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2014年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン初日 

 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの2014年の初日。すべて終わったのが23時30分。ごく簡単に今日聴いたコンサートの感想を書く。

 

・トリオ・レゼスプリ ・・・梁美沙(ヴァイオリン)、ヴィクトル・ジュリアン=ラファリエール(チェロ)、アダム・ラルーム(ピアノ)

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第6番、ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」

 

 素晴らしい演奏。梁の演奏は数年前に聴いた記憶がある。その時は、前に押し出してくる強い演奏だったように思う。強い感銘を受けた。今日の演奏は、表に張り出してくる力は弱いが、その分深みがまし、弱音の緊張感が高まっているように思った。「幽霊」も張りがあり、リズムが生き生きとしており、言うことなし。

 

・リチェルカール・コンソート・・・ルイス=オタビオ・サントス(ヴァイオリン)、 マルク・アンタイ(トラヴェルソ)、フランソワ・ゲリエ(チェンバロ)、フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

 ヴィヴァルディのトリオ・ソナタ ホ短調、ヴァイオリンとヴィオラ・アッリングレーゼのためのソナタ、ソナタ集 「忠実な羊飼い」、トリオ・ソナタ ニ短調 「ラ・フォリア」など。

 

 これも素晴らしい。稠密な空間。バロック時代が目の前に再現されるかもよー。ピエルロのヴィオラ・ダ・ガンバが素晴らしい。ただし、このような楽器編成の古楽器の演奏を聴くには、よみうりホールは広すぎる。もっと狭いホールでこのコンサートをしてほしかった。

 

・ローザンヌ声楽アンサンブル、シンフォニア・ヴァルソヴィア ミシュル・コルボ指揮  フォーレ「レクイエム」

 

 期待通りの素晴らしい演奏。しなやかで柔和で、信仰心にあふれ、清らかで美しい。とりわけ合唱が素晴らしい。ただ、ファブリス・エヨーズのバリトンが少し不安定。とはいえ、特に不満というほどではない。時々涙が出そうになった。

 

・ルートヴィヒ チェンバー プレイヤーズ

 ベートーヴェン 七重奏曲 変ホ長調

 これも満足。まさしく大人の演奏。誇張することなく、ごく普通に演奏する。だが、若きベートーヴェンの初々しい精神があふれ出す。ヴァイオリンが美しい。そして、管楽器の安定度に抜群。しみじみと良い曲だと思った。

 

・セルゲ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、伊藤恵(ピアノ)

ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第5番 「春」、第9番 「クロイツェル」

 

 実は少し期待外れだった。偉大なるヴァイオリニストの息子だというので、父親を超える才能かと思っていたが、少なくともまだ十分に開花していないように思えた。まだ学習途中という雰囲気で、自分の表現になっていないように思える。とりわけ「春」にそう思った。クロイツェルの第一楽章はとてもドラマティックになったので期待したが、第二楽章は平板になった。もう少ししてから、また聴きたい。

 

・クレール・デゼール(ピアノ)、フォル・ジュルネ・カメラータ・・・正戸里佳(ヴァイオリン)、クレモンス・ドゥ・フォルスヴィル(ヴァイオリン)、 コランタン・アパレイー(ヴィオラ)、オーレリアン・パスカル(チェロ)

シューマン ヴァイオリン・ソナタ第1番 ピアノ五重奏曲

 

 デゼールと正戸のソナタはとてもよかった。鋭すぎない音で正攻法で演奏。このわかりにくい曲をよくまとめていると思った。ただ、五重奏曲いついては、急ごしらえのメンバーだというのを強く感じた。とりわけチェロのパスカルがほかの楽器とかなり違和感がある。それはそれでとても存在感のある見事な音楽なのだが、ほかの楽器と異質。ピアノも全体をリードしてまとめている様子がない。ちぐはぐな感じがした。

 

・戸田弥生(ヴァイオリン)、アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)

シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2

 

 素晴らしい演奏。私はシューマンの曲を聴くと、しばしば狂気を感じる。先入観ではないと思う。「くどい・しつこい・こだわりすぎ・偏執」と思う。戸田さんはシューマンの狂気を再現してくれた。戸田さんとお話しすると、とても温和で気さくな人なのだが、きっとこの人は狂気を持っている。私としては、これは最大限の賛辞のつもり。本当に素晴らしかった。

 が、残念ながら、シューマンを聴いた時点で退場。私は、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのアンバサダーを務めているわけだが、やはり、そうである以上、今回の最大のビッグイベントに参加しないわけにはいかない。

