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リヨン歌劇場公演「ホフマン物語」 大野の指揮に感動

7月7日、Bunkamura25周年記念フランス国立リヨン歌劇場公演「ホフマン物語」を見た。指揮は大野和士、演出・衣裳はロラン・ペリー。素晴らしかった。

ホフマンを歌うのはレオナルド・カパルボ。なかなかの健闘。あと少しの声の伸びと演技力がほしいと思ったが、十分に感動を与えてくれた。オランピア、アントニア、ジュリエッタ、ステッラのすべてをパトリツィア・チョーフィが歌った。すべてを歌うのは最近ではかなり珍しいのではないか。声も美しく、容姿も良く、表現力もある。リンドルフなどの役を歌うのはロラン・アルバロ、ミューズなどを歌うのはミシェル・ロジエ。ともに文句なし。声を響かせ、見事に役を演じる。フランツなどの役を歌ったシリル・デュボアも実に芸達者でおもしろい。歌手たちは、圧倒的というほどではないが、間違いなく超一流。合唱も素晴らしい。声が揃っていて、しかもかなりの迫力。序幕の男たちの合唱はぞくぞくした。堪能した。

 が、私が最も感銘を受けたのは、大野の指揮だった。

9列目のチケットを購入したつもりだったが、実際に行ってみると、オーケストラピットがはみ出しているために、2列目だった。大野さんの横顔が見える位置。作ろうとしている音楽がとてもわかった。キレがよく、スケールが大きく、すべての音が生き生きとしている。表情が豊かで、メリハリのある音楽が自然に流れて行く。しかも、徐々に盛り上がり、場面の切り替えではがらりと音の雰囲気が変わる。重くなりすぎないが、十分に迫力がある。ところどころ、魂が震えた。改めてすごい指揮者だと思った。

 ペリーの演出もおもしろかった。いかにもフランス的でもエスプリに溢れ、おしゃれ。オランピアの動きがおもしろい。いったいどうやっているのか。ローラースケートのようなものに乗っているのか。オランピア、アントニア、ジュリエッタの人物造形も説得力がある。ワーグナー演出のような無理な読み替えがないのもいい。視覚的にとてもおもしろくて飽きない。

 ただ、このオペラの宿命というべきか、話がよくわからないし、何を言いたいのかも不明。意味不明のセリフが続く。そうでありながら、十分に感動させるのだから、不思議なオペラだ。きちんと研究すれば、もしかしたら謎が解明できるのだろうか。ちょっと本気で調べてみたくなった。「ホフマン物語」研究は老後の楽しみにいいかもしれない。

 ともあれ、満足。オッフェンバックの楽しさを堪能した。

 

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コメント

ホフマンの女性観がややこしく重苦しく、METの映像版で観ただけで、敬遠してしまいました。けれど、すべての女性像を一人でこなすのは、すごいです。逃して少々残念でした。

投稿: K.KURIHARA | 2014年7月12日 (土) 10時41分

K.KURIHARA 様
コメント、ありがとうございます。
残念ながら、METの「ホフマン物語」は見落としております。ネトレプコがアントニアを歌っているものですね。きっと素晴らしいでしょうね。ただ、「ホフマン物語」は、オッフェンバックが完成前に亡くなったため、様々なヴァージョンがあり、ストーリーさえもヴァージョンによって異なりますので、もしかすると、今回のリヨンの演出は、ご覧になったものとかなり違っていたかもしれません。
ただ、いずれにしても、よくわからないのは間違いないと思います。近いうちにきちんとこのオペラを整理したいと思っているのですが、難しそうです。

投稿: 樋口裕一 | 2014年7月13日 (日) 07時22分

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