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センター試験感想、そしてアバド訃報

 18・19日はセンター試験の監督業務を行った。経営情報学部の入試委員長という立場なので、責任者の一人として行動しなければならない。私は予備室を担当し、健康上などの理由で通常の教室で受験できなくなった受験生がいた場合のみ監督を行うことになっていた。それがなければ本部で待機し、何かが起こったら、責任者数人で話し合うことになっている。18日は途中から予備室使用に該当する受験生が現れたために、急遽、監督の仕事をした。19日は、最後まで出番なし。ずっと、何事もないことを祈りながら本部で待機していた。

 センター試験監督は大学教員にとって1年で最も大変な仕事といってよいだろう。ミスがあってはならないし、不公平があってはならないので、すべてをマニュアル通りに運営しなければならない。学生に向けての発言は一字一句定められており、それ以外のことを言ってはならない。してはならない。なにかあっても自分で判断できずに、前もって厚いマニュアルを読みこんでおいて、それを実行しなければならない。何かミスがあると、大学名が日本中で報道されることになる。

ときどき、頭の中で「万一こんなことが起こったら、どうするんだろう」というマニュアルに記載のない行動についての疑問がわいてくるが、考えれば考えるほど混乱してくる。結局、何も起こらないことを願うしかない。

 とりわけ、英語のリスニングの試験では、機材を受験生自身に操作してもらい、時に機材に故障があるので、とりわけ気を使う。しかも、監督中、音を出さないように細心の注意を払わなければならない。

 ふだん学生たちに「マニュアルに頼るな。自分で考え、自分で判断して行動しろ」と教えている人間としては、かなりつらい。

 リスニングの試験前には、監督者が「これから機材を配ります。まだ袋から出さないでください。…袋から出してください。…次に○○を差し込んでください。…これから、…をしてください・・・」という指示を出し、受験生はそれに従う。それに従わない受験生は試験を受けられない。日本中の試験場でそのようなことが行われている。

私としては、監督者も受験生もマニュアルに沿って一律的に行動する試験でよいのだろうかという疑問が頭をよぎる。なかには、「オレ、こんなことをするの、いやだよ」という受験生はいないのだろうか。芸術系の大学を受ける受験生もおとなしく従うのだろうか。それに従えない受験生はセンター試験を使用する大学に入学できないのだろうか。今のセンター試験は、そのような受験生を切り捨てて、おとなしくて従順なマニュアル的人間を大量生産しているように思えてならない。もっと多様な人間を認める試験にできないのか。

 かといって、現在文科省で考えられている形式のほうが今のセンター試験よりも良いかどうかとなると、それも問題だが。

 ともあれ、今年度のセンター試験も無事終わってほっとした。

 何をしたわけでもないのに疲れ切っていたので、昨日(20日)は、仕事は少しだけにして、ゆっくり休んだ。

夜になってファイスブックをのぞいているうち、テノール歌手の高橋淳さんの書き込みによってアバドが亡くなったことを知った。健康状態が悪いと聞いていたし、昨年の日本公演が中止になったので、もしかしたら深刻な状態ではないかとは思っていたのだったが、大変残念だ。偏愛した指揮者というわけではなかったので、実演は4回しか聴いていない。だが、いずれも素晴らしい演奏だった。とりわけ、最後に聴いたルツェルン祝祭管弦楽団によるブルックナーの交響曲第4番は最高の演奏だった。ポリーニとのブラームスの2番の協奏曲も凄かった。近年、私はドイツ系オペラ一辺倒をやめてイタリアオペラになじむようになったため、アバド指揮のロッシーニやヴェルディのオペラのCDを立て続けに聴いてみた。いずれも驚異的な演奏だった。もっと前にこれを聞いていればよかったとつくづく思っているところだった。合掌。

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コメント

アバドの訃報には私も「ついに来たか」というかんじでした。アバドというとウィーン国立歌劇場との「フィガロの結婚」が今でも忘れられないです。愉しく明るくいきいきとした、イタリアオペラ的な演奏でした。心よりご冥福を祈りたいと思います。

投稿: かきのたね | 2014年1月22日 (水) 22時45分

かきのたね様
コメント、ありがとうございます。ウィーン国立歌劇場来日公演の「フィガロの結婚」、私も見ました。おっしゃる通り、最高に生き生きとした音楽でした。本当に残念です。

投稿: 樋口裕一 | 2014年1月24日 (金) 09時09分

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