 

・アルゲリチ、ギドン・クレーメル、堀米ゆず子らオールスターによる2台のピアノ(アルゲリチと酒井茜)による「春の祭典」と「動物の謝肉祭」

 

 これが今回最高のイベント。Aホールが異常な空気に包まれた。アルゲリチとクレメルという現代最高の演奏家が加わっただけで、全体に張りが生まれ、生き生きとして美しく、しかも最高に楽しい演奏になった。「春の祭典」もなんという美しいピアノの音。酒井も素晴らしかった。「動物の謝肉祭」は、名人たちの遊びが楽しめた。

 

 本日は、最初から最後まで見たコンサートは7本。全体的には大変満足。ただ、とても疲れた。聴くだけでも十分に疲れる。

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コメント

私は初日は5プログラムをハシゴ、心地よい疲れでした。
いつも通りラヴェル中心。

・モデイリアーニ弦楽四重奏団
  ドビュッシー&ラヴェルの弦楽四重奏

   1ST Violinの弾きかたがどうも鼻歌風でメロデイを
   十分に歌わないのが気になったが現代風のさわやかな演奏。

・びわ湖ホール声楽アンサンブル
   樋口先生が先日聴かれたのと多分同じプログラム?
   若い歌声を楽しみました。モルダウが面白かった。

・アンヌ・ケフェレック
   ベートーヴェンの月光とラヴェルの鏡
   本日一番の聴き物。直前のリハが伸び、ラフォルジュルネでは
   珍しく10分遅れの開演。 やはり鏡が素晴らしかった。
   動の道化師と静の終曲との見事な対比。終演後のチャーミング   な仕草。大手町読売ホールも始めていきましたが
   なかなか音の良いホールで、有楽町より雰囲気も良かった。

・新居由佳梨
   ラヴェル  ボロデイン風に、シャブリエ風に、
   道化師の朝の歌 他
   以前樋口先生のイチオシ評価を見てCDを買った事あり。
   八重洲のBMWでの無料コンサートに顔を出した・
   ケフェレックに負けない素晴らしいラヴェル!
   また曲間でのおしゃべりも魅力的でした。BMWさん
   有難う。新しいi3も素敵でした。

・吉野直子、ブラジャーク弦楽四重奏団 他
   ラヴェル 序奏とアレグロ、 同弦楽四重奏曲

   吉野直子のハープが抜群。 知性と品性が芳香を放っている。
   弦楽四重奏は朝のモデイリアーニとは正反対のゆったり
   (あるいはもっさり)した演奏だが、アンサンブルはやはり
    こちらのほうが上。年季が入っている。楽しめました。

本日はお休みで明日の最終公演の荻原麻未のラヴェルのPコンを楽しみにしています。

   

投稿: 明田重樹 | 2014年5月 4日 (日) 07時04分

御無沙汰しております。最近はTwitterが中心になっておりまして…。先程の、そのTwitterのLFJ 公式アカウントから、本日樋口先生のサイン会があるとのツイートがありました。エル=バシャとカントロフ(指揮)のコンサートの後、多分大丈夫ですが間に合えば行きます。昨夜はアルゲリッチやクレーメル等豪華な組み合わせの特別コンサートを僕も聴きました。特に「動物の謝肉祭」は、曲に秘められているに違いない皮肉な含みを明らかにしている様に思える等内容が濃かったですが、何よりみんなで楽しんで演奏しているのが印象に残りましたね。

投稿: 崎田幸一 | 2014年5月 4日 (日) 10時56分

明田重樹様
コメント、ありがとうございます。
ラ・フォル・ジュルネをお楽しみにご様子、なによりです。新居さんのラヴェルは本当に晴らしいと思います。ただ、私は今回、新居さんが出演なさることを知りませんでした。残念。びわ湖の声楽アンサンブルは、私が聞いたのと同じプログラムだと思います。「モルダウ」は実に味のある演奏でした。

投稿: 樋口裕一 | 2014年5月 5日 (月) 00時31分

崎田幸一 様
コメントありがとうございます・そして、サインを依頼いただき、ありがとうございます。客が一人も来ないのではないかと心配しておりましたが、おかげさまでゼロではありませんでした。決して多い数字ではありませんでしたが。
ラ・フォル・ジュルネはお楽しみになっておられるでしょうか。ぜひ、たくさんの演奏をお聞きになってください。

投稿: 樋口裕一 | 2014年5月 5日 (月) 00時32分

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