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ザルツブルク音楽祭 サロネン+フィルハーモニア管、マイスター+ウィーン放送響 ともに大いに感動

 8月9日、午前11時から、ザルツブルク音楽祭2014、祝祭大劇場で、エサ=ペッカ・サロネン指揮のコンサートを聴いた。堪能した。実に素晴らしかった。

 前半は、マキシミリアン・ホルヌングのチェロ、ローレンス・パワーのヴィオラで、シュトラウスの「ドン・キホーテ」。シュトラウス好きの私は、中学生のころからこの曲にはなじんでいるのだが、実演を聴くのは実に久しぶり。CDでもしばらく聴いていなかった。

 メリハリが効き、切れがよく、音が見事に重なり合い、うねり、躍動する。官能というのか、情念というのか、そのようなものを感じる。そうした音によって、愛嬌があるが、それでいて崇高な精神を持つドン・キホーテが浮かび上がる。目に見えるよう。前から4列目で聴いたが、それぞれの音が最高に美しい。音のうねりの中に投げ込まれた感じ。ホルヌングのチェロもとても鮮明な音で、しかも情感もあってとてもよかった。

 後半はベルクの3つの管弦楽曲とラヴェルの「ラ・ヴァルス」。

 ベルクもよかったが、「ラ・ヴァルス」がことのほか圧巻。「ドン・キホーテ」以上に音がうねり、魂がざわめき、躍動する。ザルツブルク音楽祭でもこれまで何度かこの曲を聴いたし、ヤンソンスもガッティも素晴らしかったのだが、サロネンはまた格別。きれいごとですまない、悪を含めた情動のようなものの大きなうねりを感じる。後半、心がしびれた。

 アンコールは、ラヴェルの曲らしいが、サロネンがアンコールの曲名らしいことを口にしたが、聞き取れなかった。とてもきれいな曲。

 

 夜は、フェルゼンライトシューレで、コルネリウス・マイスター指揮、ウィーン放送交響楽団のコンサート。曲目は、前半はダルバヴィの曲。「まなざしの根源」とフィリップ・ジャルスキーのカウンターテナーが加わっての「ルイーズ・ラベのソネ」。ダルバヴィは、今回のザルツブルク音楽祭の目玉の一つであるオペラ「シャルロッテ・サロモン」の作曲者。

 これって、調性があるというのだろうか。まったくの素人である私にはよくわからない。調性のありそうなところもあちこちにあるのだが、そうでなさそうなところも多い。が、それはそれでとてもおもしろかった。私のような「現代音楽」に抵抗のある人間にもとっつきやすい。

「ルイーズ・ラベのソネ」はもっとおもしろかった。16世紀の女性詩人の詩にダルバヴィが曲をつけたもの。その昔、フランス文学を学んでいたころ、ルイーズ・ラベの詩を読まされた記憶がある。感情の起伏の大きな女性特有の感性だと思ったが、それにしても、16世紀の詩(まさに、16世紀のフランス語で、現代フランス語とはかなり異なる)にフルオーケストラのスケールの大きな現代的な音楽をつけるとは! もっと内面的でひそかな世界の詩だと思っていたが、こうして聞くと、なるほどと思う。確かに、このような大きなうねりがラベの心の中にはありそう。

 ジャルスキーも素晴らしかった。以前、実演で一度聴いたことがあるが、その時はどうやら本調子ではなかった。ベストコンディションのジャルスキーを聴くことができた。言葉の使い方実に美しい。声も深く、音程も正確。カウンタテナーとして名高いだけのことはある。

 後半は、ブルックナーの交響曲第1番。とても個性的な演奏だと思う。初め、私はかなり抵抗を感じていた。全体の統一を取ることを度外視して、ロマンティックな表情を強調する演奏。きわめて現代的な音色のよく鳴る楽器で、切れがよく演奏するのだが、ロマンティックな個所にかかると、ぐっとロマンティックになり、甘美になる。そして、鳴らすべきところは、切れよく鳴らす。それが繰り返される。初めは、統一感がないと思っていたが、不思議や不思議、聞き進むうちに、私は違和感をなくし始めた。そして、それはそれでなんだか統一が取れているような気がしてきた。聴き終わったときにはとても感動していた。

 私の好きなタイプの演奏ではない。それに、私はこの第1番にはまったく思い入れはない。名曲だとも思わない。ブルックナーの交響曲だというので、全集で数種類購入して、ついでに何度かCDを聴いたくらい。思い入れのある曲だったら、もう少し抵抗を感じていたかもしれない。だが、ともあれ、実にスケールが大きく、十分に納得のいく演奏だった。オーケストラも素晴らしいし、指揮もとてもおもしろかった。

 ところで、実は、この時間帯には、祝祭大劇場では「イル・トロヴァトーレ」が上演されていた。今回のザルツブルク音楽祭の最大の呼び物で、ネトレプコとドミンゴが出演する。もちろん、私もとても見たかった。が、チケットを入手できなかった。東京でもあちこち手をまわしてみたが、入手できなかった。ザルツブルクに来てからも、何度かチケット販売所に行ってなんとかならないか掛け合ったが、もちろん、「無理に決まってる。何をいまさら」という顔をされただけ。二度目の上演があるので、「チケットを求む」という紙切れをもって立とうかとも思ったが、この様子ではたぶん無理だろう。

 私はこれまで「イル・トロヴァトーレ」のストーリーの不自然さについてあちこちで毒づいてきた。このブログでも何度か書いたかもしれない。その罰が当たって、入手できないと観念するしかなさそう。

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