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METライブビューイング「ウェルテル」 カウフマンのすごさ

銀座の東劇でMETライブビューイング「ウェルテル」を見た。何よりもタイトルロールのカウフマンのすごさに圧倒された。

シャルロットを歌ったソフィー・コッシュも素晴らしい。ソフィー役のリゼット・オロペーサもいい。さすがMETというべきか、すべての役が現在最高レベルだが、カウフマンはその中でも群を抜いている。高貴な声、歌の表現力、そしてウェルテルにふさわしい容姿。死を前にした弱音も最高に素晴らしい。映像ではわからないが、この声はおそらくはっきりと劇場全体に響いているのだろう。どういう物理現象なのか知らないが、名歌手が歌うと、弱音で歌っても会場の隅々まで聞こえる。そのことをネトレプコの歌うヴィオレッタで経験したが、それと同じことが起こっているのだろう。声の様子、観客の様子から伺うことができる。

私はこのオペラはCDDVDをそれぞれ数回かけたくらいで、とくに好きというわけではないし、よく知っているわけでもない。数か所、覚えのある旋律があった程度。とても美しい音楽だと思うが、ドイツ系のオペラ好きの人間にはちょっと違和感がないでもない。

映像内でカウフマンも語っていたが、やはりこの物語を現代人に素直に納得させるのは至難の技だろうと思った。根っこのところでかなりロマンティックな人間だと自分で思っている私も、主人公たちのあまりの一途な行動にはついていけない。カウフマンは実にうまく演じ、素晴らしい歌を聞かせてくれるが、それでも私はどうも感情移入できない。むしろ、不思議な人たちを珍しがって見ている気分だった。感情移入させようとする音楽にも十分には乗れなかった。

演出はきわめて妥当で、納得のいくものだった。自殺の場面の血糊にはびっくり。さすがハリウッド映画の国。

ともあれ、カウフマン(私はなまのカウフマンは一昨年のザルツブルクでドン・ホセを見ただけ)のすごさを体験できてとても満足だった。

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コメント

樋口先生
私も初日に六本木でライブビューイングを観ました。ウェルテルはカウフマンの得意役ですから、ついにMET!ということでぜひリンカーンセンターで生で観たかったです!
元々ゲーテの作品をフランス語で聴く...のも多少違和感があるのかもしれませんが、彼のフランス語dictionは完璧だそうです。フランスオペラといえば実は前回METでカウフマンの「ファウスト」を観ました。有名な「この清らかな住まい」は弱音が多くてそれなのにどうしてこんなに完璧に音が届く(METのキャパは4000人です!)のだろう、と私も先生同様マジックのようだと思いました。
そしてまた、フロックコートの似合うこと!演出家が「カウフマンはデニーロやアルパチーノのような演技力があるのに歌も歌える」と言っていましたが、本当にそのとおりだと思います。オペラですから楽しむ側としてはやはりトータルでうっとりしたいものです。

当初、シャルロット役はガランチャだったのですが、ガランチャ懐妊のためコッシュになったようです。カウフマン+コッシュのウェルテルは最高のキャスティングだと思いますが、私は2010年バスティーユの「DVD」でこの組み合わせを何回も観ているので今回はぜひガランチャで観たかったと思いました。

カウフマンは10月にはリートで来日が決まっているので、本当に来るのか?も含めてとても楽しみです。
Tamaki

投稿: | 2014年4月28日 (月) 10時30分

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