付近の立命館慶祥中学・高校での研修だった。

 新千歳空港に着いた途端、寒さにびっくり。機内の案内では、空港の気温は7度とのことだった。新札幌からタクシーで立命館慶祥に向ったが、同行した白藍塾の和田社長によると、残雪が見えたとのこと。私は気付かなかった。

 実に充実した研修を終えて、夜はいつものとおり、新札幌駅付近の魚鮮(うおせん)という店で魚料理を堪能しながら、立命館慶祥の先生方と意見交換。帰りは午後10時ころだったが、東京の人間には異様な寒さだった。5度もなかっただろう。もちろん現地の人はみんなコート姿。

 札幌市内のホテルに泊まって、朝、北海道庁と北大の植物公園を少し歩いて、空港に向かい、昼は定番通り、新千歳空港駅の回転ずしの店根室花まるで、こんなにおいしいのにこんなに安くてよいのだろうかと心配になるすしを食べた。

 ところで、札幌のホテルでテレビをつけると、「昨日は真夏並みの暑さだった」と盛んに報道していた。私の郷里である大分県日田市では32度を超えたという。「暑かったですねえ」とアナウンサーたちも話している。だが、寒い札幌にいる私としては、大きな違和感を抱いた。そして、思い出した。

 私は、我が家にテレビ受像機が入ったころは、大分県中津市の農村の中で暮らしていた。高校生のころまでは大分市にいた。テレビで見る世界は、日常で見かける世界と違っていた。私の周りには、新宿の雑踏もなかったし、銀座のおしゃれなお店もなかった。車で渋滞する首都高速もなかった。現代劇のテレビドラマでさえ、私にとっては海外のドラマや時代劇などとあまり変わりのない非日常の空間だった。ワイドショーのような番組でさえ、私の日常に近い風景がテレビに出ることはほとんどなかった。テレビというのはそのようなものだと思って暮らしていた。自分の日常とテレビのアナウンサーが別の感覚のことをいうことにも慣れきっていた。

 テレビが日常を映し出す場になったのは、私が大学生になって東京に来てからだった。今では、よく知っている光景、実際に見慣れた光景がテレビに映り、日常の延長としてテレビを見ている。

 大学院生だったころ、パリに旅行にいった先輩が、パリ市内の映画館に行って、「映画が終わった後、周囲に映画に出ていたのと同じ人たちがいて、映画館を出ると、映画に出ていたのと同じ光景が広がっているので、すごく不思議な気がした」と話していた。もう一人の先輩もそれに強く同意していた。その二人は東京出身者と大阪出身者だった。

 その感覚は、東京に出てきたばかりの私の感覚と同じだった。東京で映画を見て外に出ると、映画の中とよく似た光景が広がっていた。それは大分にいるころには味わったことのない感覚だった。映画というのは、大分にいる私たちが思っているほど、非日常を描いたものではなかったんだ! と改めて思った。

 現在では、さまざまな情報にあふれ、テレビの中でも多くの映像を見ることができる。地方も都市化されている。地方発のテレビ番組も増えている。今、地方に住んでいる若者は、テレビで見る光景をどのようにとらえているのだろうか。以前の私のような感覚を持っている若者は少なくなっているのだろうか。

 少し気になった。

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祝! 谷繁選手2000本安打!

 谷繁選手が2000本安打を達成したというニュースを見た。実にうれしい。谷繁選手を心から祝福したい。

 子どものころから野球は大好き。小学生時代は大の巨人ファンだったが、いつのころからかアンチ巨人になって、神奈川県に暮らしていた時期から横浜ベイスターズを応援してきた。98年にベイスターズが優勝した時、家族みんなで熱狂した。何度も横浜スタジアムに足を運んだ。

 あれから15年。優勝時の主力選手で今も活躍しているのはDeNAの三浦投手と、中日ドラゴンズに移籍した谷繁選手のみ。谷繁選手の大ファンだった娘(当時は小学生だったが、今は社会人になっている)は、谷繁移籍とともに中日ファンになった。私は落合ファンだったので、落合監督就任のころから、娘とともに中日をひそかに応援していた。決して広くはない人脈を動員して、娘のために谷繁選手のサインをもらったりもした。

