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ミンコフスキ指揮のマチネ、オペラ「シャルロッテ・サロモン」ともに大いに感動

 8月10日、午前中に、モーツァルテウム・グローザーザールで行われたザルツブルク音楽祭2014、モーツァルト・マチネ、マルク・ミンコフスキ指揮によるザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団のコンサートを聴いた。

 実は、出かける準備をするためのアラームの設定を間違えていたため、遅刻しそうになって焦った。拍手が起こり始めた時にやっと着席。一番端っこの席だったために助かった。

 前半は、モーツァルトの交響曲第33番と、そのあとレネケ・ルイテンが加わって、ソプラノのためのアリア「ああ、恵み深い星々よ、もし天にあって」。後半は、「後宮からの逃走」からの二つのアリア。そして、クルト・ヴァイルの交響曲第2番。

 ミンコフスキらしいきびきびしてリズム感の良い演奏。交響曲第33番の最終楽章など、まさにミンコフスキならではの醍醐味。わくわくし、躍動し、しかも美しい。モーツァルト中期の曲はミンコフスキの指揮で聴くと躍動感があって、とてもいい。

 ソプラノのルイテンも素晴らしかった。「後宮からの逃走」の二つ目のアリア(『どんな拷問が待っていようとも』)は圧巻。楽器との掛け合いもよかった。超絶的な高音に関してはあまり得意ではなさそうだが、声全体に迫力があり、訴える力が強い。

 ただ、ヴァイルの交響曲については、演奏はともかく、私は曲そのものをおもしろいと思わなかった。もちろん初めて聴く曲。すべての楽器ががんばってすごい勢いでずっと演奏を続けているのだが、私は少しも躍動しなかった。もう少し静かなところ、もう少し楽器の少ないところ、もう少し頑張らないところがほしいと思った。押されっぱなしで終わった感じ。

 ミンコフスキが拍手にこたえてスコアにキスしていたので、きっと好きな曲なのだろう。ミンコフスキがこの曲を好むのはわかる気がするが、私は遠慮したい。

 アンコールは再びソプラノが加わって、たぶんモーツァルトの曲。ちょっと宗教曲風だが、何の曲か、モーツァルト・マニアでない私にはわからなかった。が、これもしっとりとして、しかも躍動する良い演奏だと思った。

 

 夜は、フェルゼンライトシューレで、マルク=アンドレ・ダルバヴィ作曲のオペラ「シャルロッテ・サロモン」を見た。指揮はダルバヴィ自身、演出はリュック・ボンディ。モーツァルテウム管弦楽団。

 とてもおもしろかった。大いに感動した。休みなしで2時間以上かかる現代オペラだが、少しも退屈しなかったどころか、夢中になってみた。大傑作だと思った。

 とはいえ、十分理解したかどうか、自信がない。舞台上ではドイツ語とフランス語が入りまじり、字幕はドイツ語と英語。舞台に奥行きがなく、左右にわたってあれこれの装置が並べられ、そこで様々な人物が登場する。舞台のあちこちを見て、字幕を見て、わからない英単語を類推し、しかも音楽も聞かなくてはならない。この上なく忙しい。

 まあ要するに、シャルロット・サロモンという実在のユダヤ人の女性画家の生涯を追ったオペラといえばよいだろう。シャルロット自身がかつての自分を語るという形をとって、語り手のシャルロット(ヨハンナ・ヴォカレクという有名な女優さんらしい。すごい演技力!)と舞台上のシャルロット(マリアンヌ・クレバサという歌手。今はやりの言葉を使うと、美しすぎる歌手。女優のように美しいというよりも、女優にもこんなきれいな人はめったにいないのではないか!)が登場する。シャルロット・サロモンは「人生、それとも芝居?」という作品集を残したらしいが、まさしく舞台上で、「人生、それとも芝居?」が展開されるという趣向だ。

 かつて母が窓から飛び降りて自殺したが、シャルロットはインフルエンザで死んだと聞かされている。しかも、実は母方の何人もの人間が自殺している。祖母も自殺する。そのような死の影が軸となって、ナチスによるユダヤ人の迫害、継母への愛と葛藤、継母の愛人との恋、絵画への目覚めが描かれる。どこまでが台本でどこからが演出なのかわからないが、ともかくおもしろい。最後に、「私は私の母、私の祖母、そしてすべての登場人物。私はすべての道を歩き回ることを学んだ。そして私自身になった」という言葉が現れるが、それがシャルロットの最後の境地なのか。オペラでは描かれないが、実在のシャルロットは26歳で、アウシュヴィッツで処刑されたという。

 音楽も実にリアル。基本的には無調の音楽だが、「カルメン」などの断片がしばしば現れ、調性のある音楽も出てきて、「現代音楽」になじみの薄い人間にも親しみやすくできている。演奏もとても良かった。登場人物たちは、歌手という以上に役者としても見事。

 ただし、繰り返すが、私の貧弱な英語力で字幕と販売されている冊子を流し読みしただけなので、あまり自信を持って語っているわけではない。

 ともあれ、ザルツブルク音楽祭は実に素晴らしい。すべての出し物が素晴らしい。やはり来てよかったとつくづく思う。

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コメント

ダルバヴィのこのオペラ、どんなオペラだろう、と気になっていました。お陰様でよくわかりました。面白そうなオペラですね!音楽も!ありがとうございます。楽しい旅をお続けください。

投稿: Eno | 2014年8月11日 (月) 10時19分

ENO様
コメントありがとうございます。
「シャルロット・サロモン」(あまり意識してなかったのですが、確かシャルロッテではなくシャルロットと発音していたように思うのですが・・・)はとてもおもしろいオペラでした。日本語字幕でみたいと思いました。日本語字幕付きのDVDが発売になるといいのですが。せめてクラシカジャパンで放送してほしいものです。
ブログ拝見しました。ガルミッシュに行かれたんですね。私も行ってみたいとずっと昔から思っているのですが、なかなか機会が作れません。

投稿: 樋口裕一 | 2014年8月12日 (火) 07時21分

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