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東京室内歌劇場公演「利口な女狐の物語」、ヤナーチェク特有の音に興奮

 3月16日調布市せんがわ劇場で、東京室内歌劇場公演「利口な女狐の物語」を見た。私は日本ヤナーチェク友の会の会員(あ、また会費を払うのを忘れている!!)でもあり、ヤナーチェクのオペラは大好きなので、これを見逃すわけにはいかない。と言いつつ、実はまったく知らずにいたところを、先日、サントリーホールでたまたま出会った友の会のメンバーに聞いて、大慌てでチケットを購入したのだった。短縮版による日本語上演。収容人数が120名ほど。ピアノとヴァイオリンとフルートが一台ずつの伴奏。今週は、毎日、午後と夜の2回、上演を続けてきて、今日は最終日。午後からのAキャストを見た。

 若い歌手たちが中心だが、とてもレベルの高い上演だった。動物たちを演じる子供たちも含めて、歌手たちは演技も歌もみんなみごと。とりわけ、森番の杉野正隆は的確な歌い回しで、味のある歌を聞かせてくれた。女狐ビストロウシュカの中川美和は、ヴィブラートの少ないきれいな声で若々しくて活動的な女狐を聞かせてくれた。ほかのメンバーもそろっている。演出も、おとぎ話性を強調したもので、とても楽しかった。そして、最後の森番の歌の場面は、すべての動物による生命の讃歌という趣が強く、とても感動的。

 指揮は佐藤正浩。ヴァイオリンは鎌田泉、ピアノは松本康子、フルートは遠藤まり。とてもよかった。たった3台の楽器だが、まぎれもないヤナーチェク特有の音楽が鳴り響いた。編曲もうまくいっている。日本語の訳詞も工夫の跡がたくさん見えて、とてもよくできている。言葉の聞き取りにくい個所もあったが、それはやむを得ないだろう。小編成で日本語による短縮版を小劇場で行うというのは、ヤナーチェクのようなオペラをもっとなじみやすくするために、決して悪い試みではない。もっともっとこのようなことをしてほしい。

 ただ、致し方ないとはいえ、やはりヤナーチェクのオペラの台本はよくわからない。チェコでは子供たちがこのオペラを見て楽しんでいるといわれるが、子どもが楽しむのは少し難しいのではあるまいか。大人の私でも、まさしく狐につままれたような気分に陥ってしまう。神父さんや校長先生、そしてテリンカという人物の存在の意味がよくわからない。いくら親しみやすくしても、なぞの部分が大きく残る。そのわかりにくいところがヤナーチェク・オペラの魅力なのだが、子供にも親しまれるようにしてしまうと、その謎の部分が薄れて、魅力も減じてしまう。そこがこのオペラの厄介なところだ。

 ともあれヤナーチェクの音楽の独特の興奮を久しぶりに味わうことができた。もっともっとヤナーチェクにオペラが上演されることを望む。

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