 昨日、実はラ・フォル・ジュルネの会場でも谷繁選手の結果が気がかりだった。コンサートの合間にネットで途中経過をチェックしていた。昨日は「あと2本」というところで試合が始まったが、ノーヒットに終わった。チェックするたびに溜息をついていた。

(そんな矢先、中村紀洋選手が一足先に、2000本安打達成。これもめでたい。中村選手の苦労のほどを知っているし、今はDeNAの選手なので、私も大いに応援していた! そもそも、あの豪快さが実にいい)

谷繁選手については、「あと1本」という状況になったら、試合を見に行こうと心に決めていた。きっと今日1本が出て、あす、神宮球場に行くことになるだろうと思っていた。

 ところが、ネットで谷繁選手の2本目のヒットを確認。実は、内心、ちょっと残念だった。球場で目撃したかった。

 日本野球史上、最も遅い年齢で、最も試合数を要し、最も低い打率での2000本安打達成だという。しかし、それもすべて名捕手として多くの試合に出場してきた証しにほかならない。何よりも捕手として最高の存在であり、いぶし銀の魅力があり、意外な長打力があり、さっぱりした人柄も素晴らしい。

 長嶋茂雄氏と松井秀樹氏の国民栄誉賞、中村ノリ選手、谷繁選手の2000本安打達成、そして、今日は三浦投手も勝利投手になったという。めでたいことが続く。

 谷繁選手には、これからもずっと活躍してほしい。この人に限っては、あと5年くらいは日本一の捕手として活躍できるのではないかと思うのだが。

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2013年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン総括 勝手にベストテン

 昨晩、2013年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンが終わったが、3日間、朝から夜まで音楽を聴いていた後遺症で、朝起きても、まだぼんやりしている。

 日本でラ・フォル・ジュルネが始まった年から、本場のナントに派遣されたり、広報のお手伝いをしたりして、私は深くこの催しにかかわってきた。ただ、数年前から勤め始めた大学の入試の時期とナントのラ・フォル・ジュルネの時期が重なり、とりわけ昨年から入試委員長になって、この時期は音楽どころではなくなったため、今回はあまり深いかかわりを持てなかった。逆に言うと、そのおかげで、この3日間を、ほかのことは何も考えないで、音楽を楽しむことができた。これはこれでとてもありがたい。

 私は10歳のころからのクラシック音楽ファンだが、聴いてきたのは、もっぱらドイツ系の音楽。たまたま高校時代にサルトルとカミュに夢中になっていたので、大学ではフランス語を第二外国語に選択し、その流れでフランス文学を学んだが、フランス音楽を聴くようになったのは比較的最近だ。しかも、フランス系の作曲家の中では、ドイツ的なところのあるサン・サーンスやフランクを好む。しかも、昨日も書いたとおり、私はピアノはあまり聞かない。しかも、音楽に関して、かなり保守派であって、現代音楽はあまり好まない。

 そんな偏りのある私が、今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで聞いた22のコンサートからベストテンを勝手に選んでみた。

 

① コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブルによるグーのレクイエム。

  この曲の真価を知った。演奏の素晴らしさにも感嘆。

 

② レジス・パスキエのヴァイオリン、アンヌ・ケフェレックのピアノでフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番と、サン・サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番。

  息の合ったベテラン。フンラス音楽のエッセンスを聴かせてくれた。

 

③ モディリアーニ弦楽四重奏団の演奏。ラヴェルの弦楽四重奏曲。サン・サーンスの弦楽四重奏曲第1

  モディリアーニ弦楽四重奏団の完璧なアンサンブル、絶妙の歌い回し。

 

④ ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィアによる演奏で、デュリュフレの「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」とフォーレのレクイエム。

  至福の時。コルボのフォーレは人類の至宝だと思う。

 

