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二度目の「ばらの騎士」に、改めて感動

 8月12日、ザルツブルク音楽祭2014、祝祭大劇場で「ばらの騎士」を見た。8日に続いて今回が二度目。前回、実は前方の右端で、視覚的にも聴覚的にも不満が残ったので、センターの席を新たにとって見ることにした。

 ウィーンフィルのすごさに改めて感服。前回も素晴らしいと思ったが、センターで聴くと、その素晴らしさが一層伝わる。精妙にして力強く、最高に美しい。とろけるよう。前回書いた通り、ヴェルザー=メストの指揮は極めて上品で知的。官能性が不足すると書いたが、こうして真ん中の席で聴くと、これはこれで最高に素晴らしい。これほど美しければ、官能性はなくてもいいと思えてくる。

 クプファーの演出も、センターで改めてみると、実に繊細で音楽にぴったりと合っている。前回書いた通り、やはりリアルであること、不自然でなくすことにかなり気を使っているように見える。第一幕も、通常の演出では、オクタヴィアンが女装してマルシャリンの寝室にいるのを誰も気に留めないことが多い。第三幕でも、オクタヴィアンがファニナルと顔を合わせることに頓着しないことが多い。が、クプファーの演出ではそのあたりもきちんと辻褄を合わせている。しかも、絵としてとても美しい。改めて演出の力におそれいった。

 子どもではなく青年が最後のハンカチを拾う演出について、少し考えてみた。もしかすると、これまでの演出のように子どもを使うと、まるで奴隷のようにみなされることを配慮したのかもしれない。

 歌手はみんなが素晴らしい。どうやらグロイスベックは風邪をひいているらしい。幕が開く前、誰だかが登場して何やらドイツ語と、ドイツ語なまりの強い英語で話したが、グロイスベックという言葉とコールドという言葉が聞こえてきた。もしかしたら、前回も風邪で不調だったのかもしれない。しかし、実際には全くそのようなことは感じさせず、素晴らしい歌唱。

 ただ、観客のマナーの悪さには閉口した。こちらの人は演奏中によくしゃべる。間奏曲の部分では、まだオペラが始まっていないと思っているらしく、あちこちで話声が聞こえる。歌が始まってもしゃべる人が多い。私の前の女性は、たびたび隣の男性(夫か恋人)に、舞台上で何か動きがあるごとに感想を口にする。第一幕の最後のあの精妙なヴァイオリンソロの部分でもしゃべり、大声で咳をし、第三幕の最後の三重唱の部分でもしゃべり、プログラムをパラパラ始めた。おいおい、ここが一番いいところだろう、君たち、一体何をしに来たんだよ、せめてここは静かに聴こうよと言いたくなった。

 が、まあ、心を広く持ってそれも良しとしよう。様々な楽しみ方がある。私はともかく音楽に耳を傾けよう。

 ともあれ、素晴らしい上演。このような上演にいくつも会えるのだから、またザルツブルク音楽祭に来たくなる、

 

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コメント

ザルツブルグ音楽祭、少しうらやましく拝読しました。それとともにやはりなあとも思いました。観客のマナーです。私の勝手な見方かも知れませんが、彼らは普段コンサートホールやオペラハウスに足を運ばない人ではないでしょうか。音楽祭だから行ってみよう・・・、と不本意?にも来てしまった人、誘われて来てしまった人。と言いながらも一度は勇気?を出して行ってみたいと思っていますが。長年、音楽祭を敬遠してきた人間の矛盾だらけの駄文でした。

投稿: 豊島健次 | 2014年8月23日 (土) 11時36分

豊島健次 様
コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通りかもしれません。ふだんコンサートやオペラに通わない人たちが、演奏中におしゃべりするのでしょう。しかし、日本では、ほとんどコンサートに行かない人であっても、おしゃべりしないように思うんですが、そこがヨーロッパと日本の大きな違いのように思います。

投稿: 樋口裕一 | 2014年8月25日 (月) 23時59分

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