ダネル弦楽四重奏団、ブロムシュテット+N響のブラームス4番。そして楽天優勝。
9月26日、武蔵野市民文化会館でダネル弦楽四重奏団のコンサートを聴いた。曲目はチャイコフスキーの弦楽四重奏曲1・2・3番。素晴らしい演奏だった。
第一ヴァイオリンのマルク・ダネルは演奏中、左足を浮かせる癖のある人。かなり高く持ち上げるので、初めのうちはかなり気になった。が、出てくる音はしなやかで叙情的で、実に素晴らしい。チャイコフスキー特有の音の響きと、まさしくチャイコフスキーらしい哀愁にあふれた美しいメロディが続く。それを適度にロマンティックに、しかし感情移入になり過ぎない程度に演奏していく。第一ヴァイオリンのほかに、私はヴィオラのヴラッド・ボグダナスの音に惹かれた。しなやかで甘美。
昔、CDで何度かチャイコフスキーの弦楽四重奏全集を聞いた記憶があるが、恥ずかしながらほとんど覚えていなかった。もちろん、弦楽四重奏曲第1番第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」は、昔、よくきいたので、実に懐かしかった。実に美しい演奏。全体的に、メロディがきれいで構成がしっかりしており、とてもわかりやすく書かれているので、退屈することもなく堪能できた。
アンコールはワインベルクという作曲家の弦楽四重奏曲とハイドンの弦楽四重奏曲第3番より。ハイドンがとりわけ美しい。
9月27日、NHKホールでNHK交響楽団の定期演奏会。大学の授業の後、間に合うかどうかひやひやしながら車を走らせてNHKホールに到着。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮。前半はフランク・ペーター・ツィンマーマンのヴィオリンでブラームスのヴァイオリン協奏曲。とても良い演奏。だた、どうも私はツィンマーマンにはあまり感動したことがない。何度か実演を聞いたことがあるが、毎回、何をしたいのかよくわからない。わからないまま終わった。アンコールにバッハのパルティータ第3番のプレリュード。これも同じ印象。ただ、終楽章のオーケストラは素晴らしかった。
後半は、交響曲第4番。これはもう本当に素晴らしい演奏。魂が震えた。第一楽章の冒頭からして、情に流されず、しっかりと形式感を持っていながらも、実にロマンティック。知的に音をたたみかけながら、高揚していく。まったく無駄がなく、こけおどしもない。が、響かせるべきところはずしんと響かせる。ティンパニを独特の鳴らせ方をしていたようだ。第四楽章はとりわけ圧巻。くすんだところのない明るめの音色だが、心の奥にずしんと響く。この楽章はバロック時代の「パッサカリア」の形式を用いているという。私はパッサカリアがどんなものかよくわからない。ただ、変奏が次々と移り変わっていくのはよくわかる。ブロムシュテットはそれぞれの変奏によってメリハリをつけ、盛り上げていく。ぐいぐい引き込まれていった。ときどき、全身が震えた。
このところ、エベーヌ弦楽四重奏団、ブロムシュテット、ダネル弦楽四重奏団の名演奏が続いている。興奮の毎日。
ところで、プロ野球、楽天イーグルスの優勝について一言書き足しておく。ダネル弦楽四重奏団のコンサートにも車で行ったが、帰りの車の中でのラジオ放送で楽天の優勝を知った(ふだんは車の中では音楽を聴いているが、コンサートの帰りはラジオやテレビ番組の音を聞くことにしている)。
2008年、仙台で楽天の試合を観戦したことがある。試合後、パーティに出席し、当時の野村監督とも握手させていただいた。とてもいいチームだと思った。それ以来、パリーグでは楽天を応援してきた。そのうち優勝するだろうと思っていたが、優勝まで意外と時間がかかったな、というのが率直な印象。ともあれ、嬉しいことだ。それにしても田中将大投手の功績は大きい。
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