⑤ 竹澤恭子のヴァイオリン、萩原麻央のピアノで、サン・サーンスの「ハバネラ」「死の舞踏」、フランクのヴァイオリン・ソナタ

  憑かれたかのような竹澤。しなやかに支える萩原。魔法の時間が現出された。

 

⑥ オーギュスタン・デュメイのヴァイオリン、児玉桃のピアノ。ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタとフランクのヴァイオリン・ソナタ。

  竹澤と対照的。これも素晴らしい。

 

⑦ パスカル・ロフェの指揮、フランス国立ロワール管弦楽団に児玉桃のピアノが加わって、ラヴェルの左手のための協奏曲、その後、「ダフニスとクロエ」第2組曲。

  色彩的で知的で、しかも派手なフランスを堪能。

 

⑧ 小山実稚恵のピアノ、ラムルー管弦楽団、フェイサル・カルイ指揮。ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ピアノ協奏曲。ラ・ヴァルス。サプライズとして、佐渡裕の「ボレロ」。

  色彩的でフランス的な音色。サプライズとしての佐渡のボレロ!

 

⑨ アドリーナ・ソアレのソプラノ、フィリップ・カサールのピアノでマスネの「夕日」「ギター」、ビゼー、フォーレ、ラヴェル「シェエラザード」

  清らかでエネルギッシュなソプラノと絶妙のピアノ伴奏。

 

⑩ ラファエル・セヴェール(クラリネット)によるプーランクのクラリネット・ソナタ。そのあと、工藤重典のフルートが加わって、サン・サーンスの「タランテラ」。そのあと、「動物の謝肉祭」。

  すがすがしいクラリネット。上品な遊び心。

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2013年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日も充実

 2013年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日。今日も充実。今日は、家庭の事情で夜遅くまで参加せず、夕方で切り上げた。

 今年のラ・フォル・ジュルネは全部で22の有料コンサートを見たことになる。昨年まで、ナントやびわ湖、鳥栖を含めて364のコンサートを見ていたので、合計386のコンサートを見たことになる。

簡単に今日見たコンサートの感想を記す。

 

・レジス・パスキエのヴァイオリン、アンヌ・ケフェレックのピアノでフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番と、サン・サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番。

 素晴らしい演奏。フォーレも良かったが、サン・サーンスはもっとすごかった。技巧をこらしたサン・サーンスの音楽のおもしろさを存分に聞かせてくれた。形式を明確にしたうえで、後半盛り上げていく。ベテラン健在。

 

・20世紀のパリ、音楽の冒険Aプロ。アンサンブル・コンテンポラン。前半にラヴェルの「序奏とアレグロ」、後半にスザンナ・マルッキの指揮でブーレーズの「シュルアンシーズ」。

 

ラヴェルはいかにも現代音楽風のクリアな音。完璧な音程で、しっかりと演奏。すばらしい。ブーレーズの曲は、ハープとピアノとマリンバが3台ずつという編成。音の点描によって流れを作っていく。10分程度ならとてもおもしろいと思っていたが、30分くらいの長さだったと思う。これだけ続くと、飽きてくる。音楽についてきわめて保守的な私としては、後半、かなりつらかった。

 

 

・「魂のストリング」と題されたカニサレス・フラメンコ六重奏団によるギターを中心とした楽器の演奏。踊りつき。

とてもおもしろかった。フラメンコについては少しも詳しくないが、30歳を少し超えたころ、初めてスペインに行って、フラメンコの虜になった。その後、しばらくCDをフラメンコの歌を聴いたり、踊りをビデオで見たりしていた。フラメンコは実に奥が深い。胸が高鳴ってくる。踊りも実にいい。ただし、まったくの素人なので、何も語れない。

 

 

・「サティと仲間たち」と題されたアンヌ・ケフェレックのピアノによるエスプリの利いたピアノ小曲集。サティの「グノシエンヌ」「ピカデリー」「ジムノペディ」、プーランクの田園曲、ラヴェルのシャブリエ風になど。

