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サダヴニコヴァのソプラノに興奮

2月2日、武蔵野市民文化会館小ホールでロシア人歌手エカテリーナ・サダヴニコヴァのソプラノ・リサイタルを聴いた。あまりの素晴らしさにまだ興奮している。

 前半はリヒャルト・シュトラウスとラフマニノフの歌曲。最初の曲であるリヒャルト・シュトラウスの「夜」でまずびっくり。柔らかくてしなやかで、最高に美しい声が完璧にコントロールされて響いてくる。しっとりとして奥が深い。情感にあふれ、歌心にあふれている。観客をひきつける力を持っている。うっとりと聴きほれた。

 容姿もすばらしい。大変な美人で、まだかなり若い。落ち着いてしっとりとした雰囲気。ピアノ伴奏は斎藤雅広。実に見事な伴奏。

シュトラウスの「献呈」では、華やかで明るくてはちきれるような表現も聴かせてくれた。「あしたに」はまたしっとりと囁くように。表現力もすばらしい。そのあとは、ラフマニノフの歌曲を6曲。いずれも、ロマンティックでふくよかな香りにあふれている。高温がとりわけ美しい。大きな声になると最高に美しい声が響き渡る。こんなに美しい声をこれまで聞いたことがあっただろうか。そう思わせるほどの美声。

 後半はオペラ・アリア。

最初は「魔笛」のパミーナのアリア。悲しみをしっとりと歌い上げる。ベッリーニの「カプレーティ家とモンテッキ家」のジュリエッタのアリアと「清教徒」の狂乱の場のアリアは凛として気高く美しい。せつない気持ちが伝わってくる。言葉の一つ一つに表情がある。次に「椿姫」から、まず「さらば、過ぎし日よ」。あまりの悲しさに涙が出てきた。まさしく、死を前にしたヴィオレッタの思いのたけを歌い上げる。最後に「ああ、そは彼の人か。花より花へ」。これはもう絶品としか言いようがない。最高に美しい声がホール内にビンビンと響く。しかも、ドラマティックに盛り上がる。

アンコールもすばらしかった。ジャンニ・スキッキのアリアとアリャヴビエフの「ナイチンゲール」。実を言うとせっかく前半はラフマニノフがたくさん選ばれていたので、「ヴォカリーズ」を歌ってくれるのではないかと期待したが、「ナイチンゲール」だった。もちろん、これもすばらしい。コロラトゥーラの声が広がった。

これまで武蔵野市民文化会館で、未知の素晴らしい歌手に出会ってきた。まだ無名だったころのニールンドを初めて聞いて驚嘆したのもここだった。今日のエカテリーナ・サダヴニコヴァの歌はそれに勝る。こんな素晴らしい歌を聴いたのは久しぶりだ。ネトレプコなどの世界最高の歌手たちにまったく劣らないだろう。近い距離で聴けただけ、ネトレプコを聴いたとき以上に心打たれた。

こんな歌手が一般には知られずにいたなんて。それを聴かせてくれた武蔵野市民文化会館に感謝。

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