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デセイの美声に心を奪われた

4月16日、東京芸術劇場で、ナタリー・デセイ(ソプラノ)とフィリップ・カサール(ピアノ)のデュオコンサートを聴いた。都民劇場音楽サークル公演。デセイの歌の素晴らしさに圧倒された。

デセイにはずっと前からCDや映像で親しんできたが、どうもなまで聴くのは初めてのような気がする。私が出掛けるオペラはドイツ系に偏っているので、フランス系、イタリア系を多く歌うデセイをなまで聴く機会は多くなかったということだろう。

前半は、クララ・シューマンとブラームス、デュパルク、シュトラウスの歌曲。デュパルクの「旅への誘い」、シュトラウスの「夜」、「春の賑わい」がとりわけ素晴らしい。ただ、はじめのうち、時々声が割れることがあった。デセイの声が失われたという噂を聞いていたし、METライブビューイングで見た「椿姫」でもデセイが不調だったので、今回も心配していたが、やはり本調子ではなさそう。事実、曲の合間に何度か咳をしていた。

が、そうはいっても、デセイはデセイ。だんだんと調子に乗ってきて、最高に美しい声が響き渡る。いたずらっぽくて軽やかでチャーミングで、しかも知的。ブラームスに関してはちょっと余りブラームスらしくなく、あまりに軽やか。が、これもデセイの持ち味だろう。

後半はプーランクの「偽りの婚約」に始まり、ラフマニノフ2曲とドビュッシー2曲、最後に「ラクメ」のアリア「美しい夢を下さったあなた」。プーランクは、真面目すぎることもなく不真面目すぎることもなく、さすがデセイ。真面目なのか不真面目なのかさっぱり分からず、しかしどこか憎めず、そうでありながら感受性豊かで信仰心にあふれた心を持っている・・・というプーランク特有の音楽を実にうまく表現していると思った。デセイはオペラでも圧倒的な演技力で人々を魅了してきたわけだが、声の演技力も実に圧倒的。後半になったら、声が割れることもなくなり、全盛期に近い声になった。

何よりも素晴らしかったのはラフマニノフの「ヴォカリーズ」。何と美しい声だろう。深刻にならず、彩り豊かな声で微妙に、美しく、流麗に声の流れを作っていく。最後、声が消えゆくまで、完璧に歌の世界をコントロールしている。ロマン主義の極致。ドビュッシーの「アリエルのロマンス」もほんとうに軽やかで美しい声を堪能した。

アンコールはドビュッシーの「星の夜」とフォーレの「マンドリン」。これも素晴らしい。ピアノのカサールも知的で情緒もあって実に見事。

ところで、本日、会場で配布された冊子に挟まれていた知らせで、ボストン交響楽団の来日公演の指揮者がマゼールからデュトワに変更になったことを知った。マゼールはアクシデントにより来日が不可能になったとのこと。実に残念。

 

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