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METライブビューイング「ラ・チェネレントラ」 ディドナートがあまりにすごい

東銀座の東劇でMETライブビューイング「ラ・チェネレントラ」を見た。指揮はファビオ・ルイージ、演出はチェーザレ・リエーヴィ。とてつもない名演だと思った。

 チェネレントラとは、もちろんシンデレラのこと。ロッシーニ作曲のシンデレラの物語だ。

 チェネレントラを歌うジョイス・ディドナートがあまりにすごい。とりわけ最後のアリアは言葉をなくすようなテクニックと声の美しさ。しかも、映像の中でルイージが言っていたとおり、役と完全に一体化している。あまりの凄さに涙が出て来た。ディドナートがこの役を歌うのはこれが最後だという。METだけでの「引退」なのだろうか。どういう事情があるのか知らないが、あまりにもったいない。これ以上のチェネレントラが存在するとは思えない。

 王子を歌うのはフアン・ディエゴ・フローレス。大人気の歌手だが、実は私はあまり好きではなかった。声の輝きが不自然な気がする。それに、若い頃、かなり音程が怪しかった記憶がある。とはいえ、やはりこうして聞くと、実に素晴らしい。高音の美しさは比類がない。ディドナートとのコンビはほかには代えがたい。

 そのほか、ドン・マニフィコを歌うアレッサンドロ・コルベッリも実に芸達者。歌い回しもさることながら、喜劇的な演技も見事。そのほか、アリドーロを歌うルカ・ピザローニ、ダンディーニを歌うピエトロ・スパニョーリも申し分なし。2人の姉の喜劇的な演技も最高。すべての登場人物が圧倒的な名演技を見せてくれる。

 そしてルイージの指揮もまた素晴らしい。生き生きと躍動し、しかも細かいところにまで神経が行き届き、楽しく美しい。これぞロッシーニの醍醐味。この曲を演奏するのは初めてだというが信じられない。ロッシーニのクレシェンドをうまく演奏するコツは、焦らずに抑制すること・・・と語っていたが、なるほどと思った。

 先日の「コジ・ファン・トゥッテ」も素晴らしいと思ったが、それ以上。我を忘れ、ただひたすら興奮していた。名演ぞろいのMETの上演の中でも最高の部類に入るのではないか。

 

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