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デニス・ラッセル・デイヴィス+読響の第九、第4楽章に特に感動

 12月19日、サントリー大ホールで、読売日本交響楽団の第九を聴いた。指揮はデニス・ラッセル・デイヴィス。素晴らしかった。

 きわめて個性的な演奏。低弦が強いために、どっしりした音楽になっているが、けれんみたっぷり。しばしば煽り、ドラマティックな効果を出そうとする。ヤンソンスなどの正統派とはまったく異なるアプローチ。まるでゴシック様式の建物を思わせるような音楽だと思う。ポリフォニックに音を構築し、骨太な線でがっちりと描いていく。繊細さには少し欠ける(そのため、私は第3楽章には少しだけ不満を抱いた)が、ほかの楽章はスケールの大きな目を見張るような世界を作り上げる。自然な雰囲気ではないが、それはそれできわめて構築的。オーケストラも指揮にしっかりついて実にしっかりとした音を出す。

 第4楽章は特にすばらしかった。テノールの独唱の後の音のうねりは圧倒的だった。まさしく祝祭。しかも、うわっついたところのない、苦悩を見えすえたうえでの歓喜。後半、ただただ興奮して音楽を味わっていた。

 歌手たちが素晴らしい。バリトンの与那城敬は世界の大歌手に少しも引けを取らない堂々たる歌唱だと思う。風格のある美声でホール全体をひきつける。テノールの高橋淳も劣らず素晴らしい。張りのある強い声がこの曲にぴったり。この難しい歌を朗々と歌いきる力は世界でも有数だと思う。ソプラノの木下美穂子とメゾ・ソプラノの林美智子も現在の日本が誇る最高レベルの独唱陣だと思う。合唱は三澤洋史指揮の新国立劇場合唱団。これも見事。

 今年最初の第九。大満足。改めて、第九を聴く喜びをかみしめた。

 報道陣がたくさんいると思ったら、天皇・皇后両陛下が出てこられてびっくり。そのために、演奏者たちも気合が入っていたのかもしれない。第4楽章は、両陛下の前での演奏にふさわしい完全燃焼の音楽だった。

 

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音楽」カテゴリの記事

コメント

私も19日にサントリーホール、読響第九を聞きに行きました。相変わらず与那城敬のバリトンは聴かせてくれました。
この日も両陛下が来られてちょっとびっくりしたのですが・・・、ということはなんと二夜連続だったのですね。かさねてびっくりです。
私はN響をNHKホールに聞きに行くこともあるのですが、あそこはどうも体育館で聞いているような感じがしていけません。
コンサートはサントリーホールでほぼ満足していますが、願わくばヨーロッパ風オペラハウス(ロココ調はやめたがいいですが)例えばモスクワのボリショイニューステージのような劇場があったらいいなあと思っています。
豊島健次

投稿: 豊島健次 | 2013年12月23日 (月) 15時29分

豊島健次様

たいへん失礼しました。「12月18日」と書いたのですが、「19日」の間違いでした。天皇が来られたのは一日のみです。修正いたしました。
私もNHKホールは好きなホールではありません。音響や建築だけでなく、周囲の騒音(渋谷からいっても、原宿からいっても、騒音地帯を通過せざるをえません)という点からも、どうしてもNHKホールはできるだけ避けようとしてしまいます。

投稿: 樋口裕一 | 2013年12月23日 (月) 22時50分

樋口様
ちょっとおかしいと思ったのですが、やはり・・。ですね。
同じ日にいらっしゃったのなら、ちょっとお話でも聞けたらよかったと思います。
私の次回は1月18日東京文化会館「夕鶴」です。
豊島健次

投稿: 豊島健次 | 2013年12月24日 (火) 11時18分

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