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ブロムシュテット+N響のブラームス2・3番 素晴らしい演奏!

 9月22日、NHKホールで、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、NHK交響楽団によるブラームスの交響曲第2と第3番のコンサートを聴いた。昨晩のエベーヌ弦楽四重奏団に続いて圧倒された。

 前半に交響曲第2番。ブロムシュテットは1927年生まれというから、もう85歳。指揮台までしっかりと歩き、ずっと立ちっぱなしで指揮する。演奏もまったくもって老いを感じさせない。きりりと引き締まり、完璧にコントロールされ、弛緩するところがない。N響も美しくて引き締まった音の響き。改めて素晴らしいオーケストラであることを認識。ブロムシュテットの指揮で聴くごとにN響の真価を知る。まぎれもなくブラームスの音。形式がしっかりとしており、その中でメロディが歌うので、ブラームスにぴったり。厚みがあるが、鈍重ではなく、どちらかというと前のめり気味。

第4楽章はとりわけ素晴らしかった。音が重層的にたたみかけられ、ある種のお祭り状態を作り出す。私は、その昔、ブロムシュテットがサンフランシスコ響と録音した「カルミナ・ブラーナ」の生真面目ながらも明るく弾ける演奏が大好きなのだが、あの演奏を思い出した。

 後半に第3番。こちらは第2番よりももっと素晴らしかった。実を言うと、私は中学生のころから、この第3番が大好きだ。これまで録音と実演を合わせて随分の数の演奏を聴いてきたが、今回の演奏は最高の感動をもたらしてくれた。

第1楽章からして、私は音のうねりに乗り、ただひたすら感動していた。ワーグナーのうねりとは違い、もっと端正でもっと論理的。しかも、感情に耽溺せず、抑制が効いている。だが、十分にロマンティック。第3楽章の抒情的なメロディも、ほどよくロマンティック。そして、第4楽章。第2番の終楽章と同じように、いやそれ以上に、ドラマティックに振幅する。

なぜブロムシュテットはこの第3番を後半にしたのか。ほとんどのコンサートでは、最後、盛り上がらないまま静かに消え入るように終わるこの曲を前半にして、ほかの曲を後半に回す。ところが、ブロムシュテットはあえて第3番を後半にした。しかも、アンコールなし。

最後まで聴いて納得できた。これまでの闘いに満足し、高みに上り、より高いもののなかに消え行こうとするかのような終わり方。なるほど、輝かしく終わるのではなく、このような終わり方は大いに説得力がある。しばらく拍手も鳴らなかった。十分に余韻を楽しめた。

心の底から満足した。

 

ところで、少し宣伝をさせてもらう。

私は多摩大学経営情報学部、クラシックコンサートの企画運営を行うゼミを指導している。9月29日、多摩大学経営情報学部のオープンキャンパスが開かれるが、その一環として、16時から、樋口ゼミ主催の岡田博美ピアノリサイタルを開く。入場無料。曲目は、ショパン、シューマン、リストの有名曲。世界で活躍するあの孤高のピアニスト岡田博美を聴く数少ないチャンスだ。お越しいただけると、うれしい。

詳しくは、本ブログの8月4日の記事をご覧いただきたい。

http://yuichi-higuchi.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-f057.html

 また、多摩大学へのアクセスなどについては、以下をご覧いただきたい(ただし、コンサートのみ参加の方は予約の必要はありません)

http://www.tama.ac.jp/opencampus/index.html

 

 

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音楽」カテゴリの記事

コメント

こんばんは、ムーミンパパです。
お久しぶりです。同じ演奏会にいらしたんですね。
私は3階のE席(別名いい席)で聴きました。
おっしゃる通り、見事な演奏で、私も同様に3番の方がより素晴らしいと思いました。
1楽章の冒頭の上向するテーマは、今まで聴いた演奏では、冒頭以外はそれほど目立たなかったのですが、今回の演奏はこのテーマを繰り返し強調していたので、今までにない新鮮さを感じました。
消え入るように終るフィナーレ、フライング拍手がないことを祈りながら聴いていました。鳴り終わった後もしばらく静かだったので、日本の聴衆もだいぶ成長したものだと、生意気にも思った次第です。かく言う私、拍手こそしませんでしたが、感動のあまり、ため息を漏らしてしまい、隣の妻にたしなめられてしまいました。