 サティの仲間たちというので、もっと砕けた、もっと遊びの多い演奏かと思っていたら、かなりまじめ。まじめな中にちょっとだけユーモアがある、といったところ。遊びというよりも、ケフェレックが日本語の文を読んだが、まさに「俳句」のような雰囲気。実は、私はピアノ曲はほとんど聞かないのだが、サティのピアノ曲だけは少々聴く。チャーミングな演奏でとてもよかったが、サティ好きの私としては、ちょっと上品すぎたかな。

 

・東京音楽大学シンフォニックウィンドアンサンブル、黒岩英臣指揮。ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」と「葬送と勝利の大交響曲」。

 もともと軍楽隊のために作られたベルリオーズ「葬送と勝利の大交響曲」をオリジナルで演奏。いやはや、いかにもベルリオーズ。大編成の管楽器が咆哮し、打楽器が大音響で鳴る。えげつないまでにやりたい放題。それなりにはおもしろいが、そこまですることはないだろうに・・とずっと思い続けた。ともあれ、この演奏を聴く経験をしただけでも、ありがたい。

 

・パスカル・ロフェの指揮、フランス国立ロワール管弦楽団に児玉桃のピアノが加わって、ラヴェルの左手のための協奏曲、その後、「ダフニスとクロエ」第2組曲。

 とてもよかった。オーケストラが実に色彩的。いかにもフランスのオケ。児玉のピアノも、例によって実に知的でありながら、色彩感やダイナミックな迫力をしっかり出して、いうことなし。「ダフニスとクロエ」第2組曲の最後は色彩的な中に、大音響の切れのよさを示して、実に感動的。

 

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ラ・フォル・ジュルネ2日目 グノーのレクイエムに魂を奪われた

54日。2013年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの2日目。

コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブルによるグノーのレクイエムに圧倒された。そのあとにも二つほどコンサートを聴いたが、まだ、グノーが頭に残っている。

本日も、弦楽器とオーケストラ、そして歌を中心に追いかけた。私のブログをのぞいている方にはすでにわかっていただけていると思うが、私はピアノ曲はあまり聴かない。ラ・フォル・ジュルネでもピアノは避ける傾向が強い。しかも、どうしても、サン・サーンス、ラヴェル、プーランクに偏る。フォーレやドビュッシーも嫌いではないが、同じ時間帯にあれば、上に書いた作曲家のほうを選ぶ。

今日のコンサートの感想をごく簡単にまとめる。

 

・宮田大のチェロ、香港シンフォニエッタの演奏。イブ・ウィンシー指揮。ラヴェルの「クープランの墓」「フォーレのエレジー」、そして、サン・サーンスのチェロ協奏曲第1番。

 宮田大のチェロは素晴らしい。豊かでふくよかで、しかも切れが良い。なるほど、評判になるわけだ。アンコールの無伴奏による「白鳥」に良さが表れている。香港シンフォニエッタもとてもよいオーケストラだと思う。ただ、この女性の指揮者には私物足りなさを感じた。丁寧に音楽を作りたいのかもしれないが、もっと激しさがほしい。

 

 そのあと、15分くらい、リチェルカール・コンソートのコンサートをのぞいてみた。今回、好きな曲と重なったために、この団体の演奏を聴けないので、少しだけでも触れたいと思った。ラモーの「諸国の人々」だけ聞いた。もっと聴きたかったが、次のコルボのコンサートに急いだ。

 

・ミシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィアによる演奏で、デュリュフレの「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」とフォーレのレクイエム。ソプラノはシルヴィ・メルヴェイユ。バリトンはジャン・リュック・ウォーブル。

 相変わらず、コルボのフォーレは素晴らしい。サンクトゥスとイン・パラディスムには涙するしかない。やさしく、信仰心にあふれ、限りなく美しい。歌手たちも素晴らしい。

 

・ヤーン=エイク・トゥルヴェ指揮のヴォックス・クラマンティスというア・カペラの団体による演奏で、デュリュフレの「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」、ギヨーム・ド・マショーの「ノートルダム・ミサ」、プーランクの悔悟節のための4つのモテット、メシアンの「おお聖なる饗宴」など。

