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ハーディング+新日フィルのブラームス 凄まじい演奏

 6月29日、サントリーホールでダニエル・ハーディング指揮、新日本フィルハーモニーを定期演奏会を聴いた。前半、ピアノのポール・ルイスが加わってブラームスのピアノ協奏曲第1番、後半はブラームスの交響曲第1番。凄まじい演奏!!

 まず協奏曲の出だしに驚いた。これまで聴いたハーディングの演奏は、切れがよく颯爽としたものだった。ところが、あまりに悲劇的で重々しい音。凄絶なほど深刻な音楽だった。遅めのテンポで深く沈潜する。それが実に説得力がある。魂が震えた。

 ピアノも実に美しく深い音。重々しいオケの中で、オケよりは少し明るめ。しかし、それだけにくっきりと音が浮かんで、聴きごたえがある。オーケストラも実に美しい。とりわけ、管楽器にほれぼれした。オーボエ、クラリネット、フルート、ホルン、いずれも見事。

 実は私はこの曲に対して、これまでずっと肩に力が入りすぎていると思っていた。情念が空回りしている傾向がある。ところが、今日の演奏を聴くと、これが実に説得力がある。肩に力が入っているどころではない。深刻な世界を真正面から描いている。素晴らしい曲だと思った。ハーディングはきっと、この曲を説得力あるものにするには、このような悲劇性を強調した音にするべきだと考えたのだろう。

 後半の交響曲も同じような雰囲気で始まった。しかし、一層ドラマティック。しかも、音が実に美しい。力感にあふれ、構成もしっかりして、音の重なりもいかにもブラームス。深い思いにあふれ、そこに甘美なメロディが入ってくる。第4楽章は例のクララ・シューマンゆかりのメロディがくっきりと浮きたって、まさしく愛の賛歌になる。甘ったるくなく、ぐっと情熱を抑えながらも高揚してくる愛の想い。恐らくハーディングは「愛」ということを頭において演奏していると思う。純音楽的というよりも、かなり表題的な雰囲気を感じた。しかし、もちろん形式はがっしりとしているので、まったく違和感がない。最高に高揚して音楽は終わった。ここでも魂が震えた。

 本当に素晴らしい演奏だと思った。初めてハーディングを聴いたのは10年ほど前だったと思うが、今や押しも押されもしない巨匠だ。

 ところで、演奏中、うなり声のようなものがしばしば聞こえたが、あれはハーディングの声だったのだろうか。それとも、私の席はかなり音のバランスが悪かったが、席のゆえの空耳だったのか。

 ともあれ、素晴らしい音楽に興奮した。とても幸せに思った。

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コメント

樋口様
ブラームス1番、いいですね。私はあえて!交響曲を三つ選ぶとしたら、これとベートーベンの第九とチャイコフスキーの5番です。ハーディングの演奏は若さもありイタリアのバティストーニもそうですが力いっぱいでなかなかいいと思います。ハーディングがコンセルトヘボウを振った(先生のお嫌いなマーラーですが)映像を持っていますが、彼なら唸るかも知れません・・・?。サントリーホールのPブロック2列10番(オーケストラの背後、金管楽器の後ろ)あたりで一度聞いたことがありますが、トロンボーンの音が座っている私から見て左側の壁面から反響して聞こえてきた経験があります。やはり平土間席の真ん中あたりがいいと思いました。

投稿: 豊島健次 | 2014年7月 1日 (火) 12時59分

豊島健次 様
コメント、ありがとうございます。
私はブラームスの交響曲は、4・3・1・2の順に好きです。とはいえ、「ゲーム差なし」といえるほど僅差ですが。ハーディング、本当に素晴らしいと思います。また聴きたいものです。

投稿: 樋口裕一 | 2014年7月 5日 (土) 00時27分

 以前より時々読ませて頂いているのですが、今回唸り声の件で誰も教えていないようなので、初めてになりますがコメントします。これはハーディングさんの声です。
 私は同じ演奏会でP席の前の方にいて、ハーディングさんと真正面に向かうような位置で聞いていました。協奏曲の出だしからいきなり唸り声があがっていて、最初はハーディングさんの方をみていなかったので誰か聴衆の方かなとか思ったりしたのですが、聞こえてくるのは指揮者の方でした。音の刻みに合わせたり、テンポのゆれやニュアンスなども伝えているように唸っているようであり、2曲ともずっとやっていましたので唸り声で指揮しているみたい。はっきり言ってうるさかった。でも演奏としては私も本当に素晴らしいものだったと思います。
 私はトリフォニーの方で新日本フィルを聞くことが多く、前の週にもヴァイオリン協奏曲と第4番を聞いていたのですが、席は3階のためこんな唸り声をあげていた(んだと思いますが)とは知りませんでした。ちょっとネットで調べてみたらハーディングさんは結構唸り声をあげているようですね。
 ホールや席による聞こえ方ということでは、実は先週トリフォニーで聞いた時、ホルンの音が強すぎてオケ全体から浮いたように(つまりバランスが悪いということですか)聞こえてたのですが(ペットなど他の金管はそうでもなかった)、今回サントリーでは溶け込んでいる感じで気になりませんでした。同じオケで奏者が少し変わっているかもしれませんが、全体として短期間で大きく変わることはないと思いますので、場所による違いが大きいのかと思いました。トリフォニーも1階とかだと大丈夫だったのでしょうか。

投稿: YAMAMAN | 2014年7月 7日 (月) 13時02分

YAMAMAN 様
情報ありがとうございます。
やはりハーディング自身の声でしたか。もしかしてそうかなと思って、口のあたりを確認しようとしたのですが、私の席からはそのような様子が見えませんでしたので、確信が持てずにいました。それにしても、かなり大きな声でした。私もネットで調べてみたのですが、あの日のコンサートの感想を書かれている方はかなりおられますが、唸り声のことを書かれている方はあまりいませんでしたので、空耳なのか、それともハーディングファンにとっては極めて当たり前のことであっていまさら言うまでもないのか・・・と考えていました。答えを出していただけ、感謝いたします。

投稿: 樋口裕一 | 2014年7月 8日 (火) 08時12分

樋口さま

 初めまして。ハーディング指揮のブラームス交響曲1番、私はサントリーホールでのチケットを入手できずパルテノン多摩で聴いたのですが、本当に素晴らしかったです!身体が熱くなりました。1階の前から10列目位の席でしたが、私もハーディング氏の唸り声を耳にしましたよ。
 この演奏会での興奮から冷めないまま、数日後に他のオケのブラームスも聴きに行きましたが…同じような感激は味わえませんでした。

投稿: ピッコロ | 2014年7月20日 (日) 23時03分

ピッコロ様
コメントありがとうございます。。
やはりハーディングの唸り声を聞かれましたか。それにしても、素晴らしい演奏だったと思います。パルテノン多摩は、私の住まいからは行きやすいのですが、サントリーホールに比べると、ちょっとホールの音に問題がありますよね。

投稿: 樋口裕一 | 2014年7月22日 (火) 07時25分

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