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ネマニャ+大フィルによるブルッフ ネマニャの進化!!

 426日、大阪のフェスティバルホールで大植英次指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴いた。前半には、ブルッフ作曲のヴァイオリン協奏曲第1番。ヴァイオリンは驚異のヴァイオリニスト、ネマニャ・ラドゥロヴィチ。もちろん、ネマニャ目的でわざわざ大阪まで足を運んだのだった。今回のネマニャ来日は、このコンサートのためだけ。東京での公演はない。となると、大阪まで足を運ばざるを得ない。私はネマニャのファンクラブである「プレピスカ」の会長なのだが、東京の会員も10人以上が関西に押し寄せている。

 来た甲斐があった。ネマニャらしい鮮烈で研ぎ澄まされたクリアな音。そこに大きな身振りで激しくドラマティックに音楽を作っていく。だが、全体的な形が崩れることはなく、しっかりと音楽が足についている。激動し、大きく振幅しながらも、何か中心的なものに肉薄していく真摯な姿がある。何度か、あまりに美しい音、あまりに激動する音に涙が出そうになった。

 ブルッフのこの協奏曲を生で聴くのは二度目か三度目だが、とてもロマンティックで、しかも形式感もあり、メロディも美しい。もっともっと演奏されてしかるべき名曲だと思う。

 ただ、大植の指揮はかなりテンポを動かし、しばしば煽ろうとする。時々、ネマニャとの音楽の作りの違いを感じた。敢えて言葉を選ばずに言うと、大植の指揮は外面的な効果を狙いすぎているように思った。ネマニャの音楽は、ときに外面的で俗受けと誤解されるが、まったくそんなことはない。音楽に肉薄するるが、情緒を煽ろうなどとはまったくしない。私には、大植さんがネマニャを別の方向に進めているように思えた。

 ネマニャのアンコールは、パガニーニの「24のカプリース」をミックスした曲だという。ネマニャと大植さんの英語のやり取りからうかがえた。なるほど、24のカプリースの中の聞き覚えのある部分が続く。それはそれは凄まじいテクニック。クリアな音で冷徹に、しかも情熱的に弾きまくる。爽快というのではなく、むしろ心の奥に突き刺さる。単に技術を聞かせる曲ではなく、魂の躍動の曲になっている。大喝采。

 後半はシュトラウスの「アルプス交響曲」。私は中学生のころからの、つまりは50年近く前からのシュトラウス・ファンなのだが、好きなのはオペラや歌曲であって、交響詩の類はあまり聴かない。とりわけ「アルプス交響曲」と「家庭交響曲」と「ツァラトゥストラ」(さすがに、冒頭の部分はシュトラウスの天才の表れだと思うが)はまったくおもしろいと思ったことがない。だから、あまり期待しないで聴いた。

 そして、やはりおもしろくなかった。大植の指揮は私にはあまりに野放図に聞こえる。オーケストラのメンバーは絶え間なく全力で演奏しているのだが、そうであるがゆえに、形が崩れ、ただひたすら音の洪水の連続になる。だが、静かなところがあり、秘めたところがあり、少しずつ盛り上がるところがあってこそ、音の爆発は意味を持つ。私は少々退屈した。もともとシュトラウスの音楽には野放図なところがあり、音の洪水という要素があり、外面的な効果を狙っている面が強いので、大植の解釈も十分に成り立つと思うし、それを好む人が多いのもよくわかる。しかし、私の好きな音楽の作りではなかった。

 本日は、ともあれネマニャのますますの進化を聴くことができた。それだけでも素晴らしい。

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コメント

樋口先生
昨日はお疲れ様でした。私も堪能してまいりました!ブルッフの第二楽章でソロの旋律にオケが応えるところでは、ネマニャ、そのまま振っちゃえばいいのに!と思わず心の中で叫んでしまいました。アンコールではみんな密かに期待していた24カプリス。指揮者が24曲全部演ってくれるの?と言って笑いをとっていましたが、演奏は本当に鳥肌ものでした。単純にどうしてあのテクニックにおいてあのような繊細でクリアな…そして「大きな音」が出るのでしょうか。オムニバス構成もネマニャのセンスだとしたら、彼は天才を通り越してモンスターなのかもしれません。これからがますます楽しみです!
Tamaki

投稿: Tamaki | 2014年4月27日 (日) 11時40分

昨日、ここに畏れおおい方からのコメントが入りましたが、「非公開で」という言葉がありましたので、削除させていただきました。できましたら、別の方法で近日中に返事を差し上げたいと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2014年4月28日 (月) 09時14分

Tamaki 様
あのオムニバス、ネマニャ本人によるらしいですね。驚くべきことだと思います。カプリースのすべてが凝縮されているように思いました。でも、カプリース24曲をぜひ聴きたいですね。

投稿: 樋口裕一 | 2014年4月28日 (月) 09時17分

樋口先生へ

はじめまして。2年少し前ネマニャをBSでお見かけした時から、

投稿: Mayu | 2014年4月30日 (水) 13時29分

続:失礼致しました。文章が途切れてしまいました。
その時からネマニャが大好きになりました。今回の音がとても美しいフェスティバルで
ネマニャの響が深く心に沁み渡りました。ネマニャにOsaka Rocks!を喜んで頂けさらに感動です。先生、今後ともよろしくお願い致します。

Mayu

投稿: Mayu | 2014年4月30日 (水) 13時44分

Mayu 様
コメント、ありがとうございます。私はネマニャの音楽を聴くたびに、強い感動を覚えます。これからもぜひともネマニャの音楽をお聞きになってください。
ファンクラブ「プレピスカ」に入会なさっておられますか。もしまだでしたら、よろしかったら以下をご覧になってください。
https://twitter.com/Nemanjafanclub

投稿: | 2014年5月 1日 (木) 06時58分

再び、畏れおおい方からコメントが入りました。今回も「未公開で」とのことなので、おそらくすぐに削除してほしいとのいうことだと考えて、たいへん複雑な気分ながら、お言葉に沿うことにします。
このブログに何度も書いている通り、私は大のアンチ・マーラーです。そして、長い間、アンチ・バーンスタインでした。現在はアンチ・ムーティでもあります。先日のコンサートを聴いて、私はアンチ大植になる大いなる予感を覚えました。
私はこのブログには、素直な感想を素直に書くことを何よりも心がけていますので、そのままに書いたのでした。そして、ある音楽を愛すれば、必ず別のタイプの音楽を認め難く思うようになるものであり、アンチであることも音楽に対する最大の敬意だと考えています。そのことのみこの場で述べておきます。

投稿: 樋口裕一 | 2014年5月 1日 (木) 07時01分

入会させて頂きました。ありがとうございます。

投稿: Mayu | 2014年5月 5日 (月) 19時35分

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