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ヤルヴィ+ドイツ・カンマーフィルの「フィデリオ」に興奮

 11月30日、横浜みなとみらい大ホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会形式による「フィデリオ」を見てきた。素晴らしい上演だった。連日の興奮。

 歌手はみんな最高レベルにそろっている。ロッコを歌ったディミトリー・イヴァシュチェンコが特に素晴らしかった。深く響き渡る美声。音程もしっかりして申し分ない。フロレスタンを歌ったブルクハルト・フリッツも張りのある声で、表現力も豊かで素晴らしい。レオノーレを歌ったエミリー・マギーは、これまでバイロイトでも何度か聴いてきたが、ちょっと以前ほどの威力を感じなかった。もちろん、「悪者よどこに行く」のアリアなどとてもよかったが、以前はもっと張りのある声だったように思った。マルツェリーネのゴルダ・シュルツもヤキーノのユリアン・プレガルディエンもとてもよい。二人ともきっと近いうちに大役を歌うようになるだろう。ドン・ピツァロのトム・フォックスはもう少し迫力がほしかった。当初はシュトリュックマンが予定されていたはず。病気で来日できなかったというが、残念。

 なお、オペラのセリフはすべてカットして、ロッコの心の声を語るナレーターが登場して、ストーリーを紹介しながら話が進む形をとっていた。このナレーターの位置づけがわかりにくく、しかも語られている内容も、私はかなり陳腐に感じた。妙に詩的で妙にかっこつけているが、どうということのないことしか語っていないように思えた。ナレーターは全部カットして、音楽だけでつなぐので少しもかまわないのではないかと私は思った。

 が、いずれにせよ、先日の日生劇場での日本人による「フィデリオ」とは、やはり歌手の力量がかなり異なる。こちらは世界最高レベルの歌手たちなので、比べるほうが酷というものだろう。

 ドイツ・カンマー・フィルは圧倒的だった。厚みのある迫力ある演奏。音が生きている。昨日のベートーヴェンの交響曲と同じように、ぐいぐいと大迫力で押しまくる。切れがよく、躍動感に満ちている。もちろん、オーケストラ曲ではないので、歌手と合わせなければいけないので、それほど自由にはいかない。事実、歌手たちとちょっと合わないところもあった。が、爽快でわくわくする。

とりわけ、第二幕の大合唱の場面の躍動感は素晴らしい。ここはほかの指揮者にかかると、オラトリオのようになり、それがまた魅力なのだが、ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルの手にかかると、もっとドラマティックでスリリングになる。昨日の「エロイカ」のときと同じように叫びだしたくなるような興奮を覚えた。

 レオノーレ第3番が演奏されるかと思って心待ちにしていたのだが、演奏されなかった。残念。昨日の「エロイカ」のようなレオノーレ第3番がきけたら、どんなに興奮しただろう。

 ヤルヴィが世界最高の指揮者の一人であることを再確認。興奮したまま家に帰った。

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