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METライブビューイング「ルサルカ」、札幌交響楽団のシベリウス ともに大感動!

 3月4日、東銀座の東劇でMETライブビューイング「ルサルカ」を見た。一言で言って、完成度の高い素晴らしい上演。

指揮はヤニック・ネゼ=セガン。私はザルツブルク音楽祭で「ドン・ジョヴァンニ」を聴いて以来、大ファンになった。躍動感にあふれ、ドラマティックでスケールの大きな音楽。小じんまりしたファンタジーではなく、人間の深層を描き、ワーグナー的な深みを持った音楽になっている。演出はオットー・シェンクの伝統的なものだが、大変美しい。このオペラがこれほどの振幅の大きな深いものだったと今回初めて気づいた。

歌手はみんなこの役の現在最高の歌手といってよいだろう。ルネ・フレミングはしなやかで色気のある歌でしっとりと歌う。ひところよりも声の威力は落ちたかもしれないが、その表現力は素晴らしい。「月に寄せる歌」はやはり最高に美しい。このようなとろけるような歌はこの人にしか歌えない。

しかし、それにしても歌手たちの演技のうまさに圧倒される。神話の世界から抜け出したかのよう。まさにハリウッド映画のようなリアリティ。一つ間違うと娯楽超大作になりそうなところを、ドヴォルザークの音楽とネゼ=セガンのドラマティックな指揮が、格調高く、心の奥底をえぐる芸術にしている。

王子のピョートル・ベチャワもイェジババのドローラ・ザジックも声に張りがあり、しかも役を生きている。水の精のジョン・レリエ、 外国の公女のエミリー・マギーも、役そのものの魅力を持っている。マギーのワーグナーの楽劇のようなドラマティックな歌唱は実にいい。ルサルカの姉妹たちも魅力的。

METライブビューイングを見るたびにメトロポリタン・オペラの圧倒的なレベルを思い知らされる。私はかなり「ヨーロッパかぶれ」でアメリカには縁が遠かったが、METを見たい気持ちが高まってくる。

 

3月5日、サントリーホールで札幌交響楽団の東京公演を聴いた(ホクレンクラシックスペシャル)。指揮は尾高忠明、曲目は前半に組曲「恋人」と交響曲第4番、後半に交響曲第2番。アンコールは「悲しきワルツ」。まだ興奮から醒めないほどの素晴らしい演奏だった。

「恋人」が始まったとたん、弦楽器の素晴らしい音に驚嘆した。シベリウスの弦に特有の音。寒々とした空気の中、凛として存在を主張するような音とでもいうか。素晴らしいアンサンブル。弦楽器だけではない。管楽器も特有の陰りがあり、しかも力強く、美しい。まさしく北欧の音がする。札幌交響楽団はこれほどまでに力のあるオーケストラだと知らずにいた自分を恥じるしかない。たんに良いオケいうだけでなく、実に味わいがある。北の国の名門オケにふさわしい音だと思った。

尾高の指揮も素晴らしい。じっくりと腰を据えたシベリウスで、深い静寂をたたえ、冷気にあふれていながら、徐々に魂が熱してくる。第4番は難しい曲だと思うが、あわてず騒がず、丁寧にしっとりと音を重ねて、ジワリジワリと感動を高めていく。音の積み重ねが絶妙。

第2番は圧巻だった。この曲は多くの演奏では、通俗名曲的になってしまうが、尾高の指揮は、第4番と同じようにじっくりと腰を落ち着け、抑制している。いたずらに煽り立てるわけではない。だからこそいっそう深く沈潜した思いがじわりじわりと爆発する。まさしく巨匠の音楽だと思った。感動した。何度か全身が震えた。

札幌交響楽団を聴くのは二度目のような気がする。初めてだと思っていたが、札幌でモーツァルトを聴いたのを思い出した。10年近く前のことだ。とてもよいオケだと思った記憶はあるが、今日聴いた音はそんな生易しいものではない。ここまで素晴らしいオーケストラになったのかと改めて驚く。

改めてシベリウスと尾高忠明と札幌交響楽団のものすごさを知ったコンサートだった。

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