ジギスヴァルト・クイケンのヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ、前半はやや失望
7月8日、武蔵野市民文化会館でジギスヴァルト・クイケンのヴィオロンチェロ・ダ・スパッラの演奏で、バッハの無伴奏チェロ組曲3・4・6番。2夜連続演奏の二日目。昨日は、「ホフマン物語」を先に購入していたために、2日目だけ聴くことになった。
ジギスヴァルト・クイケンの演奏なので、無伴奏ヴァイオリンの演奏だとばかり思い込んでいたら、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによる無伴奏チェロ組曲の演奏だった。この「肩掛けチェロ」を聴くのは、寺神戸さんの演奏に次いで二度目。慣れのせいに違いないが、チェロに比べて響きが少ないのが、少し物足りない。
実は前半の3番と4番に関してはかなり不満だった。時々音程が怪しくなった。しかも、「汚い音」(どういうときにプロでもこんな音が出るのかわからないが、ともあれ、ほかにどう表現すればよいのかわからないので、こう表現する)が時々混じる。それにあまり深い表現を感じなかった。クイケンほどの大演奏家らしくないと思った。
が、後半の第6番はとてもよかった。一休みして指が温まったのか、それとも、後半に照準を合わせていたのか。この曲のほうがずっと技術的に難しいはずなのに(実際、5本の弦で演奏されていた)、前半のようなことはなく、表現も深く、私は大いに感動した。この曲らしい高音がヒステリックにならず、とても美しく、深い。この第6番はこの楽器にあっているのかもしれない。
ただ、ジギスヴァルト・クイケンの無伴奏ヴァイオリン曲のCDを愛聴している私としては、もっと圧倒的な名演を聴けるのではないかと心を弾ませていたが、それほどの感動を覚えることはなかった。
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コメント
こんにちは はじめまして
白寿ホールでこのプログラムを聴きました。一日目よりは二日目演奏が安定。チェロへと変移していく理由がわかるようでした。デリケート。けれどもバッハは、この音を想定したのかだからと考えながら鑑賞しておりました。
ブランデンブルク協奏曲でこの楽器数基のハーモニーを聴いたときは美しかったです。
以前この時期にこちらのホールできいたジュリアードも、音が変な事がありまして、梅雨のせいもあるのでしょうか。
投稿: K.Kurihara | 2014年7月12日 (土) 10時33分
K.Kurihara 様
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、楽器自体、とても不安定なのでしょうね。梅雨時だということも、確かにあるかもしれません。私も、ずっと、やはりチェロのほうがいいなあ…と思っていたのでした。
投稿: 樋口裕一 | 2014年7月13日 (日) 07時10分