 ア・カペラの宗教曲なので大いに期待して聴いたが、歌手たちの音程が不安定で、ハーモニーが完璧ではなかった。残念。不調だったのかもしれない。

 

・ラファエル・セヴェール(クラリネット)によるプーランクのクラリネット・ソナタ。そのあと、工藤重典のフルートが加わって、サン・サーンスの「タランテラ」。そのあと、「動物の謝肉祭」。クラマジランのヴァイオリン、工藤のフルート、安江佐和子のマリンバ、吉田秀のコントラバスなど。映像つき。とても面白かった。子供たちがたくさん来ていた。

 

・ジャン=フランソワ・エッセールの指揮、オーベルニュ室内管弦楽団。初めに海老彰子のピアノが加わって、トゥリーナの交響的狂詩曲。そのあと、アントニア・コントレラスというフラメンコ歌手でファリャの「恋は魔術師」より。

 音楽はとてもおもしろかった。フラメンコの歌もいい。ただ、トゥリーナの曲も、「恋は魔術師」も何が起こっているのか、わからなかった。とりわけ、「恋は魔術師」は、フラメンコ歌手の語りと歌なのだが、ストーリーもわからず、状況もわからない。少し工夫してほしかった。

 

・コルボ指揮、ローザンヌ声楽アンサンブルと器楽アンサンブル。初めに、デュリュフレのグレゴリオ聖歌による4つのモテット。次にグノーのレクイエム。アンヌ・モンタンドン(ソプラノ)、セシル・マシュー(メゾ)、ジャン・リュック・ウォーブル(バリトン)。ローザンヌ声楽アンサンブル。

 デュリュフレも最高に美しい。が、なんといっても、グノーが圧巻。ひたすら感動。グノーのレクイエムは、フォーレのレクイエムに匹敵すると思った。ただただ美しい。親しみやすいメロディ。穏やかで祈りにあふれた音楽。第2曲セクエンツィアの美しさは比類がない。ソプラノ独唱部分は単純でありながら、純粋で気高い。昔、フォーレのレクイエムを初めて聴いて、その至高の世界に魂が震えた時と同じくらい感動。今まで、この曲があまり知られていなかったのは信じられない。私の大好きな曲の一つになった。

 

・ラムルー管弦楽団、フェイサル・カルイ指揮。ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、小山実稚恵のピアノが加わってピアノ協奏曲。ラ・ヴァルス。

 とてもよい演奏。ただ、グノーのレクイエムの余韻がまだ残っていた。カルイという指揮者、メリハリをつけてとても魅力的。プログラムが終わった後、ルネ・マルタン氏が舞台上に現れ、「ラムルー管弦楽団は日本とも縁がある。佐渡豊がカルイの前の常任指揮者だった。サプライズに佐渡裕を呼んでいる」と語って、佐渡さんが登場。確かに、ものすごいサプライズ。佐渡さんの指揮で「ボレロ」。これがすさまじい力演。オケのメンバーも気合が入っている。メンバー(よく見えなかったがオーボエ奏者?)の東洋系の女性が感極まって涙を流す様子が映し出された。

 

・オーギュスタン・デュメイのヴァイオリン、児玉桃のピアノ。ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタとフランクのヴァイオリン・ソナタ。

 昨日の竹澤さんとは対極にある、情熱を表に出さない演奏。情熱を抑制し、美しく、高貴に演奏。児玉さんのピアノも理性的に気品がある。しかし、いやおうなしに、この曲は盛り上がっていく。

 

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013年初日 素晴らしい演奏の連続

 53日。2013年、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン初日。大変充実していた。夜中の11時過ぎまでコンサートを聴いていたので、すでに真夜中。ごく簡単に初日のコンサートの感想をまとめる。

 

・ファニー・クラマジランのヴァイオリン、広瀬悦子のピアノでフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番。プーランクのヴァイオリン・ソナタ、サン・サーンスの序奏とロンド・カプリチオーソ。