私の母と生年月日が全く同じブロムシュテットさん、年齢を感じさせない指揮ぶりで、いつまでも元気でいて欲しいと願っています。

投稿: ムーミンパパ | 2013年9月22日 (日) 23時03分

コンサート「未参加」「のみ参加」どちらの人が予約不要なのでしょうか?

投稿: 聴きたい人 | 2013年9月23日 (月) 12時11分

聴きたい人様

大変申し訳ありません。
「コンサートのみ参加の人は予約の必要はありません」のつもりでした。訂正しておきます。
どうか、当日はよろしくお願いします。

投稿: 樋口裕一 | 2013年9月23日 (月) 13時58分

ムーミンパパ様
コメント、ありがとうございます。
昨日、いらしてたんですね。確かに第3番の冒頭のテーマがくっきりとした音で繰り返されましたね。私はそのたびにかなり深く心を動かされました。
実は私もフライング・ブラヴォーを心配していましたが、しばらく余韻があったので、ほっとしたのでした。

投稿: 樋口裕一 | 2013年9月23日 (月) 20時50分

樋口様 こんばんは
私も9月21日NHKホール、ブロムシュテッド、ブラームス2番3番行きました。
9月12日サントリーホール、ブラームス1番も行きました。サガンは読んでいませんがブラームスは「お好き」なものですから。
Mr.ブロムシュテッドは2011年9月21日のサントリーホール(関東地方台風直撃下)シューベルト未完成を振られたとき、第一楽章の終わりに左手で小さく楽団員に向けてガッツポーズをされたのがとても美しい印象として残っています。
あれでN響とマエストロの一体感を感じました。
私は何と言っても1番です。第四楽章でホルンが例のメロディーを奏でると熱いものがこみ上げて来ます。
29日は多摩大に行こうと思います。
豊島健次

投稿: 豊島健次 | 2013年9月25日 (水) 18時26分

豊島健次 様
コメントありがとうございます。そして、29日においでくださるとのこと、ありがとうございます。
私は、ブラームスの交響曲はすべて大好きなのですが、特に3番と4番を好みます。第1番も大好きですが、ちょっとベートーヴェン的すぎるような気がしています。
ブロムシュテットの今回のチクルス、すべてに行きたかったのですが、難しい状況でした。

投稿: 樋口裕一 | 2013年9月27日 (金) 08時09分

今日の多摩大オープンキャンパス岡田博美ピアノリサイタル、大いに感激しました。とりわけタンホイザー序曲は圧巻でした。私の愚妻はワーグナーのあの序曲をあれほどのピアノ曲に編曲するってすごいわね、なんてピンとはずれの感想を言っていましたが、とんでもないですね。ワーグナーとリストと岡田さんの魂が直接私の胸を突いてきました。ピアノは武器かと思いました。ショパン、シューマンは穏やかに聴いていられましたが、リゴレット、タンホイザーに至っては涙が出そうになりました。とりあえずの感想でございます。
ありがとうございました。
豊島健次

投稿: 豊島健次 | 2013年9月29日 (日) 23時32分

豊島健次様
昨日は不便なところにおいでいただき、ありがとうございました。「タンホイザー」序曲は、おっしゃるとおり、音楽の奇跡の一つのように感じました。私たちのゼミの準備にはあれこれと不備がありましたが、なにはともあれあのような演奏を多くの方に聞いていただく機会を設けられたことに関しては、心から満足しています。
このようなコンサートをこれからも開きたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

投稿: 樋口裕一 | 2013年9月30日 (月) 08時28分

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