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2014年ラ・フォル・ジュルネ5月5日

 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最終日。本日も充実。素晴らしい演奏の連続だった。大満足。

 

・モディリアーニ弦楽四重奏団 ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」、バーバー 「弦楽のためのアダージョ」

 

俗っぽさを排した「アメリカ」。精密で精妙。完璧な音程。メロディを歌わせようとしているのはわかるが、それだけではドヴォルザークらしくならない。特に第二楽章は別の音楽。まるでバルトークのような雰囲気。ただこれはこれでおもしろい。バーバーは絶品。悲しみにあふれ、音が精妙に重なる。こんなバーバーの「アダージョ」を聴いたのは初めて。この曲の良さも改めてよくわかった。

 

・ミシェル・コルボ(指揮)ローザンヌ声楽アンサンブル

ブラームス「ドイツ・レクイエム」(ピアノ伴奏)

ピアノ伴奏であるだけに合唱の素晴らしさが際立つ。最高に美しい声の重なり。ドラマティックでもある。バリトンのファブリス・エヨーズエヨーズもいいが、それ以上に、ソプラノのレティツィア シェレールが素晴らしい。最高に美しい声で祈りの世界を歌い出す。ただ、オーケストラ伴奏に慣れた耳には、やはり物足りない。

 

・ミシェル・コルボ(指揮)、ローザンヌ声楽アンサンブル

ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」(抜粋)

 

 よみうり大手町ホールに移動して聴いた。同じコルボとローザンヌ声楽アンサンブルの演奏。これも素晴らしい。静謐で穏やかで祈りの心と愛情に溢れている。ドヴォルザークが自分の子供なくして作曲したと言われるが、それがよく伝わる。ドヴォルザーク特有の親しみやすいメロディもふんだん。ただ、ちょっと同じような雰囲気が続きすぎる気がする。抜粋版ながら、ちょっと疲れた。とはいえ、本当に素晴らしい演奏。至福の時間だった。マリー・ヤールマン(ソプラノ)、マリー=エレーヌ・リュシェ(アルト)、クリストフ・アインホルン(テノール)、ピーター・ハーヴェイ (バリトン)の歌手たちもそろっている。

 

・マリナ・シシュ(ヴァイオリン) シンフォニア・ヴァルソヴィア ジャン=ジャック・カントロフ(指揮)

 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

 

話題のシシュのヴァイオリン・ソロ。びわ湖のラ・フォル・ジュルネではソロは聞けなかった。じゃじゃ馬という感じのヴァイオリン。素晴らしい美しい音色、見事な技術。だが、テンポが動き、感情が一定しない。まさに見かけどおりの一筋縄ではいかない美女。振幅が大きく、鋭く切り込んだり、大胆に鳴らしたり。それはそれで魅力だが、私の好みではない。私らしくない俗な言い方だが、こんな女に惚れたら苦労するだろうな・・という印象を持った(私は上品な人間ではないが、普段、このようなたとえは使わない。が、シシュについては、このような表現をしたくなる)。

 

・仲道郁代(ピアノ)、モディリアーニ弦楽四重奏団 モーツァルト 弦楽四重奏曲第6番 ピアに四重奏曲第1番ト短調

 今年のラ・フォル・ジュルネは、モーツァルトのト短調のピアノ四重奏で終わりにすることにした。モディリアニ・カルテットは今回のラ・フォル・ジュルネではフル回転。毎回、見事な演奏を聞かせてくれた。このコンサートも実にすばらしい。ぴたりと息が合い、若いモーツァルトの世界を作り出してくれた。とりわけ、仲道さんが加わってのト短調のピアノ四重奏曲が絶品。モーツァルトのト短調を堪能できた。明るい雰囲気になりながらも、まだ深く沈鬱な心が残る第三楽章の表現が見事。

 

 びわ湖と東京のラ・フォル・ジュルネを聴き終えて、大変満足。

 企業からのお金が集まらず、資金難だと聞いていた。ラ・フォル・ジュルネを開けないのではないかとまで噂されていた。あちこちで経費節減の影響が見えた。出演者に若手が多かったのもそのためだろう。だが、若い才能が驚くべき名演奏を聞かせてくれた。トリオ・レ・ゼスプリ、トリオ・アライアンスのメンバーは、室内楽を演奏してくれるだけでなく、ソリストとしても活躍した。今後、世界中で活躍する演奏家になるだろう。

 実は私は、426日から今日まで、関西と都内に泊まり込んでおり、自宅では2泊しかしていない。久しぶりに自宅に帰った。めくるめく毎日だったが、ともあれ疲れた。それにそろそろきちんと本職の仕事をしなくては・・・

 

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コメント

さっき感想を書いていたら、誤って削除してしまいましたので、取り敢えず簡単に。今年のLFJはアルゲリッチが飛び入り同様に参加したり、僕自身樋口先生と直接お会いする事も出来ましたし、喜びが大きな年になりました。樋口先生と同じくクラシックの魅力をより多くの人に人に伝えようと努力している高野麻衣さんともお話出来ました。来年以降が難しそうな状況の様ですが、続いて欲しいですね。ただ一流アーティストの演奏を低料金で聴けるだけなく、その辺りを堂々と歩いているからコミュニケーションを楽しむ事も出来ますし、地上広場つまり野外で食事するのも楽しみですね。

投稿: 崎田幸一 | 2014年5月 7日 (水) 21時30分

崎田幸一様
コメントありがとうございます。ラ・フォル・ジュルネではありがとうございました。楽しんでいただけたご様子、わたしもうれしく思います。
高野さんは、美しくてかわいらしくて、音楽に対して強い愛情を持った素晴らしい方です。ごひいきになさっていただけたらと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2014年5月11日 (日) 20時55分

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