 午前中のコンサートなので、調子が上がらない様子。それでも、徐々に調子が上がってきた。フォーレの第1楽章後半は若々しくエネルギッシュ。ただ、プーランクについては、この遊び心をどう処理してよいかわからずにいるように感じた。

 

・トリオ・ヴァンダラー ショーソンとラヴェルのピアノ・トリオ。

見事な演奏。ショーソンのトリオはなまでは初めて聴いた。おもしろい曲。ラヴェルも実にいい。エネルギッシュで、しかもきわめて繊細。文句なし。

 

・竹澤恭子のヴァイオリン、萩原麻未のピアノで、サン・サーンスの「ハバネラ」「死の舞踏」、フランクのヴァイオリン・ソナタ。

 すさまじい熱演。「死の舞踏」は鬼気迫る。まるで魔女のような姿勢で弾く。その演出もおもしろい。フランクのソナタも熱のこもった素晴らしい演奏。とりわけ第二楽章は圧倒的。感動した。ピアノも初々しくていい。

 

・「フォーレとその弟子たち」と題されたコンサート。フランソワ・サルクのチェロ、ユーリ・ファヴォリンのピアノ。フォーレの弟子ラドミローのチェロ・ソナタ、フォーレのチェロ・ソナタ第一番。「夢のあとに」。

 かなり若いチェリストとピアニスト。ただ、曲についてはあまりおもしろいと思わなかった。実を言うと、私はフォーレの室内楽の半分くらいはかなり退屈に感じる。とりわけ、チェロ・ソナタの第1番と弦楽四重奏曲は、なんだかよくわからない。とりとめのなさを感じる。そんなわけで、あまり感動できなかった。

 

・アドリアーナ・ソアレのソプラノ、フィリップ・カサールのピアノでマスネ、ビゼー、フォーレの歌曲。最後にラヴェルの「シェエラザード」。

素晴らしい演奏。若い歌手だが、実にいい。音程がしっかりしていて、声もきれい。歌い回しも素晴らしい。ピアノも音がクリアで、ぴったりと歌に寄り添っている。最高に楽しめた。

 

・工藤重典のフルート、長崎麻里香のピアノで、ルーセルの「笛吹きたち」、フォーレの「幻想曲」、サン・サーンスの「ロマンス」ドビュッシーの数曲。そして、プーランクのフルート・ソナタ。

プーランクを目的にこのコンサートにした。とてもよかった。遊び心はあまり表に出ない、生真面目な演奏。だが、それはそれでかなり説得力がある。プーランクの、実はかなり内省的な面を強調した演奏。心の襞がわかる。最高に満足。

 

・ムジカ・ニゲラの演奏、根本雄伯の指揮。ラヴェルの「ステファヌ・マラルメの3つの詩」。プーランクの「黒人狂詩曲」。ラヴェル「シェエラザード」。歌手は、ソプラノのジェニファー・ヴェネン、バリトンはインド人のヴィクラント・スブラマニアン。

 弦楽四重奏に管楽器が数人入った編成。とてもおもしろい。根本の指揮も生き生きとしていてとてもいい。ただ、ソプラノがちょっと音程が不安定に感じた(もしかしたら、ヴィブラートが強いために、そう感じたのかもしれない)。プーランクという作曲家にこれまで以上の魅力を感じた。とてもおもしろい曲。ふざけているようでいて、実に知的。

 

・モディリアーニ弦楽四重奏団の演奏。ラヴェルの弦楽四重奏曲。サン・サーンスの弦楽四重奏曲第1番。アンコールはドビュッシーの弦楽四重奏曲の第3楽章(だと思う)。

 すごい演奏。びしっと音程が合い、えも言われぬアンサンブルで繊細で美しく生き生きとした音楽を展開する。ややもするとドイツ的になりがちなサン・サーンスの音楽が、完璧にフランス的な音楽になる。だが、そうでありながら、構成がしっかりしており、メロディ線が明快。私は、エベーヌ弦楽四重奏団とともに、現在最高のカルテットだと思う。しびれた。

 

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