2014年びわ湖ラ・フォル・ジュルネ始まる
4月27日。びわ湖ラ・フォル・ジュルネが始まった。東京と違って、こちらのテーマは「ウィーンとプラハ ~音楽の都へ~」。
昨日は大阪のフェスティバルホールでネマニャ+大フィルのコンサートを聴いて、そのまま京都宿泊。昼過ぎ、大津に向かい、シャトルバスでびわ湖ホールへ。夏のような天気で、大勢の人が会場を埋めている。びわ湖沿いを歩いて、屋台で買った点心を食べた。その後、コンサートを4つ聴いた。感想を書く。
・大阪フィルハーモニー交響楽団 尾高忠明(指揮)ブラームス:交響曲 第4番 、ハンガリー舞曲 第1番
昨日、大植指揮で聴いたばかりの大フィル。しかし、まったく違う音。内面的で緻密で、抑制がきき、無理に煽ることもなく、じわじわと盛り上がって行く。素晴らしいブラームスだった。第一楽章はなにげなく始まったが終盤で静かに爆発。そして、徐々に盛り上がり、第三楽章、第四楽章は圧巻。ハンガリー舞曲では、交響曲と打って変わって激しくテンポを動かし、まさしくハンガリー風。これも絶妙。尾高忠明は巨匠の風格が出てきた。
・びわ湖ホール声楽アンサンブル 本山秀毅(指揮)、稲垣聡(ピアノ) 「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、ドヴォルザーク「ジプシーの歌」、スメタナ「モルダウ」、ブラームス「ジプシーの歌」、「美しく青きドナウ」など。
ドナウ川をテーマにとったコンサート。実に楽しく、実に美しい。きわめつきは「モルダウ」と「美しく青きドナウ」。声の重なりがみごと。声の質がそろっている。「モルダウ」は、いわゆるダバダバコーラスなのだが、起伏があり、物語があり、ドラマがありで、感動的な歌の絵巻を作り上げていた。いまや世界有数の声楽アンサンブルと言ってよいだろう。谷村由美子に続く逸材が出てきそう。
ただ、大フィルのコンサートでも感じたが、紙を触るガザガサ、カサカサという音が客席でやむことがなく続く。演奏中にバッグを開ける音もあちこちで聞こえる。アナウンスするなり、どこかで注意を促すなりしてほしいと思った。
・大阪フィルハーモニー交響楽団 尾高忠明(指揮)「新世界より」、「スラヴ舞曲」作品.72-2
昼過ぎに聴いたブラームスと同じメンバーによる演奏。ブラームスにも増して素晴らしかった。しなやかで美しく、しかも盛り上がるところではロマンティックでドラマティック。第二楽章も実に郷愁にあふれ、滋味にあふれ、言うことなし。大フィルも素晴らしい音を作り出している。弦も実に美しい。昨日の「アルプス交響曲」ではがなりたてるだけの音に思えたが、今日は実にふくよか。第三楽章、第四楽章の盛り上がりも素晴らしかった。「スラブ舞曲」になると、もっと自由にテンポを動かし、自在にオケを操り繊細で美しくて物悲しい世界を作り出した。
・ラファエル・セヴェール(クラリネット)、プラジャーク弦楽四重奏団 ブラームス クラリネット五重奏曲
セヴェールは20代に見えるほどの若いクラリネット奏者。かなりのイケメンなので、きっと人気が出るだろう。スケールの大きなのびのびとしたふくよかな音を出す。だから、もしかしたら、枯淡の境地のブラームスのクラリネット五重奏曲よりも、モーツァルトのクラリネット五重奏曲のほうが向いているのかもしれない。だが、若いわりに、悲しみの表現も深い。クラリネットの高音が絞り出すような嗚咽に聞こえる。ブラームスの深い精神の世界を十分に描き出している。 プラジャーク弦楽四重奏団はもちろんしっかりとした音でクラリネットを支えていた。堪能した。
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