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ポール・メイエ+アルティ弦楽四重奏団 期待ほどの感動はしなかった

 12月11日、文京シビックホールで、ポール・メイエのクラリネットとアルティ弦楽四重奏団によるモーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲を聴いた。

 モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲は私の大好きな曲だ。それに、メイエの演奏するブラームスの五重奏曲は、ナントのラ・フォル・ジュルネでモディリアニ弦楽四重奏団の伴奏で聴いて心の底から感激した記憶がある。同じような感動を味わえるのではないかと期待して、会場に赴いた。

 結論からいえば、期待ほどの感動は得られなかった。

 もちろん、すばらしい演奏だと言える。メイエの演奏についてはまったく文句なし。何よりクラリネットの音が美しい。輪郭がはっきりしていて、明晰で知的でしかも十分にロマンティック。凛としたメロディがクラリネットによって響き渡る。そして、もちろん、日本の弦楽器の名手を集めたアルティ弦楽四重奏団も悪かろうはずがない。美しい音。破綻などまったくなく、自然に音楽が進んでいく。

 ただ、二つの曲でどんな音楽を作ろうとしているのかが、私には伝わってこなかった。このコンサートに気づいて購入したのが売り出しからかなりたってからだったため、1階の後ろから2列目の席しかなかったのも、そのひとつの原因かもしれない。私のところまでは、音と音の緊密な積み重ねによるひとつの世界の構築が聞こえてこない。クラリネットと弦楽器の間に遠慮のようなものがあるような気がした。そもそも二つの曲の雰囲気の違いも、十分に伝わらなかった。ナントでは、焦点のぴったり合った緻密な音に展開の中に濃密な陰りの世界が現れたのだったが、ブラームスの五重奏からそのようなものが浮かびあがらなかった。

 もしナントでのモディリアニ・カルテットとの演奏を聴いていなければ、これに満足したかも知れない。だが、同じような感動の再現はなかった。少し残念。逆にいえば、ナントでのあの時の演奏がことのほか素晴らしかったということだろう。

 それにしても、会場が満員で、しかも若い客が多いことに驚いた。どのような理由でこのようになっているのかわからないが、ともあれ、クラシックのコンサートで若い方や、初めてクラシックに触れるような方がたくさんおられるのはとてもうれしい。高齢者や音楽通と呼ばれる人たちばかり集まるコンサートに慣れていると、このようなコンサートがとても新鮮に感じられる。こちらのほうこそが本来のコンサートのあり方だと思った。

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