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最近聴いたCD ユロフスキ「トリスタン」、ティーレマン「リング」。そして、先輩の訃報!

 最近聴いたCDを2組紹介する。2組といっても、枚数にすると15枚。

 

054


「トリスタンとイゾルデ」 
2009年グラインドボーン

 指揮はウラディーミル・ユロフスキ。かなり個性的な演奏といってよいだろう。しばしばドラマティックに盛り上がる。これまでの指揮者では聞き覚えのない音が聞こえてくるところもかなりある。ハッとするところも多いのだが、肩に力が入りすぎている感じで、じっくりと落ち着いて聴けない。私がこのオペラで大好きな滔々と流れる音楽の中で官能が盛り上がり、心が揺れ動き、宇宙と一体化する魂の昇華が成し遂げられると・・・といった要素はあまり感じられない。ユロフスキは好きな指揮者の一人だが、「トリスタン」を振るのは早すぎるのではないかという印象を持った。

 トリスタンを歌うのはトルステン・ケルル。独特の声と歌い回し。余裕たっぷりの歌いっぷりがちょっと嫌みな感じがする。嫌いな歌手ではないのだが、私の抱くトリスタンのイメージと合わない。アニャ・カンペのイゾルデはきれいな声だが、余裕がなく、かなり苦しい。サラ・コノリーのブランゲーネ、アンジェイ・ドッベルのクルヴェナール、ゲオルク・ツェッペンフェルト のマルケ王はいずれもそろっている。

 実演で聴けばかなり感動すると思うが、CDで聴くと、それほど音楽に乗れなかった。

 

008


「ニーベルングの指環」 ウィーン国立歌劇場 クリスティアン・ティーレマン(指揮)

 さすがティーレマンというべきか。まぎれもないワーグナーの世界を聴かせてくれる。じっくりと腰を据え、ためを作り、盛り上げるべきところを盛り上げる。ユロフスキの指揮する「トリスタン」の後にティーレマンを聴くとワーグナー指揮者としての力量の違いを感じざるを得ない。やっぱりワーグナーはこうじゃなくっちゃなと思う。

 歌手もそろっている。ブリュンヒルデは、「ワルキューレ」ではカタリーナ・ダライマンだが、「ジークフリート」と「神々の黄昏」はリンダ・ワトソン。ヴォータンはアルベルト・ドーメン、ジークフリートはステファン・グールド。いずれも現代最高のワーグナー歌いといえるだろう。ただ、グールドについては、2008年にバイロイトで聴いた時のような鮮烈な印象は受けなかった。

 ミーメを歌うのはヴォルフガング・シュミット。私が1997年に初めてバイロイトで「リング」を見たときにジークフリートを歌った歌手だが、ミーメのほうが声質に合っている。芸達者なミーメで、憎々しくてとてもいい。ジークリンデを歌うのはヴァルトラウト・マイヤー。今も歌っているのがうれしい。ちょっと声に年齢を感じないでもないが、相変わらずの迫力。エリック・ハーフヴァーソンがフンディングとハーゲンをうたっているが、これもなかなかいい。

 ただ、「ジークフリート」「神々の黄昏」にところどころ少し緊張感が薄れているような部分を感じたのだが、気のせいだったかもしれない。大学でくたびれる仕事をした後、ほかの仕事との間隙をぬって音楽を聴いているので、そのときの疲れ具合によって音楽が違って聞こえる。そのせいかもしれない。

 とはいえ、全体的にはワーグナーの深く豊かな世界に浸ることのできる素晴らしい演奏。

またも新聞で訃報を知った。

大学院時代の先輩で、前武蔵大学学長の平林和幸さん。不遇の時代、大変お世話になった。引越しの手伝いをしてくれたこともあった。先ごろ、共通の指導教授である渡辺一民先生が亡くなり、通夜に参列したが、平林さんがおられないのを不思議に思っていた。闘病中だとはまったく知らなかった。フランス文学の世界と離れてしまったため、かつての仲間たちと距離を置いていたうえに忙しくてずっと不義理を重ねてしまった。合掌。

 

 

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